山陽新幹線で、2022年現在「こだま」に使われている車両といえば、かつて「のぞみ」で使われていた500系、そして、かつて「ひかりレールスター」で使われていた700系7000番台の2種類です。
しかし、1日に2往復だけ、「みずほ」「さくら」に使われているN700系7000番台が間合い運用として、早朝・深夜帯に運転される「こだま」に投入されることは、意外と知られていないのではないでしょうか。
今回は、そんなもの珍しい「こだま」について詳しく解説したいと思います。
目次
早朝と深夜に、新大阪~岡山・三原間で運転される「こだま」
山陽新幹線内で、N700系7000番台で運転される「こだま」は、以下の4本で、その運転時間、区間の関係から、紙の時刻表で探すときも、よっぽど注意を払っておかないと気づけない存在かもしれません。
<下り>
・こだま871号 新大阪20時53分発、岡山21時54分着
・こだま875号 新大阪22時03分発、岡山23時06分着、三原23時48分着
<上り>
・こだま830号 岡山6時05分発、新大阪7時04分着
・こだま834号 三原6時21分発、岡山(7時00分着)7時09分発、新大阪8時24分着
このダイヤを見れば分かるように、こだま871号で岡山に着いた列車が、翌朝の830号になり、875号で三原に着いた列車が、翌朝の834号になります。
また、通常新大阪~岡山間は、各駅停車の「こだま」では1時間20~30分ほど時間がかかってしまうのですが、これらの4本の「こだま」は、運転される時間帯の関係もあり、834号を除く3列車が、1時間前後で駆け抜ける、「こだま」の中では速達ダイヤで設定されている列車となっています。
(特に、830号は、岡山を出てから新大阪に到着するまで、「のぞみ」などに1本も抜かれずに到着する列車で、山陽新幹線で唯一、他の列車に抜かされない「こだま」となっています。)
また、この4列車は、N700系7000番台で運転されるにあたり、6号車に半室設けられているグリーン車指定席を利用できるのも特徴となっています。
500系、700系7000番台で運転される「こだま」にグリーン車は設けられていないので、山陽新幹線の区間でグリーン車に乗れる「こだま」はこれらの列車のみ、という希少性も兼ね備えています。
とは言っても、500系の6号車指定席は、「のぞみ」時代にグリーン車として使われていた座席ですし、700系7000番台の指定席車両、つまり4~8号車の座席も2列×2列シート、また、これらの4列車においても、4~8号車の座席は、「みずほ」「さくら」で指定席として使われる2列×2列シートなので、わざわざ「こだま」でグリーン車に乗る、というのは、よっぽど物好きじゃないとやらないことかもしれませんが…。
ちなみに、上で紹介した各列車の座席は、こちらの記事に詳しくまとめています。
山陽新幹線に乗るなら利用したい列車と座席はこれ!
JR西日本の株主優待券を使って、新大阪~福山で利用してみた
このこだまグリーン車に乗ってみた一番の理由は、実は「N700系7000番台のグリーン車に乗ったことがなかったから」というのがありました。
通常、この列車のグリーン車に乗るのであれば、「みずほ」「さくら」のどちらかの列車で、新大阪~広島、新大阪~博多、のように、関西の人間であれば広島以遠まで乗るのが、乗車時間的にほどよいと思うのですが(さすがに岡山や福山までは、短すぎますね)、グリーン車なのでそれなりに値段がするのと、復路の移動も考えないといけないので、「わざわざ乗りに行く」ということもしづらい座席クラスではありました。
ですが、新大阪~福山を、この「こだま」で移動すれば、時間帯こそ深夜なので車窓は楽しめないものの、乗車時間1時間30分で、通常新大阪~広島を移動するのにかかる時間を、安めの金額で利用できる、というメリットがあります。
また、福山までだったら、次の日に「のぞみ」など、福山に停車する「こだま」以外の列車に乗っても関西に戻れることもあり、何かと便利なのです。
ただ、新大阪~福山と言っても、普通に窓口で買うと11640円、スマートEXを使っても11460円と、それなりの金額になってしまうので、金券ショップでJR西日本の株主優待券(3900円)を入手。これを使うことで、切符の金額を5820円にして、合計9720円と、通常の切符よりも2000円弱安くすることができました。
まあ、これでも普通の移動として使うには高いですが…。どうせ今後何回も乗るものではないので、1回限りの買い物だと思えば、そこまで高くもありません。
ちなみに、このブログでも何度も紹介している「
【圧倒的に格安】バリ得こだま・ひかりを使って山陽新幹線をお得に移動する方法
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実際に乗ってみた
実際にこだま875号に乗ったのは、2022年4月の週末。土日と言えど、22時を回った時間に岡山方面に向かう人は決して多くはなく、乗車口で待っている人も、自由席(1~3、7、8号車)利用の方が多い事象がありました。
この875号は、21時47分に新大阪に着く「みずほ612号」がそのまま折り返し、到着後車内清掃があって、車内に入れるのは出発3分前の22時頃でした。
こちらは、改札の外にある券売機に表示される空席情報の案内板。九州方面の「こだま」で「グリーン」に「○」が表示されるのは、この875号と871号の2列車だけで、また、「三原行き」という表示が見られるのは、この875号のみという激レア度。
この、ホームでの電光掲示板の案内も貴重ですね。
グリーン車の座席は、16連のN700系の座席とほぼ同じですが、モケットのカラーが群青系の色で、こちらのほうがやや高級感があるのが特徴ですね。
また、この7000番台のリクライニングレバーは、リクライニングとレッグレストの2つに分かれており(N700系は、リクライニングレバーのみ)、ここが一番大きな違いと言えるでしょうか。
リクライニングを目一杯傾けるとこれくらい倒れ、なかなか快適。
また、窓際の小テーブルは、木目調になっており、ここもN700系とは違うポイント。
座席間の脇息も、どちらかと言えば700系7000番台の2列×2列シート、N700系7000番台の普通車指定席に設けられているデザインを踏襲しており、この座席周りの違いが、N700系と最も差異が現れているところと言えるかもしれません。
車内の様子はこんな感じ。
なお、N700系16連のグリーン車については、こちらの記事をご覧いただくとイメージしていただけるかと思います。
【孤高の存在】山陽新幹線の即達ひかり531号・592号のグリーン車で関西~九州を移動する
N700系7000番台のグリーン車と普通車指定席の違いは?
N700系7000番台のグリーン車は、N700系7000番台の普通車指定席が2列×2列であるため、座席の横幅の余裕はさほど変わらず、「わざわざグリーン車に乗る意味はある?」という問いは、よくされるかと思います。
実際に乗ってみての感想ですが、グリーン車と普通車指定席との違いは、
・リクライニングの角度
・フットレスト(前の座席の足下にあるもの)の有無
・レッグレストの有無
・読書灯の有無
といった、「より快適性を求めるための設備があるかどうか」と言った点にあるかどうかだと思いました。
そして、N700系7000番台の場合、グリーン車の座席数が少なすぎるため、東海道新幹線(16両編成、グリーン車3両)のように、乗車率に余裕があってゆったりできる、というわけでもなさそうで、よっぽどのこだわり、あるいは「一度でいいから、N700系7000番台のグリーン車に乗ってみたい」という理由がなければ、普通車指定席のほうが座席の数も多くて、利用しやすいのではないかと感じました。
(少なくとも、数千円の差額をわざわざ払ってまで、このグリーン車に乗る理由は、自分には見いだせませんでした)
まとめ
今回は、山陽新幹線内で乗ることができる「こだまのグリーン車」について解説をしました。存在自体が貴重な列車なので、物好きな方は、今回紹介したように、新大阪~岡山、福山あたりで、株主優待券を使って乗車してみるのもいいのではないでしょうか。
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