同じ技術思想の汎用性を考える

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先日届いた、学会誌「高分子」の最新号(2016年6月号)のテーマは

「痛くない高分子:その優しさはどこから?」

というテーマで、生体適合性高分子をテーマに扱っている。

 

これは、人工臓器や人工血管等の医療デバイスや、生理活物質を患部に届けるデリバリーシステムの表面は、体内に送達する際に痛みを感じないように「優しい」高分子で囲む、というのがこのテーマの元となっているのだが、そこで使われている技術は意外にも、素朴なものだったりする。

 

 

例えば、東京大学大学院工学系研究科の石原研究室が行っている「MPCポリマー」は、平たく言えばリン脂質(リン脂質二分子膜)の表面に特定のポリマーを付与することで、溶解性や基材表面での成膜性など、材料特性を幅広く変化させることができる、という技術なのだが、これを見て私が思ったのは、「こんなところでも表面改質が行われるのか」ということであった。

 

上は生体適合性(生体内での利用)を主眼に置いているが、例えばポリマーブラシを生成することで、ある物質の撥水性や親水性を変化させることができる、というのも「表面改質」の一種である。

 

例えばこちら→九州大学 先導物質化学研究所 高原研究室

 

あるいは、以前に特許明細書で目にしたことがあるのは「ナノ粒子の表面改質」である。

例:
「ナノ粒子の合成と機能化プロジェクト」事後評価分科会プロジェクト説明資料

 

他にも、無機物と有機物を(表面改質のために)結合する際にシランカップリング剤(信越シリコーン社の資料)が用いられる場合もあり、これらは、分野や用途こそ違えど「表面改質」という技術で一括りにすることができる、と言ってもよい。

 

普段、特許翻訳の実務を行う際にはどうしても出願企業、研究者、同じテーマの類似特許、という切り口で調べ物をすることが多いのだが、例えば「表面改質」という切り口で様々な分野の技術を覗いてみれば、分野ごとで抱えている課題や解決策も異なっていることが分かってくる。

 

例えば、生体分野では水や脂分とどれだけケンカをしないか、ということが問題になってくるし、金属加工であれば防錆、耐腐食性を付与するために改質を行う、ということも考えられる。或いは、生体分野では「親和性」が大事になるが、粘着テープでは、逆に「剥離性」が需要になってくる。

 

同じ技術思想でも、分野が異なれば真逆の性能が必要とされていたり、違う分野でも改質に用いる材料(高分子)は性質が似ていたり、と、分野横断的に調査をしていくことで、意外な共通点や相違点が現れてくるのも、なかなか面白い。

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