商標法では、タイトルにも書いたように、5種類の登録取消審判があります。
条文を参照しても、これらを比較して理解することが大変なので、ここにまとめておきます。
①50条の取消審判(不使用による取消審判)
誰が:何人も
どういうときに:継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者、又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないとき
何を:指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消
②51条の取消審判(商標権者による品質・役務の誤認あるいは混同による取消審判)
誰が:何人も
どういうときに:商標権者が、故意に
・指定商品/役務についての登録商標に類似する商標の使用
・指定商品/役務に類似する商品/役務についての登録商標/これに類似する商標の使用
と混同を生ずるものをしたとき
何を:その商標登録取消の審判
期間制限:使用の事実がなくなった日から5年後は請求不可
取消審決確定後の制限:商標権者であった者は、取消審決確定日から5年経過後でなければ、その登録商標/類似する商標について登録を受けられない(第2項)
③52条の2の取消審判(商標移転の際の、不正競争の目的での混同による取消審判)
誰が:何人も
どういうときに:商標権の移転の結果、
・同一商品/役務について使用する類似の登録商標に係る商標権
・類似商品/役務について使用する同一/類似の登録商標に係る商標権
が異なった商標権者に属することになった場合に、不正競争の目的で他の登録商標に係る商標権者、専用使用権者、又は通常使用権者の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるものをしたとき
何を:その商標登録の取消審判
期間制限:使用の事実がなくなった日から5年後は請求不可(52条準用)
取消審決確定後の制限:商標権者であった者は、取消審決確定日から5年経過後でなければ、その登録商標/類似する商標について登録を受けられない(51条第2項準用)
④53条の取消審判(専用/通常使用権者による品質・役務の混同による取消審判)
誰が:何人も
どういうときに:専用/通常使用権者が、
・指定商品/役務又はこれらに類似する商品/役務についての登録商標/類似する商標の使用であって、
・品質/質の誤認又は役務の混同を生ずるものをしたとき
何を:当該商標登録取消の審判
※当該商標権者が事実を知らず、相当の注意をしていたときは非該当
期間制限:使用の事実がなくなった日から5年後は請求不可(52条準用)
取消審決確定後の制限:当該商標権者であった者/専用/通常使用権者であって当該使用をした者は、取消審決確定日から5年後でなければ、その登録商標/類似する商標についての商標登録を受けることができない。
⑤53条の2の取消審判(パリ条約等の同盟国等の、権利保有者の非承諾による代理人等による登録出願に対する取消審判)
誰が:その商標に関する権利を有する者
どういうときに:
・登録商標がパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって、
・当該権利に係る商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務を指定商品又は指定役務とするものであり、かつ
・その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたものであるとき
何を:当該商標登録の取消審判
期間制限:商標権の設定登録の日から5年経過後は請求不可(53条の3)
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