特許翻訳(に限らず、翻訳業一般)を、専業ではなくまずは副業として取り組んでみたい、その上で、会社を退職して専業でやっていくかどうかを判断してみる、という方は、一定数おられると思います。
今回は、そんな方に向けて「副業としての特許翻訳」の実現可能性について探っていきたいと思います。
特許翻訳は副業に向いているか?
「副業としての特許翻訳」を考えるときに、最初に出てくる、あるいは考えなければいけない問いは「特許翻訳は副業に向いているか?」というものです。
それは、本業とのスキル(専門分野)の兼ね合い(どれほど重複するか)や、どれだけ時間が取れるか、本業が終わった後(あるいは始業前)に、副業に取り組めるエネルギーがあるかどうか、などが関係してきます。
結論を先に書くと、本業で翻訳業をしている、あるいは知財系の仕事をしている場合を除いて、「特許翻訳の副業」は向いていないのではないか、と私は考えています。
その理由も含めて、順に見ていきましょう。
①本業との知識・スキル重複性
本業でメーカー勤務をしていて、技術系の話が関係する、あるいは知財系の仕事をしていて、特許出願の手続きの流れなどを一通り把握している、という場合は、本業のキャリア・スキル開発を通して培ったノウハウがある程度あると思うので、自分で特許翻訳の勉強をすれば、「翻訳スキル」自体を得るのは、そこまで難しくはないと思います。
逆に、これまでいわゆる「理系」分野の勉強をしてこなかった、高等教育が終わるまでの内容をほとんど覚えていない(あるいはそもそも、文系出身でそのあたりの基礎の部分がおざなりになっている)という状況から、ほとんど特許翻訳(知財)に関係しない仕事(例えば、人事や企画、営業など)でのキャリア開発をしてきた方にとっては、「特許翻訳」のスキルを得るまでに必要なプロセスは、前述した方々よりも多くなってしまいますし、必要な時間も多くなる傾向にあると思います(実際に僕がそうでした)。
もちろん、全く関係ない仕事に就いていたら特許翻訳の副業に取り組めない、ということではありませんが、本業をしながら副業の勉強に取り組む時間を捻出できるか、そして結果が出るまで辛抱できるか、ということが大切になっています。
②どれだけ時間が取れるか
これも、副業をする上では非常に大切な要素になってきます。かつての僕がそうでしたが、月曜の朝は9時半から夜は22時頃まで仕事をして、それが平日は5日間続く…なんて状態だと、副業の勉強ができないのはもちろん、仮に副業としてできるだけのスキルが身についても、その副業に割ける時間があるのか?という現実的な問いが突きつけられます。
というのも、翻訳の中でも特に、特許翻訳というのは、1つの仕事のボリュームが多く(もちろん、少ないものもあります)、平日早朝あるいは夜に1~2時間だけ仕事をする、という環境だと、まず仕事になりません。
翻訳業一般では、1日の処理ワード数の目安というものがあって、特許翻訳だと、英日で最低2000ワード、平均2500ワードほどと言われています。
これだけのボリュームを翻訳するには、当然ながら最低でも4時間ほど、普通は6~8時間ほどかかります。つまり、昼間の仕事と同じ程度の時間は必要、ということです。
誤解を避けるために書いておくと、4時間というのは、特許翻訳を何年か続けて、専門分野の知識もある程度肉付けされてきて、メモリや用語集を使って流せるところは流して、調査が必要な箇所に時間を割ける、という状態になってからの話です。ですから、専業で何年か続けていく中で、自分の得意分野が確立されれば不可能ではない数字ですが、駆け出しの状態で副業、というシチュエーションでは、まず実現不可能ではないか、と思います。
※処理ワード数については、こちらの記事を参照して下さい。
③どれだけエネルギーを割けるか
これも、時間と同じくらいに大切な話です。というのも、何の副業にも当てはまることですが、いくら時間があっても、副業に取り組むエネルギーが残っていなければ意味がないからです。
特許翻訳は、想像以上に頭のエネルギーが必要な仕事です。本業の環境が恵まれていて、8時間程度の勤務時間で仕事が終わり、人間関係に悩まされることもなく、意味のない飲み会や付き合いもないのであれば、仕事が終わってからでも副業として特許翻訳はできるかもしれません(と同時に、時間が足りるのか、という問題もあるわけですが)。
逆に言えば、人間関係で疲れて、サービス残業をする必要がある環境にあって(僕の場合がそうでしたが、零細企業ではそもそも、マンパワーが仕事量に対して圧倒的に足りておらず、1週間40時間で仕事が終わる設計にはなっていません)、あるいは部署の飲み会や付き合いが定期的に行われるような環境であれば、仕事が終わったときにはクタクタで、副業に突っ込むエネルギーが足りていない、ということになってしまいます。
そのため、できるのであれば本業の前、朝早くから副業をするのがいいのでしょうが、これだと逆に、本業に支障が出るということも考えられます。どのみち退職予定であれば割り切って取り組むのがいいと思いますが、本業でミスが余計出てしまう可能性も捨てきれないので、平日5日、毎朝3時間ほどを副業に突っ込む、というのは、リスキーではないかと思います。
以上のような要件を考えてみると、特許翻訳というのは、本業の隙間時間を使って取り組める仕事ではないと思います。実際、翻訳会社の求人情報を見ていても、条件として「専業であること」というものが課されている場合も多いです。これは、日中連絡が取れないと不便、ということもあるでしょうが、そもそも1日6時間~8時間仕事をして、それをややきつめ、あるいは少しの余裕を持って処理できる分量の仕事を割り振ることを前提で、登録翻訳者を欲している、ということではないか、と私は考えます。
ですから、特許翻訳をするのであれば、あくまで専業ですることを目標にして計画を立て、勉強を進めていくのがいいのではないでしょうか。
本業に加える副業としてオススメのものは?
ただ、ここまで説明をして「特許翻訳は副業としてはナンセンス」と切り捨ててしまうのは、どうかと思いますので、私が実践した限りにおいての内容を踏まえて、副業として取り組みやすいもの、あるいは結果が出やすいものをいくつか紹介したいと思います。
①不要品転売(オススメ度 ★★★☆☆)
多くの方は「不要品転売だって?」と思うかもしれませんが、このビジネスは、副業として取り組むには一番障壁が少ないです。
することと言えば、
・自宅にある不要品を集める
・ヤフオクなどである程度相場を調べて、出品
・落札された発送
くらいですから、非常に手軽ですし、そもそも自宅にあるものを売りさばくため、仕入れなども不要で初期費用が圧倒的にかからない、というのも大きな魅力です。
デメリットとしては、配送作業に取り組む時間が限定されるので、落札されたらその日のうちに梱包作業を終えて、翌朝出金するときに、コンビニで配送手続きをする、というような、作業の選択肢に制限があることと(郵便局は開いていないでしょうし、集荷依頼をしても「午前中」という括りでしか指定できないので、朝一はまず無理)、不要品が捌けてしまったら利益になるものがない、ということでしょうか。
ただ、僕自身も、Apple製品など、ブランドとして存在する製品を不要品転売で売りさばいて、数万円の利益を出した経験があるので、「まずは自分の力で1円稼ぐ経験をしてみたい」という方にとっては、この不要品転売に取り組んでみることをオススメします。
不要品転売について詳しくまとめた記事はこちら。
②ワードプレスブログ×トレンドアフィリエイト(オススメ度 ★★★★☆)
続いてオススメなのは、すぐに結果は出にくいけれど、コツコツ資産化(ブログ記事のストック)を続けていくことで、継続的に収益を発生させていく、という「トレンドアフィリエイト」です。
「トレンドアフィリエイト」というと、一般的には「芸能ニュースなど、ネットでバズりやすいコンテンツを作って大量のアクセスを集め、収益を得る」というイメージがあると思うのですが(というか、いわゆる「トレンドアフィリエイト」の大部分はこの手法です)、僕が実践しているのは、この「超短期バズ」を狙うものではなく、「季節毎にアクセスが集まるコンテンツ(記事)をストックして、定期的にブログに大量アクセスを集め、収益化する」という「トレンドアフィリエイト」です。
この手法だと、例えばお正月や夏祭りなどの「季節限定記事」を作り込んでおくことで、毎年その時期にブログのアクセスが集まる、ということになります。そしてこの「季節限定記事」を春夏秋冬で用意しておくことで、時期を問わずブログにアクセスを集めることができる、ということになるわけです。
そして、アクセスの集まる記事に、Googleの「アドセンス」(広告アフィリエイト)を掲載して、そのリンクがクリックされると収益が発生する、という仕組みになっています。
この「トレンドアフィリエイト」は、ブログを書き始めてからある程度アクセスが集まるまでに3ヶ月~6ヶ月ほどの時間がかかりますが、本業に割く時間が長い時でも、昼間の隙間時間(通勤時間や休憩時)に記事の下書きを少し書き進めて、家にいる間に1時間ほど割いて1~2記事を書く、ということをすれば、1ヶ月で30~60記事をストックすることができる計算になります。
「インターネットでリサーチをすること」と「文章を書くこと」が好きでなければ取り組めない副業ではありますが、取り組めば取り組むほど効果は増して、長期的に収益をもたらしてくれるため、興味がある方はこちらに取り組んでみるのもいいかもしれません。
ちなみに僕は、このトレンドアフィリエイトを使って、アドセンス収益だけで月2万円ほどの収益をあげています。2万円というと、決して大きな額ではありませんが、本業にプラスする収益としては大きいと言えるのではないでしょうか。
この、季節に着目した「トレンドアフィリエイト」は、僕が何年も前からフォローしている和佐大輔さんという方が半年間のオンライン講座を開設されているので、ここで学んで実践していくのがいいと思います(以下のリンク)。
※ここで申し込むと、2週間は無料でコンテンツを受け取れて、その後半年にわたって、月額4980円で受講が続けられます。正直、一度収益化できればひと月で余裕で、トータルの受講費は回収できるので、この「トレンドアフィリエイト副業」も僕はオススメです。
ちなみに、トレンドアフィリエイトの教材としてはもう1つ、「下克上∞」というものもあります。
この「下克上∞」は、トレンドアフィリエイトの中で一番有名な教材で、最初に説明した「超短期バズ記事」を使っての収益化の方法から、「ライスワークラボ通信」で紹介されている、定期的にアクセスを集めてバズらせるブログ記事の書き方も紹介されています。ただ、教材の中身はやや「マインドセット」寄りになっていて、「実践を繰り返して試行錯誤を繰り返したい」という方向きではないとも言えます。
料金は、下克上∞のほうが安い(ライスワークラボの半年間の合計受講料よりも)ので、「そもそもトレンドアフィリエイトが何なのかよく分からない、これを使った副業方法の全体像を知りたい」という方は、まず下克上∞を購入してみるのもありかと思います。
【下克上∞(MUGEN)】~トレンドアフィリエイト教材~
その後で、ライスワークラボ通信を通してしっかり実践、というわけですね。
このブログでも何度も言っていますが、「人生に一発逆転はない」ので、コツコツと、自分が持っているスキルと時間を活用して少しずつ資産を作って行きたい、という方は、このトレンドアフィリエイトがオススメです。
まとめ・本当に「特許翻訳」が向いているのか?を考えるのが大切
いかがでしたでしょうか。僕自身、特許翻訳を副業でやったことはありませんが、これまでの仕事の経験から考えると、この仕事を本業に加えての「副業」として取り組むには、難易度が高いと思っています。
ここで本来考えるべきは、「本当に特許翻訳がいいのか?」ということです。自分が使える時間や投入できるエネルギーの量、勉強して補強しなければならない分野がどれくらいなのか、という部分も判断した上で、「月数万円の収入アップ」を考えるのであれば、特許翻訳以外の副業に取り組んだほうがいいかもしれません。
それも含めて、今回は2つ、僕が実際に取り組んだことのある(現在も取り組んでいる)副業を紹介しました。副業で何か取り組みたい、と思っている方は、参考にして頂ければと思います。
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