翻訳の仕事を続けていく中で、毎月、あるいは毎年一定金額を書籍に使っていく、という話は、このブログでも以前からしています。
特許翻訳の場合、ある程度分野(内容)が決まっているので、最初は入門書を購入して勉強をするのもいいですが、ある程度仕事をこなすなかで、専門書を各分野で1冊ずつくらいは持っておくのも、長期的に考えるとコストパフォーマンスが良くなります。
ここで、「分厚い専門書を買っても読む時間がない」というのが多くの人の悩みだと思いますが、専門書は全てのページを通読するのは、後回しで構いません。今回は、別の方法での専門書の使い方についてまとめたいと思います。
細かいことを調べたいときに専門書の該当部分を調べてみる
先日、チェックの仕事をする中で、どうしても訳文の内容について疑問が取れない部分がありました。
仕事の話になるので具体的な内容は極力書かないようにしますが、成分(要素)を列挙する中で、出てくる成分の階層構造がよく分からない、ということがありました(andやorやコンマ、セミコロンなどが上手く使われておらず、どこまでが1つのカテゴリーの塊かがよく分からなかったのです)。
しかも、そこに列挙されている成分が普段なかなか目にすることのないものばかり(神経物質)なので、ネットを検索してみても正式な分類がよく分からず。
最初は、訳文が間違っているんじゃないか?と思って色々調べたんですが、訳文が間違っているとも言えないし、かといって正しいと確証を持って言えるわけでもない。
検索をしても、トレンドアフィリ系のブログに飛んでしまうこともあって厳密な判断ができないので、取りだしたのが何冊かの専門書です。
今は海外に住んでいる関係で、紙の書籍を全てPDFにしてタブレット端末に入れているのですが、その中から「たぶんこの本に書かれているんじゃないだろうか」というヤマを張って、何冊かの本の巻末索引を調べてみました。
当たってみたのは以下の2冊。
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索引で目的の物質名を調べて、該当するページ前後をザッと読んでみてヒントがないか、調べてみました。
直接の答えはありませんでしたが、考える材料になる情報はいくつかあったので、ネットの情報もある程度参考にしながら最終的な判断を下しました。
今回調べたかった内容は、対象がマニアックすぎるものだったのはありますが、疑問を持ったときにインターネットの情報だけではどうしても判断できないことがあります。
そんなときに、今回のようにいくつか専門書を引っ張り出して参考にならないか調べてみるのは、専門書の有効な活用法の1つと言ってもいいでしょう。
もう1つの活用法は、仕事で対応した項目だけ通読する
専門書は通読する必要がない、という基本的な考え方を持っていれば大丈夫ですが、仕事で出てきた分野のチャプターやサブチャプターは、仕事が終わって落ち着いてから1時間ほどで読み通すのも、活用法の1つです(例えば、神経科学で言うと交感神経と副交感神経や、心臓の話など)。そこで出てきた用語はメモしてデータベースに残したり、更に資料を調べてみるのも、次回以降の仕事のための仕込みになります。
また、英語から翻訳された(海外で出版された)専門書は図解も分かりやすいので、PDF化した書籍から該当部分だけを印刷してノートに保管しておくのもいいでしょう。
専門書は、毎日参照するような使い方をするのは時間の都合もあって大変です。しかし、時たま見返してみたり、どうしてもネットの情報だけでは裏が取れないときに、百科事典のように索引検索から言葉や概念を調べてみるには、多いに役に立ちます。
今回紹介した2冊も、値段は6千円と1.5万円ほどと、ボリュームに対して考えると驚くほど安い値段になっています。
毎月、あるいは2ヶ月に1回でもいいので、5千円以上する専門書はコンスタントに揃えていきたいものです。
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