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弁理士試験の選択論文のオススメは? 3科目を比較して紹介

弁理士試験

弁理士試験を受験される方の中には、選択論文科目をどのようにクリアするかに頭を悩ます方も一定数おられるかと思います。

 

弁理士試験のシステムは、短答、必須論文、選択論文、口述の4つの試験をパスする仕組みになっていて、受験生の多くの方は、「理系分野の修士・博士号を持っている」ことから、選択論文科目は免除され、短答、必須論文、口述の3つの試験に集中すればいいようになっています。

 

一方で、大学時代に文系に進んだ人(私もかくいう、そんな1人です)や、理系に進んだけれど学部卒で就職をした方にとっては、この選択論文をどのようにクリアするかも考えなければならない要素です。

 

選択論文は、理工I(機械・応用力学)、理工II(数学・物理)、理工III(化学)、理工IV(生物)、理工V(情報)、及び法律(弁理士の業務に関する法律=民法)の6つから1つを選択する必要があり、理系に進まれた方にとっては、自分の専門分野の科目で受験をする手がありますが、これらの科目の過去問を見ても分からない、という方にとっては、法律(民法)を選択するか、後で紹介する、選択科目免除資格を予め取っておくか、の選択肢しかありません。

 

また、理系の選択論文科目を勉強することは、できなくはありませんが、これらの科目は予備校などで対策コースの取扱いがなく、特許庁のサイトから、過去問の解答例は出ていますが、細かい解説が出ていないため、何もないところからこれらの科目を勉強して合格する、というのは現実的ではありません。

 

弁理士試験は、司法試験などと違い、大学在学中から試験合格を目指して勉強される方が少ない試験で、受験される、資格を取られる大半の方は、大学卒業後にこの資格を知って、受験をされる方です。

 

また、弁理士試験の保有者の大多数は理系分野の専門家ですが、意匠商標の専門家や、翻訳(特許翻訳)のキャリアから弁理士になられる方もいるなど、様々なキャリアパスを持っている方が取得する資格であるのも事実です。

 

かつて私が受験をしたときもそうでしたが、選択論文科目という、他の受験生と比べて不利な点をどのようにカバーするかが課題でした。

 

受験生にオススメの選択論文科目・受験免除資格3つ

私が受験した際は、弁理士試験の受験申込み締切りが近づいていることなどから、選択論文の対応をどうするかまでを熟考して決めることができなかったのですが、今言えるのは、弁理士試験を受験される非理系の方で、選択論文の対応が必要な方にオススメできる選択肢は、以下の3つである、ということです。

①民法(弁理士の業務に関する法律)

民法は、選択論文の科目の1つなので、受験スケジュールとしては、短答試験に突破した後で、必須論文と合わせて受験することになります。

論文科目のため、筆記(論述)試験のみで、試験時間内は文章を書き続けることになりますが、弁理士試験の他の科目(短答、必須論文)と合わせて対策や勉強ができるので、翌年の受験に合わせてじっくりと勉強に取りかかれば、相対的に時間を掛けずに合格することができるのが長所です。

 

<民法の特徴>

受験時期 毎年7月中旬の日曜日
費用

12,000円(弁理士試験の出願に必要な特許印紙代)。

民法を選択するに当たって追加の受験料は不要。

試験時間 1.5時間(90分)
試験範囲 民法の総則・物件・債権
試験方式 論文式(※試験用法文集の貸与あり)
合格に必要な勉強時間

200~300時間(予備講座の講義と、アウトプットにかける時間の合計。)

※あくまで一例です

 

②応用情報技術者試験

選択科目の2つ目は、「選択論文免除資格」の1つである、応用情報技術者試験です。

分野はITエンジニア向けのものなので、得手不得手がハッキリ分かれる科目ではありますが、弁理士になってから通信制御系の実務に携わる際には、理解しておいて損のない分野と言えます。

実際のところ、文系出身で特許弁理士になる方には、このような情報通信系の分野の特許実務を極められる方も多く、弁理士登録をしてから転職活動をする際にも、保有資格として応用情報技術者を記載できるのは、メリットと言えます。

また、応用情報技術者試験は、選択式と記述式の両方で構成され、試験のウエイトは選択式に置かれているため、選択論文(民法)ほど、筆記の負担がないのも利点と言えます。

デメリットとしては、この試験の受験スケジュールが毎年春(4月)と秋(10月)の2つに決まっている点です。受験日から合格発表まで約3ヶ月の期間があるため、弁理士試験の受験願書提出期間である、毎年3月上旬~4月上旬に間に合わせるには、弁理士試験の前年の4月又は10月に応用情報技術者試験に受験をして、合格をする必要があります。

あるいは、先に弁理士試験の短答受験を行い、同じ年の秋に応用情報技術者試験を受験する、という方法もありますが、いずれにせよ2年以上、弁理士試験の最終合格まで時間がかかってしまうのが欠点と言えば欠点と言えます。

<応用情報技術者試験の特徴>

受験時期 毎年4月中旬(日曜)、及び、毎年10月中旬(日曜日)の年2回
費用 7,500円
試験時間

午前:150分(9時30分~12時)

午後:150分(13時~15時30分)

試験範囲 こちらのHPを参照
試験方式

午前:多肢選択式(四肢択一)/80問

午後:記述式/11問から5問選択

勉強時間 一般的に500時間程度と言われる

 

③行政書士試験

選択科目の最後のチョイスは、行政書士試験です。

行政書士試験の魅力は、なんと言っても、弁理士との「ダブルライセンス」です。実際、文系出身で、弁理士と行政書士のダブルライセンスを武器に活躍されている弁理士さんもおられるので、特許実務未経験、あるいは経験が浅い、という場合に、2つの資格を持って、他の士業さんと差別化を図って仕事を行うことができます。

デメリットとしては、こちらも応用情報技術者試験と同じく、試験日程が決まっているため、短期で弁理士試験最終合格まで到達するのが難しい、という点が挙げられます。

また、行政書士は、弁理士と同じ士業であるため、難易度の差こそあれど、士業の国家試験を受験してパスするには、相応の時間が必要です。上に挙げた民法、応用情報技術者と比べると、勉強のために必要な時間は比にならないほど多いことが予想されるため、「弁理士試験の選択論文免除」だけを考えると決してクレバーな選択とは言えないかもしれず、ダブルライセンスを使ってのキャリアパスを描く方にとって有効な選択肢であると言えると思います。

<行政書士試験の特徴>

受験時期 毎年11月中旬(日曜)
費用 10,400円
試験時間 3時間(午後1時~午後4時)
試験範囲

行政書士の業務に関し必要な法令等:

憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、令和6年4月1日現在施行されている法令に関して出題します。

行政書士の業務に関し必要な基礎知識:

一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解の中からそれぞれ出題し、法令については、令和6年4月1日現在施行されている法令に関して出題します。

試験方式

行政書士の業務に関し必要な法令等:択一式及び記述式(40字程度)

行政書士の業務に関し必要な基礎知識:択一式

勉強時間 一般的に600~1000時間と言われる

弁理士試験受験生の内訳はどうなっている?

ここで、弁理士試験の受験統計から、どの程度の方が民法選択、あるいは応用情報技術者又は行政書士試験で選択論文免除を行っているのかについてもまとめておきます。

特許庁の令和5年度弁理士試験統計に、短答式試験の受験者統計のデータが公表されているので、これを参照しました。

・短答式受験内訳:民法(法律)696名/総人数2714名(約26%)

・免除資格内訳:情報処理技術者218名/総人数1495名(約15%)

・免除資格内訳:行政書士27名/総人数1495名(約2%)

※特許庁のサイトでは、これらとは別に、「選択論文受験者/合格者統計」データも出ていますが、今回は合格の有無ではなく、母数の一番多い、短答受験時のデータを分析しました。

 

選択論文の受験者と、選択論文免除資格者とで母数が異なるので、単純な比較はできませんが、民法での受験が一番多く、次に応用情報技術者が続き、一番少ないのが行政書士でした。

 

やはり、文系出身の方の場合、応用情報技術者試験に抵抗を覚える方も多いのか、民法選択を取る方が多いようです。

 

自分に合った選択論文科目/免除を選ぶには?

ここまで、民法選択、応用情報技術者試験、そして行政書士試験の3つを紹介してきましたが、どの選択をするのが一番あなたに向いているかが、まだ分からず悩まれているかもしれません。

ここからは、どの科目を選択して、どのように勉強を進めていくのがいいかを詳しくお伝えします。

①まずは過去問を見てみて、どの科目が一番適しているかをイメージ

最初に取り組むのは、それぞれの科目の過去問を見比べてみて、自分にはどの科目を選ぶのが一番近道になりそうか?を把握することです。

民法に関しては、令和5年度の過去問を、こちらに掲載しておきます。

令和5年度弁理士試験論文式筆記試験問題

応用情報技術者試験に関しては、令和6年度春の過去問(午前中)を、こちらに掲載しておきます。

午前問題

行政書士試験に関しては、令和5年度の過去問を、こちらの掲載しておきます(著作権の都合で、一部省略された設問あり)。

令和5年度行政書士試験過去問

②社会人の勉強に講座利用は必須! 適した科目の対策講座を確認してみる

続いては、自分に適しているなと思った選択科目の、対策講座が出されている予備校サービスを確認してみましょう。

弁理士試験の受験をする人は、9割方が社会人で、仕事をされながらの受験。また、弁理士試験自体が難関国家資格であるため、独学で試験を突破しようとするのは、限られた時間と、資格を手にしてからの年収アップなどを考えると得策ではありません。

実際、短期合格をされている受験生は皆、通学ないしオンラインの講座を使って、弁理士試験の勉強をされています。

選択論文科目の勉強も同じで、特に民法は、解説書などがないことから、受験に特化された対策講座を利用して勉強するのが最短距離です。

 

また、応用情報技術者試験と行政書士試験に関しても同じことが言えます。これらは共に、国家資格であるため、対策本などが市販されてはいるものの、弁理士試験の最終合格が目標のあなたにとっては、これらの試験は合格がゴールではなく、あくまで通過点となっています。

 

これは、民法、そして、弁理士試験(短答、必須論文)にも当てはまることですが、大切なのは「試験合格ラインに必要な点数をきちんと取る」ことです。そのためには、捨てていい問題・出題もあるわけで、その見極めを含めて限られた時間で理解をし、要点を押さえて合格点を取るためには、洗練された対策講座を上手く活用するのが得策です。

そんな対策講座としてオススメなのが、民法と応用情報技術者試験に関してはLEC東京リーガルマインド、行政書士試験に関してはアガルートです。

 

東京リーガルマインドでは、民法だけの単独講座が用意されているため、弁理士試験の講座そのものを他の予備校で利用していても、民法だけをオプションで勉強できるのが強み。

 

また、応用情報技術者試験に関しても、「合格点を取る勉強法」に焦点を当てて、多くの受験生がつまづく分野を重点的に解説するなど、無駄のないカリキュラムになっているのがメリットです。

加えて、応用情報技術者試験の講座料も、他の大手予備校と比較して安いのも良い点と言えます。

 

※以下はLEC東京リーガルマインドの公式サイトより抜粋

https://www.lec-jp.com/ap/

 

また、行政書士試験に関しては、アガルートの講座が、合格率の高さを考慮するとオススメです。

 

※以下はアガルートの公式ページより抜粋

https://www.agaroot.jp/gyosei/list/cr01/

 

なお、アガルートのサイトでは、行政書士試験のどの講座の受講がオススメかについて、フローチャートに沿って案内がされています。

 

https://www.agaroot.jp/gyosei/list/cr01/

弁理士試験を受験する場合、あるいは、受験経験がある場合でも、行政書士試験の過去問は別物なので、入門総合カリキュラムを利用するのが一番確実と言えるでしょう。

まとめ

今回は、弁理士試験で選択論文を突破しないといけないあなたに向けて、オススメの選択科目・免除科目を3つ紹介しました。

 

弁理士試験の対策ブログは多くありますが、その大半は、理系出身者で、選択論文が修士・博士号保有で免除された方によるもので、選択科目を受験しないといけない人にとって有益な情報はなかなかありませんでした。

 

そんなあなたが、選択論文を突破するために一歩を踏み出してくれるように今回のブログを書きました。あなたに一番適した方法で、弁理士試験に合格してくださいね。

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jiyuugatanookite.com

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