ヘテロ原子とその酸化形態を含む5員環/6員環

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この前読んでいた英語明細書に、次のような表現が出てきました。

5- or 6-membered ring containing heteroatoms selected from O, N, P and S and oxidized forms thereof

実際の表現とは少し異なるのですが…

これは1つの長い文章の一部で、化合物の構造を説明するのに

R1はどうたらで
R2はどうたらで
R3はどうたらで…

という説明が延々とされている、あの部分ですね。

さて。

この表現を見た時に僕は一瞬、

oxidized forms thereof

この表現が何を意味するのかが分かりませんでした。

とりあえず、この全体のフレーズが何を意味するのかを考えたのですが、

5- or 6-membered ring
→シクロアルカンのような、環状の化合物であることは分かる

heteroatoms selected from O, N, P and S
→環構造を形成する、水素と炭素以外の元素を「ヘテロ原子」と言うので、
これらの元素が環構造に含まれている、ということは分かる
(例えばピロール環ですね)

で、ここまでは分かったのですが、ここに「oxidized forms thereof」が付くと、
どういう構造を示すのか?が分からなかったんですね。

というより、一瞬「and oxidized forms thereof」が
どこにかかるか分からなかったので、
この文章全体を読んでみたんですが、

どうやら、heteroatoms selected from O, N, P and S and oxidized forms thereofというまとまりで式を表現したいことが分かりました。

が、どうしてもoxidized forms thereofが分からんと。

この表現を見た時に最初に思い浮かんだのは、
「酸化形態」なので、NO2とかPO3とかSO4とかの、
窒素やリンに酸素が付いた状態です。

これなら、環状化合物(官能基)のNやPが
Cとは環状構造を作っているけれど、
これらのヘテロ原子に酸素がくっついて環の外に飛び出している、

というのは構造的にありそうですが
(これ、文章だけで説明するのは難しいですね…)

(※…-CH2-CH2-C(=O)-CH2-CH2-…みたいな構造で、
…どうしがくっついて環になっている構造ですね)

これだと、Oの酸化形態は表現できないじゃないかと(笑)
酸素が更に酸化した状態って意味不明だな、と思うわけです。

なので、「ヘテロ原子 酸化」みたいにググってみて
ヒットしたのが、こちらのサイトです。

http://achem.okayama-u.ac.jp/eoc/kenkyu/concept/EOC/denkai7.html

これを見てああなるほど思ったというか、
ヘテロ原子の酸化数が増えた状態だったら、
確かに「酸化形態」と言えるな、と。

有機化学や合成系の専門書(とかウェブサイト)を見ていると出てくる、

+.

/ \

こういう状態ですね。

「酸化」って、広義には
・酸素を得る
・水素を失う
・電子を失う
・酸化数が増える
ってことですから、

この明細書の表現で言いたかったのは、
恐らく「電子を失った(あるいは、酸化数が増えた)」状態ではないのかと。

これで納得できたので、また明細書を読み進めていきました。

ただ、化合物の官能基が酸化状態になっているのって見たことなく、
共鳴構造になっているのかな?という推理しかできないわけですが…

ともかく、酸化・還元の定義は前に勉強していたんですが、
仕事をしていると盲点になってしまうと言うか、

今回は化合物の構造で、官能基を説明しているから
「+.」みたいな状態はないだろう、と勝手に思い込んでしまっていたんですよね。

(明細書からは実際に存在するかは判断できないので、
書かれている内容を納得するためにこういう考え方をした、ってことなんですけど)

と、最近明細書を読んでいて疑問に思った表現があったので、
どういうことを考えたのかをまとめてみました。

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