翻訳業で一人法人成り。立ち上げ時に苦労したこと②

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前回の記事、翻訳業で一人法人成り。立ち上げ時に苦労したこと①の続きです。

 

今回は、法人での銀行口座開設と税理士さんの選択についてです。

 

①銀行口座をどうするか

結論から言うと、とりあえずは「ネットバンク」と「大手銀行」の2つで開設して、2つの銀行口座を持つのがいいかと思います。

 

ネットバンクと大手銀行の使い分けは、主に2つあります。

<ネットバンク>

ネットバンクは、開設がしやすいため、法人立ち上げ直後からの、諸々の入金や出金のやりとりに使うためのものと考えてください。

 

選択肢は一択で、GMOあおぞらネット銀行で、法人名義の口座をとりあえず開設します。

※↑のリンクから実際に口座を開設していただくと、開設から2ヶ月間は、他行宛への振込手数料が10回/月無料となる特典を利用することができます(合計で20回、他行宛への振込手数料が無料となります)。

 

翻訳業で、業務委託もせずに1人で仕事を続けるのであれば、月に10回も振込を行うことはないと思いますが、例えば自分個人の口座への給与振込みや、法人設立時の創業費・開業費の立替え(法人ができるまでは、社長個人のお金で立て替えることになります)分の、個人口座への払込みなどで、月に3~5回は振込手続きをすることになるかと思います。

 

GMOあおぞらネット銀行から他行宛への振込手数料は、通常でも75円と割安なのですが、それでも法人設立当初は、売上の回収などに一定の時間がかかると思いますので、2ヶ月の間だけでも、少しでもコストを減らすのは大切かと思います。

 

また、GMOあおぞらネット銀行は税金のペイジー払いにも対応しているため、法人税や源泉徴収税の納付もこの口座を使えば簡単にできてしまいます。

 

とりあえず、法人設立したらすぐにGMOあおぞらネット銀行の法人口座を開設しましょう。

<大手銀行>

さて、ネット銀行を開設したら、これで終わらずに大手銀行でも1つ、法人用の銀行口座を開設されることをオススメします。こちらの口座の使い道は、「社会保険料の口座振替」、「同行内での給与振込時手数料無料」、「外貨受け取り」などが挙げられます。

 

それぞれ、簡単に説明します。

 

まず、社会保険料の口座振替に関してですが、法人成りをする(=個人事業主から代表取締役になり、社会保険に加入する)と、毎月の給与支払時に、法人と個人それぞれで社会保険を納付する必要があり、この納付(口座振替)に、ネットバンクは基本的に対応していないのです。

 

ネットバンクの場合、社保加入が終わったら、毎月納付書類が法人所在地宛に届くのですが、これがバーチャルオフィスで、普段訪問して利用しない場合などは、そこから転送されるのにタイムラグが生じたり、転送サービスがない場合は自分で取りに行かないといけなくなります。

 

社保の(口座振替でなく)振込の場合、当然ながら納期が決まっているのですが、書類が手元に届くまでに時間差があるとその期日に間に合わない場合があるので、(自宅=法人所在地、としていて遅滞なく書類が届く場合を除いて)大手銀行で口座を開設して、社保の口座振替の手続きも同時にしておくのが安心です。

 

次に、同行内での給与振込手数料無料、に関してですが、これは(銀行によって若干差があると思いますが)、同行内であれば法人口座と個人口座に関係なく、振込手数料が無料になる銀行があるので、そこで口座開設をしておくと、毎月の給与振込みに余計な手数料を支払わなくて済むのでお得です。

 

私は、三井住友銀行で法人口座を開設しました。三井住友銀行だと、法人インターネットバンキングの最安プラン(Web21ライト)を使うと、口座維持手数料無料で同行内への振込も無料なので、ランニングコストを抑えて大手銀行の口座を保有することができます。

 

最後に、「外貨受け取り」に関してですが、これは翻訳業特有の悩みかもしれません。

 

外貨を、PayPalなどではなく国際送金により、銀行口座で受け取る場合はSWIFTコードなどの情報が必要ですが、GMOあおぞらネット銀行はSWIFTコードを持っておらず、そもそも海外からの送金(被仕向送金)を受け取ることができません(どれだけ不便やねん、と思いますが)。

 

なので、GMOあおぞらネット銀行の口座を持っているだけでは海外との取引がほぼできなくなるので、その点でも大手銀行の口座を別に開設しておくことで、取引の幅が広がって格段に便利となります。

 

なお、大手銀行の口座を開設した場合でも、被仕向送金を受け取る際に手数料がかかる場合があるので、その手数料がどれくらいかかるのかも、事前に確認されるのがお勧めです。

 

三井住友銀行の場合、通常一律で4000円かかり、口座開設後、Global e-Tradeというサービスに申し込むことで手数料が2500円になります。

 

※一番良いのは、海外被仕向送金の受取手数料が低く、かつ個人口座への振込手数料も無料/格安、という銀行なのでしょうが、その調査に時間を掛けすぎるのも費用対効果が悪いと思いますので、どこかで割り切る必要があるかと思います。

 

なお、大手銀行の口座開設は簡単ではない、と一般的に言われているようですが、私のように法人成りの場合、取引先との業務委託契約書(法人成りの際に取引先に連絡をして、新しく法人同士での契約書を交わす)と登記簿謄本、本人確認書類などがあれば、問題なく開設ができました。

 

恐らくですが、一般的に法人の口座開設が難しいのは、取引先がない(=契約の確認ができない)というのが理由かと思われます。その点、法人成りの場合は既に取引先がある状態なので、きちんと署名・捺印済みの契約書が準備できれば、特段の問題はないのかなと思います。

 

②税理士選びについて

最後のテーマはこちら、税理士さんの選び方です。

 

これは、私がまだ、法人設立から1年を経ておらず、しかもこの間に既に一度、顧問税理士さんを変えているので、簡単に一言でどう、と言えるものではないですが、失敗を含む拙い経験から言えるのは以下のことです。

 

まず、一口に税理士と言っても様々な立場(リスク許容度)、専門分野の方がおられるので、そこの感覚が違っていると、長期的な関係となり得ないかもしれません。

 

私はどちらかというと、税務に関しても色々と調べた上で、取り入れられることは取り入れたいと思う人間なので、ことある毎に税理士さんに質問していたのですが、最初の方はそこまでリスク許容度が高くない方のようでした。後で調べてみると、もともと税理士事務所(会計事務所?)で、税理士試験に合格する前にキャリアを積んでおられ、その後税理士試験に合格してから独立、というキャリアを歩んでおられたので、実務家としての経験は殆どなかったようでした。

 

また、こちらから質問はすれど、向こうから+αでの具体的な提案はほぼなく(顧問契約開始から終えるまでの半年強の間に、向こうから教えてもらったのは、Amazonプライムに加入していたら、ビジネスプライムを無料で使えるようになる、ということだけでした)、記帳代行や各種手続きの手際の良さしか良い点が見当たらず、参謀として顧問として活動を続けてもらうには心細いかな、と思ってしまいました。

 

加えて、遠方の税理士さんのため、税務調査が入ったときの立会いにもそこそこ負担が掛かる(出張費のようなものをこちらが払わないといけない)こともあり、上記のような対応の中で、この人に対応してもらうのはどうなのか…とも思ってしまいました。

 

強引にまとめると、税理士の選び方は、

 

・独立してある程度の経験がある(士業としてある程度の数の顧問先を見てきていて、ビッグデータも参考にして提案をしてもらえる)

・リスク許容度や価値観が似ている(1人法人成りの場合、どのような家庭を築きたいのか、といった所まで共有して、会社と個人の両方にどのようにお金を残すのか、ということまで相談できるような人が望ましい)

・年齢の上下はあまり関係ないが、やはり経験がある程度あって、悪いことは悪いと言ってもらえる

・物理的に近い場所(近隣の自治体など)にいる方のほうが、挨拶もできるし良いのでは

 

といった当たりが重要かな、と思いました。

 

一番良いのは、既に付き合いのある知り合いの実業家の方からの紹介だと思います。自分は、会計ソフトの「法人成り相談」という無料サービスを使ったときに紹介された税理士さんに依頼したのですが、これはぶっちゃけ微妙でした…。

 

以上、法人成りの際の銀行口座開設と税理士の選び方についてでした。

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