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有機合成実験におけるドライアイスの役割

今回は、有機合成系の明細書の実施例によく出てくるドライアイスの話をしてみたい。

あなたは、ドライアイスと言えばどんなイメージをお持ちだろうか?

白い固体がモクモクと煙を出している、というイメージだったり、

「素手で触ると低温やけどするから、手袋を使って!」と言われたことがあったり、という経験をお持ちかもしれない。

 

私は、中学校までは学校で給食が出されていて、デザートにアイスクリームが付く時などには必ず、ドライアイスが同封されていて、それを指先で(もちろん素手で)触ってみた体験が一番印象に残っている(幸いなことに、低温やけどにはならかなった)

 

このドライアイス、有機合成の明細書でも頻繁に出てくる。

いや、正確に言うと、「ドライアイス」という表現は、(私が担当した明細書の中には)そんなに多くは出てこない。が、「ドライアイス」という表現が使われていなくても、これを象徴するような言葉が頻繁に出てくるのだ。

それは、「-78℃」という温度。

 

合成系の明細書では、驚く程にこの数値が多用される。

そしてこの温度は他でもない、ドライアイスが固体から気体に変わる温度、即ち、「二酸化炭素の昇華点」なのだ。

例えば、こちらのmsdsを見てみると、昇華点が-78.45℃となっている。msdsのデータであるから正しいと判断して良いだろう。

(なお、wikipedia等で調べてみると、「昇華点は-78℃」「昇華点は-79℃」のいずれかが記載されている場合が多い。)

 

普段、私たちにとって身近な冷媒としては「氷」「氷+食塩」「水+氷」などがあり、これらを使うのはケーキ作りで生クリームを泡立てる時などだ。しかし、これらの冷媒では、せいぜい氷点下数℃までの到達が限界で、-50℃など、更に低い温度での処理には使えない。(なお、食塩+氷だと-20℃前後まで冷却できるようだ)

こういう時にドライアイスを利用するというわけなのである。

 

なお、特許明細書にも出てくる場合があるが、ドライアイスと別の物質を組み合わせて、「氷+食塩」のような冷媒を作ることもできる。

例えばエタノールやアセトン、塩化メチレンや四塩化炭素等がある。

(これらの組み合わせにより、到達可能温度が異なってくる)

 

特許明細書だと、例えば以下のように用いられている。

A 1 liter Schlenk flask was charged with 20.2 grams of tellurium tetrachloride, TeCl4, 100 mL of tetrahydrofuran, and a magnetic stirbar.

The solution was cooled to -78° C. in a dry ice bath and a total of 187 mL of tertiarybutyllithium, whose concentration was 1.6 moles per liter in pentane, was added over a period of 30 minutes.

After stirring for 1 hour at -78° C., the dry ice bath was removed and the mixture stirred at room temperature for another 2 hours.

<明細書情報>

Title: Preparation of ditertiarybutyltelluride

No.US4946994A

Google Patentsで「dry ice bath – 78C」で検索

 

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