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近鉄で乗るのが難しい列車5選

近鉄は、日本の私鉄の中で最も長い路線区間を持っている鉄道会社。

 

そのエリアは2府3県にわたり、経営分離で近鉄の手を離れた路線(養老線、北勢線、内部線、八王子線、伊賀線)がいくつか存在するものの、未だに日本最長の路線距離があるのは誇らしいものです。

 

そんな近鉄ですが、当然ながらこれだけエリアが広く路線も多いと、「乗るのが難しい」列車というものもいくつか存在します。

 

そこで今回は私は、独断と偏見で、近鉄の中で乗るのが難しい珍しい列車を5つ紹介してみました。皆さんもぜひ、興味があればどれか1つでもいいので、以下で紹介する列車を全区間乗り通してみてください。

 

なお、今回紹介するのは定期列車であり、「しまかぜ」などの臨時列車(特定の運転休止日のあるもの)、特定の運転日にだけ運転される列車(京都~天理で運転される、臨時特急列車)は除いています。ただし、「平日だけ運転」「週末だけ運転」は除外し、検討の対象にしています。

 

第5位:京伊特急(京都~賢島)(平日1往復、休日2往復 ※しまかぜ除く)

第5位は、京都~賢島間を結ぶ「京伊特急」。「京都」と「伊勢」を結ぶことから「京伊特急」と呼ばれており、日本の私鉄で運転される列車としては最長の運転距離を誇ることでも有名です(ただし、「最長運転時間」はこの特急ではなく、浅草~会津田島を結ぶ「リバティ会津」。単線区間が多いことから、京伊特急よりも短い距離ながらより長い時間をかけて移動します)。

 

この京伊特急は、本来は立体交差する大和八木駅で新ノ口短絡線を通って、橿原線と大阪線を転線することも有名で、何かとネタの多い列車。

 

かつては(私が小さかった頃、約15年頃前)、京伊特急は京都~賢島間の区間固定で、朝夕2往復ずつ、合計4往復(8本)が毎日運転されていたように記憶しているのですが、需要の減少もあり、一部列車は京都~鳥羽に短縮、また従来の通常列車1往復を「しまかぜ」に変更したことから、2021年秋の時点では、平日は1往復(9時台の京都発、14時台の賢島発)、休日は2往復(8時台及び9時台の京都発、14時台及び15時台の賢島発)の運転にとどまっています。

 

個人的に、「京伊特急」と言えば京都~賢島のロングラン運転、のイメージなので、これからも、1日1往復でもいいので、定期列車として運転を続けてほしい列車ですね。

 

第4位:特急ひのとりの「甲乙ちゃんぽん」運用(毎日片道1本)

2020年の3月から、それまでの名阪甲特急「アーバンライナー」を置き換える形で順次、名阪特急、及び一部の阪奈特急(間合い運用)として投入された、近鉄の最新鋭の特急列車「ひのとり」。

 

「ひのとり」のデビュー前は、名阪甲特急(停車駅が少ない)をアーバンライナー、名阪乙特急(停車駅が多い)を汎用特急(ビスタカー含む)が棲み分けている状態だったのですが、「ひのとり」のデビューにより、甲特急がひのとり、乙特急がアーバンライナーという、今まで以上に豪華な区間となりました。

 

「ひのとり」が名阪特急として運転される場合、停車駅は難波、上本町、鶴橋、(八木)、津、名古屋(かっこ書きは一部の列車のみ停車)なので、この6駅以外に「ひのとり」が止まることは基本的にないのですが、毎日1本だけ、変則的な停車駅で運転される「ひのとり」があります。

 

それが、難波を21時ちょうど発に出発する「ひのとり621列車」で、この列車は難波~津を甲特急、津~名古屋を乙特急の停車駅に止まって結ぶ、名古屋行きでしかみられない運用なのです。

 

すなわち、停車駅は順に難波、上本町、鶴橋、津、白子、四日市、桑名、名古屋で、奈良県内の八木はすっ飛ばすのに、白子(鈴鹿市)、四日市、桑名の、日中アーバンライナーが停車する駅に丁寧に止まっていくのです。

 

また、名阪甲特急は難波を毎時00分発、乙特急は毎時30分発となっているので、この列車の難波発の時点でのスジは甲特急なのですが、それが途中から、日中の甲特急とはズレていくわけです。

 

この列車は、ひのとりデビュー前はアーバンライナーで同じように甲乙折衷の特急として運転されていたので、系譜をそのまま継いでいるわけですが、「ひのとり」に変わることで、本来乗り降りができない白子、四日市、桑名行き(発)のひのとり特急券も発券されるようになった、というわけですね。

 

この列車の場合、全区間を通して乗るよりも、発着のどちらかの駅に白子、四日市、桑名を入れることで、切符の希少価値は高まるというわけですね。

 

なお、「ひのとり」は名阪特急の間合い運用として阪奈特急にも一部投入されていて、短区間で課金額を抑えて乗るのであれば、こちらの区間のほうが数段に乗りやすいですよ。

 

詳細はこちらの記事で。

【一日一往復】近鉄特急「ひのとり」にお得に乗れる区間がありました

 

※2021年秋現在、阪奈「ひのとり」は平日1往復、休日3往復運転されています。

 

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第3位:近鉄四日市発、鈴鹿線平田町行きの急行列車(平日のみ片道1本)

第3位にランクインしたのは、近鉄名古屋線から鈴鹿線に乗り入れる、平日の朝に1本だけ運転されている「近鉄四日市発平田町行き急行」です。

鈴鹿線は鈴鹿市内を走る近鉄の盲腸線で、伊勢若松で名古屋線から分岐し、途中3駅があって終点の平田町まで延びています。

列車は全て、伊勢若松~平田町の鈴鹿線内完結の運用となっているのですが、平日の朝に片道1本だけ、四日市から鈴鹿線に入線する「急行」が運転されています。

運用の目的は四日市市周辺から鈴鹿市への通勤・通学需要なのですが、全線単線の鈴鹿線内は各駅停車、四日市~伊勢若松間では途中の塩浜にのみ停車(通常の急行列車と同じ停車駅)となっており、「行き先(表示)」「種別」「運転区間」「運転日」の全てが希少性の高い列車です。恐らく、この普通列車(特急列車以外の列車)ほどレア度が高い列車は近鉄にはないのではないでしょうか。

ダイヤは、近鉄四日市を7時52分に出発し、伊勢若松の出発が8時4分、終点の平田町には8時15分の到着。わずか23分の運転というのも、近鉄の急行列車の中で恐らく一番短いでしょう。

興味深いのは、平田町発の四日市行き急行が設定されていない点。昔は走っていたような気もするのですが………通勤通学で毎日使う方にとっては何の変哲もない列車ですが、それ以外の方にとっては本当に縁がない列車と言えるでしょう。

第2位:名張発京都行き特急(平日片道1本)

第2位は、三重県の名張を朝6時前に出発して、新ノ口短絡線を通って京都まで目指す変則的な「京伊特急」(ただし、この「伊」は「伊勢」ではなく「伊賀」の「伊」ですね)。

 

第5位でも紹介した京伊特急は、京都~鳥羽/賢島間の運転なのですが、これとは別に、平日の朝5時59分に名張を出発して、京都に7時19分に到着するという、変態運用の特急列車も存在しています。

 

週末は運転されないこの特急、運転日から「通勤需要」を拾うため………と考えることもできるのですが、そもそも、名張は大阪のベッドタウンではあれど、名張から奈良(西大寺)や京都に通勤通学する人は、数えるほどしかいないと想定されます。

 

また、途中の大和八木からだと西大寺や京都に行く通勤需要は少しはあるのかもしれませんが、通常の京橿(けいかし)特急の起点である橿原神宮前を通らないこと、また名張~八木間は大阪線を走るため、八木駅の出発ホームが2階であることもあり(更に、八木駅の出発時間は6時21分)、奈良県から京都への通勤客を運ぶ、というのも少しピントがずれているようにも思えます。

 

では、なぜこんな特急がわざわざ運転されているのか?と言うと、恐らく一番の目的は「京都発の特急用車両の送り込みを兼ねる」というものでしょう。

 

というのも、どうやらこの列車、前日に大阪難波を出発する最終の松阪行き特急(難波21時50分発)の一部の車両を名張で切り離して、その列車が翌日のこの京都行きに充当されるようなのです(※確かなリソースを調べることができていません。以前、YouTubeで松阪行きの夜間の特急が名張で解結をする、という動画を見たのですが、探すことができませんでした)。

 

これは恐らくですが、本来、翌朝の京都発の特急列車は、前日に難波に到着した列車が奈良線内の東花園の車庫か西大寺の車庫に送り込みされ留置、次の日の早朝に京都まで送り込みされるべきなんでしょうが、両車両基地のキャパや、他に運転されている列車のスジなどとの兼ね合いでその余裕を作ることができず、半ばアクロバティック的に、大阪線を使って転線させる、という方法を取っているのではないかと想像されます。

 

いずれにせよ、名張を6時前に出発する列車に乗るのであれば、名張駅周辺に住むか、駅近くのホテルに泊まるしかありません。この列車も屈指の「乗りづらさ」を伴う近鉄特急と言えるでしょう。

第1位:大阪阿部野橋発下市口行き特急

そして栄えある(?)第1位に輝いたのは、近鉄南大阪線、吉野線で平日片道1本だけ運転される、「阿部野橋発下市口行き特急」列車です。

 

下市口というのは、近鉄吉野線にある途中駅で、この特急列車以外で、この駅が始発、終着になっている列車はありません。また駅自体も1面2線の平凡な中間駅で、そもそも列車の終着駅としての役割が本来与えられる駅でもありません。

 

では、なぜこんな駅を終点にする特急列車ができたのかと言うと………。

 

もともと、この特急列車は、阿部野橋発吉野行きの最終特急(阿部野橋22時40分発)として運転されていましたが、感染症の影響で近鉄の需要が大きく減少、吉野までの需要が見込まれなくなってしまいました。

 

そんな中、2021年7月のダイヤ改正で、この「吉野行き特急」を「下市口行き特急」に運転区間を短縮することにしたのですが、このかつて走っていた吉野行き特急、吉野に到着すると、手前の駅で車両基地のある六田駅まで回送する必要がありました。

 

しかし、この特急が吉野に着くのが0時手前で、この後に到着する普通列車の到着を待って客扱いを終えた後(この特急が吉野到着の最終列車)、これらの列車を六田まで回送する必要がありました。

 

この手間が近鉄にとってはとても負担だったようで、各種経費を削減するために、もともと吉野まで運転されていたこの特急の運転を下市口で打ち切って、そのまま、先にある六田の車庫に回送し、なおかつ終電繰上も行うという「ウルトラC」を思いついた、ということだったのです。

 

なお、この下市口駅では、阿部野橋をこの特急の約25分前に出発した「吉野行き準急」が、特急からの接続を待って吉野駅まで運行し、吉野行きの最終列車としての役割を果たします。

 

 

この特急列車のレア度は、その行き先もさることながら、吉野線内で乗ることの難しさでしょう。もともとは「吉野行き最終特急」として運転されていたので何の変哲もない列車だったのですが、「下市口行き」となると、鉄道好きにとっては話が変わってきます。

 

とは言うものの、この特急が阿部野橋を出発するのは22時40分、終点の下市口に付くのは23時44分で、この時間には橿原神宮前方面にいく列車の終電はとっくに終わっています。

 

しかも下市口は、上で紹介した名張とは違ってホテルなどなく、このエリアに住んでいない人がこの特急に乗って全区間乗車を果たしても、その後の投宿先がないことになってしまうのです。

 

そういう意味では、別の場所でレンタカーを借りて(あるいは自分の車で)予め下市口周辺に止めて、この特急に乗った後車でホテルを目指す、というのが一番現実的な方法になるかと思うのですが、そもそも0時前まで列車に乗った後で更に車を運転するのは、車好きであれば話は違うでしょうが、鉄道好きとなると好き好んでやりたいことでもないのではないでしょうか。

 

そういう難しさも含めると、この、阿部野橋発下市口行き特急に乗る難しさは、他の近鉄列車のそれよりも数段レベルが上、とも言えますね。

 

ちなみに、この特急については、この動画で詳しく解説されています。

 

まとめ

いかがでしたか。今回は近鉄の中でも乗るのが難しい、お目にかかるのが難しい列車5つを選んで紹介してみました。

 

第3位くらいまでならなんとかなりそうな気がしますが、上位は本当に乗るのが難しい列車ですね。ぜひ、色んな創意工夫をしてチャレンジしてもらえればと思います。

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