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翻訳者向けのオススメ統計学入門書籍

書籍

特許翻訳の仕事をしていると、バイオ・メディカル系の臨床試験に関係する話で必ずと言っていいほど登場するのが、統計学の話です。

p値や有意差、標準偏差、といった統計学の基本的な話から、コホート研究、二重盲検、感度と特異度、陰性と陽性といった、いわゆる「医学統計学」と呼ばれる分野の話まで、これまで特許明細書の翻訳に携わったことがあるかた、あるいはバイオ・メディカル系の翻訳をされている方であれば、必ず目にしたことがあるかと思います。

 

統計学はなぜ曲者なのか

統計学=数学の一分野、なので、文系の方(理系アレルギーを持っている方)であれば、「統計学」と聞いただけでも向き合いたくない気持ちが出てくるかもしれません。

逆に、「理系は統計学に強いよなあ…」と思ってしまう方もおられるかもしれませんが…

 

実は、統計学というのは、義務教育の間に1つの単元として学ぶことはありませんし、高校数学でも、「統計学」というジャンルは実は登場しません。

 

受験の世界に身を置いていた方であれば「偏差値」という言葉を必ず聞いたことがあると思いますが、高校数学で、この「偏差値」について詳しく勉強したことって、なかったと思います(少なくとも私の学校では、文系で数II・Bまで勉強しましたが、一切触れたことがありませんでした)。

 

ということは、普通に義務教育を終えて高等教育を終える(高校を卒業する)までの間に、「統計学」を基本から丹念に学ぶ機会はないと考えてよいでしょう(中には勉強したことがある、という方もおられるかもしれませんが…)

 

言い換えると、統計学というのは大人になってから、誰もが同じスタートラインで学ぶ単元(分野)と考えることもできます。そう考えると、数学への苦手・得意意識の差はあれど、これまでの勉強経験はあまり関係ないとするのが妥当ではないでしょうか。

 

統計学(特に医学統計学)をきっちり学ぶには

私の場合、統計学の基本的な知識もないままに特許翻訳の世界に入ったので、仕事を通して知らない単語や考え方を一つずつ押さえていきました。

その過程で利用したウェブサイトには、例えば以下のようなものがありました。

ハンバーガー統計学にようこそ!

米内竜の迷走録

ただ、正直言って前者は医学統計学とは直接関係ない(統計学一般)の話がメインですし、後者はYouTube動画で国家医師試験を受験する人向けの解説になっているので、「ゼロから医学統計学を丁寧に学ぶ」には不十分なサイトでした。

 

結局、私はAmazonで調べて書籍を購入したのですが、その書籍が文字通り「ゼロから医学統計学を学べる」良書だったので、ここで紹介しようと思います。

 

いまさら誰にも聞けない医学統計の基礎のキソ 第1巻 まずは統計アレルギーを克服しよう! (Dr.あさいのこっそりマスターシリーズ)

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この、「いまさら聞けない医学統計の基礎のキソ」シリーズがオススメです。

 

全三巻あるのですが、まず一巻目では、統計学の基本的知識ということで、p値、有意差、仮説検定と信頼区間、平均、ばらつきと分布(偏差)、信頼区間、といった基本的用語を順に、丁寧に説明してくれています。

二巻目では、医学論文などに出てくるグラフや図表を例に出しながら、観察研究、介入研究といった研究手法の解説から感度・特異度・陰性的中率・陽性的中率といった言葉の意味、オッズ比といった用語の解説を分かりやすく行っています。

三巻目では盲検化、プラセーボ効果等の解説から統計結果を正しく評価する「情報の読み取り方」についての解説が行われています。

 

第一巻はAmazonでベストセラーになっていることからも分かるように、非常に多くの人に読まれていて、色々とネットの情報を使って勉強した自分でも、「先にこの本を読んでおいたほうが早かった」と思えるような章立てになっています。

章の終わりには、理解度を確認する簡単なクイズもあって、本を読んだだけで終わらないことも本書の特徴になっています。

 

特許翻訳の場合、本文で書かれている統計の取り方や情報の読み方、グラフや図表の読み方を最低限押さえれば読み進めていくことができるので、このシリーズの第一巻で統計学に対するアレルギーをなくして、第二巻で医学統計学の用語を学びながら、具体的に情報をどう読み取っていくか、という手法を身につけるのがいいでしょう。第三巻は一緒に買っておいて、余力が出来たら読むような流れでいいと思います。

 

一から丁寧に学べば、統計学は怖くない

統計学に必要な最低限の前提知識は、小学校で学ぶ四則演算なので(微分積分や数列の知識は必要ありません)、数学アレルギーのあるなしに関わらず、この本を使って最初から少しずつ要点を押さえていけば、ぼんやりと抱いていた恐怖心もぬぐい去ることができるはずです。

 

本書のもう一つの特徴は、文字もそこまで詰まっておらず、図やグラフが頻繁に使われているので、読み進めていくのにそこまで時間を必要としない、ということです。

 

是非、統計学への苦手意識を払拭するきっかけに、これらの本を活用して頂ければと思います。

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