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リン脂質修飾に関する少しの考察

技術思想

今日は、先日少し調べた、リン脂質二重膜に関する特許明細書を読んでみた。

といっても、どうやら「リン脂質二重膜(二分子膜、二重層など、言い方は沢山ある)」というキーワードでは、特許庁データベースではヒットしないので、少し幅を広くして「リン脂質 表面 修飾|改質」のようなキーワードで調べてみた。

結果的に30件程ヒットしたので、その中からタイトルが最もシンプルなものを幾つか選択した。

http://jiyuugatanookite.com/contents/JPA_2002363278.pdf

http://jiyuugatanookite.com/contents/JPA_2008274169.pdf

これらは、リン脂質に修飾を行うプロセス(とそれらの使用)に関する特許であり、用途のカテゴリーとしては生化学・生理学分野なのであろうが、この特許そのものカテゴリーはむしろ、バリバリの高分子化学・有機合成分野と見受けられる。

どうも、以前の記事での考察がおおよそ当たっているようで、これらの特許でもデンドリマー/デンドロンといった、まさに高分子の話が出てきているものもある。それに、何も細胞膜としてのリン脂質二重膜を作製する、という話ではなく、例えばコンタクトレンズ、歯科用接着剤という風に、人工物における生体適合性の向上、という視点での特許となっている。

(片方については、合成プロセスでの現在の課題の克服に対して改善点を提示しているので、内容そのものは本当に有機合成化学についての特許といっていい)

これらの特許、特にデンドリマーについて触れられている特許を読んでいると、どうしてもコアシェル粒子の表面改質の話が、個人的には第1に頭に浮かんでしまうため、そちらの技術分野も改めて調べてみたのだが、表面修飾には酸化ケイ素といった無機物質が使われていることが多いようであり、ここまで来ると、もはや「有機合成」というよりも「材料化学」といったほうが適切かも知れず、特許における技術思想のグラデーションについてはただただ、奥深さ、奥ゆかしさを味わうだけである。

今までの仕事において、有機合成系の案件はどうしても製薬プロパーの有機合成化学についてのものしかなく、「合成=製薬」というイメージが強く残ってしまっている。しかし、製薬に限らず、生体適合性高分子の調製や改質においても合成スキームは出てくることを、恥ずかしいながら今更知ることができたし、つくづく、技術思想を複雑に組み合わせることでの特許の見せ方についても学びがある。

最近、訳あって精神的にやや腐り気味だったのだが、このような少しの発見、新しい世界への誘いが、自分の活力の源泉をもたらしてくれる。まだまだ、合成スキームを一目見て求核性置換基、求電子性置換基の区別が付いたり、電子の動き(求核攻撃)を自分で付け加えて見られるまでは至っていない(少し時間がかかる)のだが、昨日の自分より今日の自分が、そして、今日の自分より明日の自分が、1つでも多くのことを理解できているように努めれば、亀のような歩みでも前に進んでいると自分に言い聞かせて、また明日から精進していくのみである。

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jiyuugatanookite.com

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