フリーランス翻訳者が知っておくべきお金の話(売上・経費・所得編)

この記事は4分で読めます

今回も、前回の続きでお金の話をしたい。

こちらの記事でもお伝えしたが、フリーランスとして仕事をする上で(というよりも、どんな立場であれ、仕事をする上では)「お金」の話は避けては通れない。

 

お金はある程度生活に必要であるし、仕事の取引においても必ずやりとりしなければならないことだ。あるいは、税金を納めたり、会計ソフトに入力をしたりと、至る所でお金との関係は切っても切れない。

 

他方、私の所感であるが、お金に無頓着な人も多いように思える。私は20代前半で独立をし、確定申告等も自分でやらないといけないようになったので、その環境の中でお金と向き合うことができたと思っているのだが、周りには会社勤めの人も多く、「確定申告って何?」という人も中にはいる。

 

お金の話は様々な切り口があるので話はいくらでも展開してしまうのだが、このブログでは、「フリーランス翻訳者」として必要な、確定申告や税金に関する内容とお伝えしたい。

今回は、その中でも基本中の基本、「売上・経費・所得」についての話をしよう。この三つの考え方を理解すれば、確定申告が何たるか、ということも容易に理解できよう。

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「売上」とは

 

シンプルに言えば、「仕事を通して得たお金全額」だ。

フリーランス(=個人事業主)の場合、ある年の1月1日から12月31日までを「会計年度」として捉えるので、この一年間での、入ってきた額が全て「売上」となる。

フリーランス翻訳者の場合、「翻訳案件を納品して得たフィー」が「売上」とシンプルに考えて良い。

例えば、一年間で50万円の案件を10本担当して、500万円を一年間で手に入れたとする。この500万円が、その年の「売上」になるわけだ。

なお、今回は分かりやすいように「内税」で考えることにする。

 

「経費」とは

「支出」と考えている人もいるであろうが、この理解は不十分だ。

「経費」とは、「事業をするために必要な支出」であり、「売上を立てるために必要な支出」とも言える。

フリーランス翻訳者の場合であれば、例えば以下のものを「経費」として考えることができる。

 

・仕事に必要なパソコン、データ保存用外付けHDD等
・仕事で使う椅子、照明、本棚等
・担当した仕事で必要に応じて購入した書籍
・取引先に挨拶に伺うための交通費、贈答品代
・最新情報を入手するためにコンベンションに参加したときに交通費、入場料、宿泊費

 

これらは、支出であることに間違いないのだが、「経費」として考えることで、支払う税金に違いが生じてくる。今は取りあえず、「仕事に関係する支出は経費」と理解しておいて大丈夫だ。

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「所得」とは

所得=売上-経費、である。

例えば、500万円の売上があった年に、パソコンや書籍等をいろいろと購入して、250万円の「経費」を使ったとする。

そうすると、「所得」は「250万円」となる。

 

分かりやすいように、図にしてみた。

 

IMG_0241

黒の棒グラフが、500万円という「売上」であり、このうち青部分が「経費」、赤部分が差し引き部分の「所得」である。

今回のケースであれば、最終的に「250万円」が収入となる。

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「売上」「経費」「所得」を区別する理由は?

このようなこと疑問をお持ちの方もおられるかもしれない。

 

一番分かりやすい回答は「税金対策」である。

会社員をしていると分かりづらいのであるが、税金(所得税)は、文字通り「所得」にかかるのだ。

 

会社員の場合、給与=所得、となるので、(各種控除はあるけれども)基本的に「所得」=「売上」(収入、と言ってたほうが良いかもしれない)に対して所得税がかかる、というわけである。

 

片や、フリーランス翻訳者の場合、「売上」と「所得」は異なるものである。あくまで、手元に残ったお金が「所得」であり、これに対して税金がかかるのだ。

 

ただ、この考えを理解するのは、フリーランス翻訳者であるが故に難しいとも言える。というのも、フリーランス翻訳者の場合も、会社員と同じように「売上」=「所得」という考え方を一般的にしてしまいがちであるからだ。

 

どういうことか。要するに、商売の基本とも言える「物の売買」がないのである。

 

例えばあなたが、個人経営で小さな居酒屋(バーでもよい)を営んでいたとする。

 

その場合、決して「売上」=「所得」にはならない。

居酒屋の経営での「売上」と言えば、間違いなお客さんから払ってもらった金額の合計であるが、

これとは別に、「経費」として

・業務スーパーで仕入れた食材
・テナント料
・食器類
・電気代

等を、どうしても支払う必要があって(これを「必要経費」という)、自ずと、売上から経費を差し引いた所得は、別のものとなるからだ。

 

あるいは、商品を仕入れてそれを得る場合、簡単に言えば売上額(例えば5000円)から仕入れ額、つまり経費(例えば1500円)を差し引いて手元に残る額(3500円)があり、どうしても「仕入れ額」が経費として存在してしまう。

 

そして、これらの商売をやっている人からすると、「売上」と「所得」は全くの別物である。いくら「一年の売上が1000万円!」と言っても、仕入れ代金やテナント料などで500万円ほど使ってしまったら、手元に残る「所得」は500万円である。

(だから、所得税はその500万円に対して課税される。)

 

フリーランス翻訳者の場合、このように何かを仕入れる必要もなく、物理的な商品を取り扱う業務とは違っているのでどうしても「売上」と「所得」の違いを、実感しづらいのだ。

 

そのため、フリーランス翻訳者にとってこれらの三つ(特に「売上」と「所得」の二つ)を区別できるようになっておくことは、確定申告の際に申告する所得額を考える上で大事になってくるのである。

(裏を返すと、居酒屋のように客が来ずに売上が立たなくても、食材やテナント料でお金で経費が出て行ってしまう一方で、お金のやりくりが大変…という悩みを抱える心配はない。)

 

まずは「売上」「経費」「所得」の三種類の違いをしっかりと押さえておいて頂きたい。

 

※独立して間もないフリーランスの方向けに2017年11月に東京実施した「お金の守り方セミナー」のオンライン販売を行っています。これからお金に強くなって長くフリーランスとして活動を続けていく方は、以下のリンクをご確認下さい。

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