TradosパッケージファイルをmemoQで開いたときに特定のセグメントが表示されないトラブル

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ここ1年以上、Tradosのパッケージファイルを送って頂いてこちらで翻訳作業をする案件では、パッケージファイルをmemoQで開いて、memoQ上で翻訳作業をして訳文をTradosに流し込み、Tradosでパッケージファイルを作って納品、というワークフローで仕事をしています。

 

あまり大声では言えませんが、Tradosは本当に作業効率が悪くて、セグメントを切断すると再結合したときに番号の末尾に小文字アルファベットが付いてしまうし、原文と訳文が横表示になるので、翻訳作業をするにはどうもイマイチ、馴染まないのです(翻訳者によって、このあたりの馴染み感は違うと思いますが)。

 

 

この、TradosパッケージファイルをmemoQで開いて作業をする方法は基本的に問題はないのですが、たまに「セグメントがスキップされてしまう」という、「重大インシデント」とでも言うべき深刻なバグが存在します。

 

 

分かりやすいのは、本文中で「実施形態1は、~~の方法である。」のような、延々と実施形態を説明していく文章が続くときに、memoQで開いたTradosパッケージを翻訳していると、「実施形態55は、~~についてである。」のあとのセグメントが「実施形態58は、~~についてである」というようになっていて、「実施形態56と57がない!」ということが、仕事をしていると稀にあります。

(ちなみに、ここでは日本語で例を説明していますが、全て英日案件です)

 

これまでに、何度かこのようなバグに遭遇しましたが、原因として1番考えられるのは「原文中に下付き文字や上付き文字が多すぎる」というものです。

 

化合物の例を延々と列挙する文章において、「R1及びR2は、CH3-, (CH2)-O-(CH2)-, ……」のように、……の後にCやHやOやNで作られる官能基が10個も20個も登場して、数字の2や3が下付き文字などになっている場合。

 

どうも、この下付き文字・上付き文字の登場回数が一文の中で閾値を超えてしまうと、その文章はパッケージファイルにはきちんと含まれているにもかかわらず、memoQで開いたときには表示されなくなってしまう、という事態になってしまうようです。

(同じファイルをTradosで開くと、もちろん普通に表示されます)

 

 

この原因が、Trados側にあるのかmemoQ側にあるのかは不明ですが、この対策としては、「下付き文字・上付き文字が出てくる文は、memoQで翻訳した直後にTradosにコピペする」ことで確認をすることが挙げられます。

 

ちなみに、(Tradosパッケージファイルに限らず)memoQで翻訳したバイリンガルファイルをTradosで開くと、互換性のバグなのか、上付き文字と下付き文字が逆転して表示される、ということがままあります。

 

支給されたワードファイルではCH3-となっていて、memoQできちんとCH3-と訳出して、見直しのためにTrados互換のバイリンガルワードファイルで出力しTradosに組み込んで対訳表示させたら、CH3-になっている、という、嘘のような本当の話です。しかもランダムにバグが発生するため、官能基が多く列挙されるツール非指定案件をmemoQで翻訳してTradosで見直しても、後処理が大変という、むしろ効率が悪くなることが何度もあって、このバグには何度も悩まされました。

 

 

このバグで仕事の効率が上がらないのが嫌なので、あるときから、memoQで翻訳するファイルの中で、Tradosパッケージファイルの案件は同時にTradosも立ち上げておいて、必要に応じて翻訳時にそのままTradosにもコピペして訳文挿入をする、というワークフローに変えました。

 

もともと、パッケージファイル案件も翻訳メモリをmemoQからエクスポートしてTradosに流し込んで確定作業をする、というフローにしていましたが、これだと上付き文字・下付き文字のバグも避けられないので、手間はかかるけれどこの作業工程が自分には一番負担の少ないものとなっています。

 

 

この方法だと、上付き文字・下付き文字が多いセグメント付近を翻訳してTradosに挿入、ということをしていると、memoQで表示されていないセグメントにも簡単に気づくことができます(最終的に、メモリをTradosに流し込む場合にも気づけますが、そこでまた翻訳をしないといけないのも面倒なので、逐一確認するほうがいいと思います)。

 

 

TradosパッケージファイルをmemoQで翻訳する人で、同じようなバグに遭遇する方は参考にしてみて下さい。

 

また、同じように作業をしている方で万が一このバグに気づいていない場合は黄信号なので、気をつけて下さい。

 

 

なお、memoQとTradosの二刀流の使い方については拙著「翻訳ツール大全集」でも詳しく解説していますので、そちらを合わせてご覧下さい。

 

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