もう1ヶ月以上前の話になるのですが、2月下旬に吹田市にあるアサヒビール工場見学に行ってきました。
もともとは、翻訳同志の藤原さんと、もう一方の3人で行く予定だったのですが、もう一方のほうは諸事情により参加できなくなり、結局藤原さんと2人で行くことに。
工場見学の申し込みは全てしてもらい、僕はほぼ付いていくだけとなったのですが…。
工場見学は平日の午後開始で、最後のビールの試飲を含めて1時間強のスケジュール。
こういう貯蔵タンクを、施設に入る前に目にしながら、
案内スタッフさんの話を聞きながら、試飲用麦芽をいくつか口に入れてみたり(言われた通り、何回か噛んでいると発酵が起こって甘みが出てきました!)、
ビール製造プロセスを学びながら
実際に工場の中で機械を間近で目にして、
ちょっとした、新しい技術の解説も目にして、足早で施設内を駆け抜けて約50分。
この後、食堂みたいなところでビールを試飲して(3杯までできるようです)解散、という流れでした。
なぜ、翻訳の仕事をしているのに工場見学?
この工場見学はもともと、「長岡京にあるサントリービール工場でも見学したいですねえ~」と、同志の輪に投げたことがきっかけでした。
翻訳の仕事って、ネットで色んなサイトを使って、あるいは辞書を沢山使って言葉を調べて、延々と文章を打ち込んでいく、というイメージが強いと思いますし、実際にそういう仕事であるのも事実です。
ただ、特許翻訳という仕事だと、どうしても「世の中で使われている技術」との絡みが出てくるので、定期的に「現場」に出て、実際に技術を目にしてみる、あるいはそれらについての知識をアップデートする必要があるわけです。
特に、僕のような、他の業界での実務経験がほぼない(知財系、技術系などの仕事の経験はありません)20代の若造にとっては、実際に「どんな機械があるの?」「どんな流れで物を作っているの?」「どんな技術を使っているの?」という内容に、少しでも触れる機会を作らないと恐ろしいディスアドバンテージとなってしまうのです。
別にこれは「実務経験がないから」とか「20代だから」とか、そういう理由に限らず、何かの仕事を極めていくための「自己投資」の1つとして考えるべきことだと思います。なので、年齢とかこれまでのキャリアパスに関係なく、翻訳者として仕事をして、自分が対応する分野の「現場」に触れるために、仕事をセーブしてでも実際に足を運んでみる価値は、思っている以上に高いと言えます(部屋に籠もっているだけだと、健康にも悪いですしね)。
今回の工場見学だと、例えば
・発酵ってどんな仕組みで起こっているんだろう?(→ビール造り以外の分野で応用されている世界ってないかな?)
・ビールの濾過に使われる濾過膜ってどんな工夫がされているんだろう?
・「世界初の煮沸法」って、具体的に何が違っていて革新的なのかな?
みたいな、「勉強素材」の発見だったり「新しい知見」の獲得(のきっかけ)が得られます。
あるいは、普段1人で仕事をしているので、同志と合って情報交換をする貴重な機会にもなるわけです(実際、工場見学の前後で計3時間くらい、藤原さんとは色々話しました)。
僕は昔、「翻訳の仕事ができるのは、ある分野の知識に優れていて、加えて外国語の運用ができる人だ」という名言を本で読んだことがあります(本の名前は忘れてしまいましたが)。
今では、「これまで英語を勉強してきたから」という理由で翻訳や通訳の仕事をやってみる、という人も多いようですが(というか、僕も最初はそういう理由でこの仕事をしましたが)、仕事をすればするほど「英語(外国語)ができるだけでは翻訳の仕事はできない」と気づきましたし、いくら本を読んで、ネットを調べまくっても、そもそもイメージが掴めないときだってあるのです。
そういう「ヒューマンエラー」を極力減らすためにも、「現場で何が起こっているのか?」を知るために、今回のように工場見学を利用することが1つの手段となるわけです。
「事件は会議室で起こっているんじゃない!ry」
という某名言からも分かるように、翻訳の仕事で必要なのも、「現場との一体感」なのです。
工場見学やコンベンションも、1年の間に定期的に足を運んで「現場との距離感を測る」「知識をアップデートする」ことに、時間とお金を使っていきたいものですね。
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