新快速のAシートに乗ってみた!運行時間や利用時の注意点、使ってみた感想は?
2021/01/08
2019年の3月ダイヤ改正から、JR西日本のアーバンネットワーク・新快速の一部列車に導入されたAシート。デビューから約2年が経とうとする中、初めてこの座席を使うことができました。
今回は、実際に使ってみた感想などをまとめたいと思います。
目次
1日2往復のAシート。時間が限られていて更に有料というチョイスって現実的なの?
Aシートは、もともと12両編成の全てが自由席で運転されている新快速の9号車(播州赤穂、姫路方面から9両目、米原・敦賀方面から4両目)を改造した、有料の着席保証シートです。
新快速に使われる223系、225系、227系は3ドアのクロスシートになっていますが、この「Aシート」専用車両は、真ん中のドアを塞いで前と後ろの2ドアにし、座席エリアは空席がないと座れない(立席は不可)、という制限が設けられました。
運転区間は、網干・姫路~野洲なのですが、このAシート改造を受けた列車が2編成しかないため、運転されるのは1日たったの2往復。詳しいダイヤは、JR西日本の公式案内をご覧いただきたいのですが、平日ど土日祝日で運転時間が異なるのと、滋賀から兵庫播州までの長距離運転になることから、同じ列車でも、通勤ラッシュの時間帯に被る区間とそうでない区間があり、「通勤時間に座りたい」という方のニーズを必ずしもくみ取れるものではない、というのが、ダイヤを見た感じのネックとなっていそうです。
Aシート料金は500円で、これはどの区間を乗っても同じ。京都から大阪まで行く場合でも、姫路から草津まで移動する場合でも同じなのです。
料金だけを見ると、長距離移動の際にはお得なサービスに感じられるかもしれませんが、途中乗車の場合は、座席が空いている保証がありません。Aシートは、座席が空いていないと座席エリアには立ち入ることもできず、満席の場合はドア付近で、席が空くのを待つ必要があります。
複数の乗客が席が空くのを待っていたら、先着順になってしまう場合もあるでしょうし、せっかくワンコインを払って快適な空間を確保したいのに、その前に不毛な競争に巻き込まれてしまう恐れがあるのが、少し嫌な点ではありますよね。
2020年の12月からは、一部座席(12席)が座席指定化されるようになったものの、JR東日本のグリーン車自由席のように、ほとんど全ての列車に連結されているわけでもなく(むしろごく一部の列車にしか連結されていない)、Aシートチケットは着席後、専用のアテンダントさんから購入する必要があり(しかも現金決済のみ)、満席の場合は座席エリアでの立席もできない…という現状は、いくら試験的な取り組みとはいえ、ユーザーフレンドリーな仕様とは、お世辞にも言えないものかと思います。
実際に乗ってみた
そんななか、2020年の11月に、短距離ではありますが実際にAシートに乗ってみました。どんな感じだったのかと言いますと…
まず、乗った区間は平日、21時42分に高槻を出発して、大阪に22時手前に到着する列車。この、時間にしてわずか15分ほどの区間を、奮発してAシートに乗ってみたのです。
①列車到着まで
高槻駅は、もともと2面4線でしたが、新快速・特急用の乗降ホームができて、4面6戦の大型駅となりました。
大阪方面行きの新快速は6番ホームに入線するのですが、その9号車の位置には、
このとおり、他の乗降案内に加えて、Aシート専用のステッカーが用意されていました。
案内板の掲示もこの通り。
普通の新快速の乗車案内は「△1~12」なんですけれど、このAシート連結列車に限っては、「△1~8、10~12」と律儀に表示されていて、横に「△9は有料座席」と、別に表示が………。
この備考表示の欄が「遅れ」の欄になっているのはやや残念な感じもしますが、この表示と案内がないと、間違って乗ってしまう人がいるんだと思われます。
ただ、9号車の入り口で待っていたところ、見るからに有料座席に乗るような格好の人ではないよな…という人も数名いました。その方たちは乗車後、アテンダントさんに説明されて別の車両に移っていきましたが、やはり、1日2往復で認知度の少ない有料座席車は、普通の人は知らずに乗ってしまう可能性があるんだなあ、と感じました。
②乗車してから
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さて、実際に乗車です。
外観はこんな感じ。比較の写真を撮り忘れたのですが、Aシート車両の車内照明は、他の一般車両よりも暖かみのある色なんですよね。パッと見ただけでも車内の雰囲気が違うんですが、こうすることによっても、有料座席であることを気づいてもらえるようにしているのかもしれません(あとはリラックス効果とかもあるのでしょうか)。
高槻で乗車したときの乗車率は3割ほど。
・窓側の座席はだいたい埋まっている
・通路側の座席はほぼ座っていない
という状況でした。
料金の払い方ですが、とりあえず空いている席に陣取ります。列車が出発するときにアテンダントさんが、新しく乗ってきた人に「有料座席ですけどいいですか?」と聞いてくるのですが、そのまま座りましょう。
出発してからアテンダントさんがやってきて、どこまで乗車するかを聞いてきます。それを伝えたら、
こういう風に、支払いを終えてから非磁気式の切符を印刷してくれます。
これをシートのチケット受けに入れて、降車時に合わせて持ち去る、というスタイルのようです。乗車時に目的地を伝える必要があるので、興味本位で乗るときでも、どこまで乗るかを決めておいたほうが良さそうですね。
こちらが、Aシート専用のテーブル。この設備は新快速自由席(というか普通の車両)にはありませんから、ちょっと作業をしたり、軽食を取ったりするのには便利ですね。
こちらがコンセント。左右の座席に1つずつありますが、今のご時世であれば、USB形式のほうがいいのではないかな、なんて思ってしまいますね。新幹線であれば、パソコンを差し込むのにこのコンセントでも問題ないと思うんですが、Aシートは、パソコンを充電して仕事をするには、ちょっとスペースが小さすぎると思います。
リクライニングは結構傾きます。特急列車で使われている普通車のリクライニングより、傾斜角度は大きいのではないでしょうか。
大型の荷物置き場もありましたが、わざわざ追加料金払って、このAシートを使うことって多いのかな、というのが率直な疑問…。混雑している時間帯は、Aシートでも着席の保証はありませんし、なんならこのスペースも座席にしたほうがいいんじゃないか、とすら思います。
これはデッキ部分にある、簡単な注意書き。「立席不可」というのがなんとも。つり革がないのも関係しているのでしょうか。
③不人気な車両中央部席の謎
私が座ったのは、車両中央部にあった座席の窓側なんですが、なぜかこのエリア一帯だけ、誰も座っていないんですよね………
と、実際に座ってみて分かりました。
この部分、もともとあった中央扉を塞いで座席を配置したので、座席の位置と窓の位置とが合わないんですよね。
これだと、せっかくお金を払って着席したのに、車窓を楽しめない………。夜に運転される列車ならまだしも、日中の列車でこの座席に座るのは「ハズレ」と言われても仕方がないと思いました。
外から見るとこういう風になっています。
④無料インターネットも使えるけれど、登録が必要
Aシートでは、無料のWi-Fiも飛んでいて、会社はそれをウリにしているようではあるんですが、実際に使ってみようとすると、
利用するには、メールアドレスを登録するか、各種SNSアカウントと連携する必要がありました。これは正直面倒………。私はポケットWi-Fiを使っていることもあって、そちらをそのまま利用しました。今は格安SIMでも、データ容量の大きいプランもありますから、Aシートでの移動中にわざわざ、JR西日本が用意する無料Wi-Fiは使わなくてもいいのかな、と思いました。
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まとめ:不便な点も多いけれど、特急よりも安く快適に移動できるのは見逃せない
今回は高槻から大阪まで、わずか17分程度の乗車ではあったのですが、新快速のAシートを使ってみました。
乗車しての感想ですが、まず微妙だな、と思った点は、
・運転本数が限られすぎていて、乗りたいときに乗れる(使いたいときに使える)サービスではない
・確実に着席できるわけでもなく、料金の支払い方法も座ってから現金のみ、と、不便極まりない
・中央部の座席は窓と座席の位置が合っていなくて、外の景色を見れない
という3点です。特に3つめは、人によっては「乗り損」とまで思ってしまうのではないでしょうか………。
ただ、よい点も確かにあって、
・特急の自由席と遜色ない座席に、割安で乗れる
・移動中に軽食を取ったりお酒を飲んだりすることができる
・通勤・帰宅ラッシュ前後の時間帯で利用するのであれば、通勤特急列車の補完的な役割として、それらが動いていない区間や時間帯に快適に利用できる
という3つを考えると、利用してみて損はないサービスだと感じました。
特に、最近増えてきている通勤特急は、朝に関西各地から大阪に、夜に大阪から関西各地に、という方向だけで運転されており、それ以外の時間帯や方向に、追加料金を払って特急のように移動できるサービス、としてAシートを考えてみると、意外と利用のしがいがあるサービスなのではないか、と思いました。
ただそれで言うと、今回私が利用した、平日夜に野洲から網干に向かう新快速は、その10分ほど前に京都~大阪間でサンダーバードが走っていて、こちらは高槻も停車する「通勤特急」のような役割が重複してしまっていて、互いに良さを食い合ってしまっている印象を受けました。
青春18きっぷで利用できる、というのも地味に見逃せない点なので、普段利用でもそうですが、頭を使って、どのように利用するのがお得そうかを考えるのには適しているサービスではないか、といえるのではないでしょうか。
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