「●●の量は■■に限定されないが」の「が」は逆接か

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日本語が原文の明細書を読んでいると、よくこのような表現が出てきます。

本発明で用いられるAの量としては、特に限定されない、例えば、化合物αの重量%を基準にして、60~65重量%であることが好ましい。

こういう日本語と、それに対応する英文を読んでよく疑問に思うのが、ここで使われる「が」(太字表記)は逆接なのか?ということです。

 

というのも、この文章を英語に訳したであろう文章を読むと、高い確率で

The amount of A used in the present invention is not particularly limited, but for example, from 60 to 65 wt% is preferable based on the weight of the compound α.

と、機械的に「but」が用いられています。

 

が、この「が」は本当に逆接なのか?

 

インターネットのOxford dictionaryで調べてみると、butの意味と用法は、以下のように説明されています。

1. Used to introduce a phrase or clause contrasting with what has already been mentioned.

‘he stumbled but didn’t fall’
‘this is one principle, but it is not the only one’
‘the food is cheap but delicious’
‘the problem is not that they are cutting down trees, but that they are doing it in a predatory way’

2. with negative or in questions Used to indicate the impossibility of anything other than what is being stated.

‘one cannot but sympathize’
‘there was nothing they could do but swallow their pride’
‘they had no alternative but to follow’

他にもいくつか用法はありましたが、主に使われるのはこれらどちらかなので、これだけで。

 

さて、2.の用法は、否定的な用語を伴う特殊な表現なので、普通の「逆接表現」は1.に載っているとおりのものです。

 

結論を先に書いてしまうと、恐らく、この日本語で用いられる「が」は逆接ではなく、語調を整えるために用いられているだけの助詞ではないかと、考えます。

というのも、上の文脈は何を示しているかというと、最初の説明を、「が」以降の節で「限定(例示)」しているわけです。そして、この「が」を用いずに、例えば

 

本発明で用いられるAの量としては、特に限定されず、例えば、化合物αの重量%を基準にして、60~65重量%であることが好ましい。

としても、意味は同じになります。

 

なので、この「が」は逆接ではないから、「but」にするのは誤りではないかと思うんですけどね。

 

自分が訳すなら、

The amount of A used in the present invention is not particularly limited.  For example, from 60 to 65 wt% is preferable based on the weight of the compound α.

 

のように2つの文章に区切るか、ピリオドの代わりにセミコロンを使って1つの文章として繋げて書くか。

 

英訳の場合、仕上がりワード数での単価換算となるのと、同じ計算方法でクライアントからも仕事を頂いていると思うので、できるだけ余分な単語は用いずに、簡潔(Clear)に英語で表現する方が「三方良し」(クライアントの金銭負担が減る、翻訳者の仕事の負担も少し減る、間に入る特許事務所・翻訳会社のマージンは増える)になるのではないかと、思うのです。

 

 

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