高分子学会 年次大会(2016年)の簡単なまとめ

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先日の記事でも書いたが、5月25日から27日まで「高分子学会 年次大会」に参加するために、神戸まで足を運んできた。

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ここで、今年の話をするまでに、私が高分子学会に入会した当時のことを話したい。

 

この学会に入会したのは2015年の4月頃だったと思うのだが、当時は特許翻訳のフィールドでようやく片足をかけた程度で、よくもまあ、あんな状態で学会なんぞに入会したな、とは思うのだが、

当時入会した理由としては、「学会の年次大会に参加したい!」という思いだけだった。

 

というのも、去年の年次大会の場所は「札幌」。そして私は、「遠くの地にわざわざ行くこと」に、他の何とも比べられない魅力を感じている人間であるから、「なんとかして札幌の年次大会に参加したい!」という思い1つで、入会費を払って年会費を払って、はるばる札幌まで足を運んだのだった。

 

当時、化学(高分子)の世界については殆ど右も左も分からない状態で、恐らく参加者の中では一番レベルの低い人間だったとは今でも思うが、当時はできる限り、自分の興味のある分野のポスターセッションを片っ端から読んでみたり、解説を聞いてみたりして、分からないなりに、言葉の断片や考え方を拾ったものだった。

 

今思っても、去年のあの行動が良かったのかどうか、ということ「投資」という観点では上手く判断できないのであるが、「自分がよく知らない世界に取りあえず飛び込んでみて、接触面積を増やす」という意味では最速の行動だったように思う。「世の中には自分が全くしらない世界があるのだ」ということを知っただけでも収穫だったし、そういう人に少しでも追いつきたい、という熱意を持てたという意味でも良かったように思える。

 

 

そして、年は変わって2016年である。実は、今回の年次大会には、以下のようなことを考えて臨んだ。

 

①ポスターセッションではなくプレゼン発表をメインにする

去年の年次大会では、入会したのが本番の直前でもあったし、そもそもどんな内容で行われているのかよく掴めていなかったので、場当たり的な行動になってしまった感が否めなかった。

そして、ポスターセッションをうろついて分かったのは、細かい内容はよく分からない、ということであった。この化合物を使う理由は何なのか、ということや、実験プロセスをつぶさに追うことはできなかったし、個別具体的な話をされても、全体像が分からない…ということもあり、本当に「ただ聞くだけ」になってしまった状態だった。(わざわざ向こうから「説明しましょうか?」と言われて聞いてみるものの、その後に何を質問すればいいかも分からない状態、だった)

 

そこで今回は、ポスターセッションで話を聞いても恐らく細かいところまでは分からないだろうから、会議室の中で行われるプレゼンをメインで回ろう、と決めていた。

 

こちらであれば、テーブルにノートやパソコンを開いて、発表を聞きつつキーワードを拾い上げてメモすることもできるし、他の聴衆との意見のやりとりを聞くこともできる。できるだけ前にある机を陣取って食い入るように聞きながら、他の発表者とのやりとりも聞けば、当業者がどういう部分に疑問を持っているのか、ということも少しではあるが分かるだろう、という魂胆があった。

 

当日、といっても三日間であるが、こちらの予稿集を事前に印刷して、興味のある発表テーマと会場の確認を行った。そして当日は、どうしても聞きたい発表のスケジュールを先に押さえておき、残りの時間は自分の興味や仕事で対応することが多い分野(今回であれば生体適合高分子等、医療、生化学分野との関わりが多い分野)のプレゼンが行われる会場にずっと居座り続け、どんな課題があるのか、そしてどんな解決策が考えられているのか、という流れを押さえることを意識して、発表を聞くようにした。

 

結果的に、今回の年次大会ではこの1年間、特許翻訳に関わり続けたことで相当自分の理解度が上がっていることに気づけたので、大変多くの収穫を得ることができた。技術思想も似たようなものが使われいる、ということも感じたし、話の流れをだいたい理解できながら聞き続けられたことは、自分でも驚きを隠せなかった。

 

②懇親会にも参加してみる

高分子学会の年次大会では、懇親会にも参加できる。実はこれ、去年も申し込んでいたのだが、日程を完全に勘違いしており、気づいたときには終わっていた…という悲惨なことになっていたのだ。本当は3日間のうちの2日目に行われるのだが、去年は「最終日に行われる」とずっと思っており、会場で参加費まで払ったのにすっぽかす、というあり得ない経験をしてしまうことに。

 

なので、今回はスケジュールを何度も確認し、色んな人から当技術分野の専門的な話も聞こう、ということで参加をしてみた。

 

結果的に、そもそもこの世界でつてが全くない状態なので、他の「できあがっている」方々との関わりに入っていくのは非常に難しいことが分かったのだが、研究職の方だけでなく、企業からの参加者もいて、私のように周りが他人だらけ、という人もいたので、そういう人達と話しをしつつ、大学(院)で研究に勤しんでいる方々とも何名かと話をすることができたのは、収穫だった。

 

一番良かったのは、先日の「特許検索に学会誌を活用する」で触れた、業界では大変名の通った海外の研究者と、直接話ができたことだった。自分なりに特許を調べて、細かなところまでは追えていないのだが、そういう立場でこういう仕事をしている、ということを自己紹介で伝えつつ、どういうところで新しい技術の着想を得られるのか、という話も少しではあるができた。(相手の方は、「共同研究した研究者が優秀だった」という回答だったので、自分の質問力もまだまだだ、とは思ったが…)

 

まとめ

今回の学会は、参加して本当に良かったと思っている。改めて日頃の仕事でもっと高みを目指そう、とも思った。何よりも、時々このような「空気の入れ換え」兼「自分より遙か高い所にいる人達との直接の関わり」を行うことが、普段部屋に籠もって孤独に仕事をしている身にとっては貴重な機会にもなる。

 

というわけで、自分の興味のある分野の学会に入って、年に一度はこのような発表に足を運んでみることもオススメである。

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