ステップ・プラス・ファンクションクレームを避けるための請求項の書き方

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以前の記事で、

ステップ・プラス・ファンクションクレームと解釈されないために英訳で注意すること

 

こういうものを書いたのですが、他のソースを当たっていると、もうすこし明確に説明されているものがありました。

 

それが、前回の記事でやや酷評してしまった

特許翻訳の基礎と応用 高品質の英文明細書にするために (KS語学専門書)

なのですが……

 

この83~84ページにかけて、「方法クレーム」の小見出しになっているのですが、その中にこのように書かれています。

方法クレームの場合は、(中略)、移行部を”comprising the step(s) of”とし、その後に要素を並べるのが一般的です。各要素を”step for ~ing a specified function”の形で下記、かつその限定に具体的な行為(act)を含まずに機能(function)だけを含んだ場合には、”means for ~ing a specified function”と同様に権利範囲の解釈が不利になる可能性があるので注意が必要です。

 

この少し前に挙げられている訳例(というか訳出のテンプレート)は、以下のとおり。

A method for/of ~ing XXX, comprising the steps of:

~ing AAA;

~ing BBB;

(以下省略)

及び

A method for/of ~ing XXX, comprising the steps of:

a) ~ing AAA;

b) ~ing BBB;

(以下省略)

という2つ。

 

いずれにせよ、権利範囲の解釈を不当に狭めないようにするには、構成要素の前にstep(s) ofを一回だけ記載して、構成要素そのものは、動詞の現在分詞から書き始めるのが、余計なリスクを回避するには一番安全な方法ではないか、と思われます。

 

 

要するに、

A method for/of ~ing XXX, comprising:

a step of ~ing AAA;

a step of ~ing BBB;

(以下省略)

という書き方は、あまり推奨されない、ということですね。

 

 

これはいわゆる、米国特許法第112条(f)に書かれていることなのですが、これまで、色々資料に当たっても、この条項に引っかからないようにするクレームの書き方の好例が、分かりませんでした。

 

恐らく、今回紹介した書き方が良いと思われるので、仕事などの注意事項で「米国特許法112条(f)(あるいは、第6条)の規定に引っかからないように訳してください」という指定がある場合は、”steps of; ~ing; ~ing; and ~ing…”という風に訳すのが安全なのではないか、と思われます。

 

特許翻訳の基礎と応用 高品質の英文明細書にするために (KS語学専門書)

 

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