特急「踊り子」は、東京と伊豆急下田・修善寺間を結ぶ在来線特急。運転されている列車の大多数は、伊豆半島東側の伊豆急行に乗り入れていますが、1日に2往復(平日)だけ、熱海から三島まで、丹那トンネルを越えて伊豆半島の西側、伊豆箱根鉄道駿豆線の修善寺まで乗り入れている列車があります。
今回は、そんな修善寺行きの踊り子に、伊豆箱根鉄道の起点駅である三島駅から乗ってみました。
目次
伊豆箱根鉄道内は特急料金不要。事実上の快速としての役割を担う
「踊り子」に乗る際は、当然ながら特急料金が必要ですが、修善寺行きの「踊り子」に限って、駿豆線内では特急料金がかかりません。
つまり、三島あるいはその他の、駿豆線内の駅相互間で「踊り子」に乗る場合は、乗車券だけで乗れてしまう、いわゆる乗り得列車なのです。
ちなみに、東京などからこの修善寺まで踊り子に乗って移動する場合は、修善寺までの乗車券と、三島までの特急券を購入することになります。
また、修善寺発着の踊り子は、2両が自由席、3両が指定席となっていますが、伊豆箱根鉄道内では当然ながら全車両自由席。ただ、指定席には東京方面から乗っている方が当然ながら多いので、三島などからズカズカと乗り込むのは、やや配慮に欠けるのかな、という印象です。
(実際、伊豆箱根鉄道のホームページでは、「踊り子」が観光客向けの列車であることから、高校に通う生徒などの利用は出来るだけ避けるように明記されています)
そんな「踊り子」ですが、通常運転される2本の列車のダイヤは、
三島 10時40分発 修善寺 11時08分着(三島までは踊り子3号)
三島 13時40分発 修善寺 14時06分着(三島までは踊り子13号)
修善寺 12時35分発 東京14時49分着(三島からは踊り子8号)
修善寺 15時39分発 東京17時48分着(三島からは踊り子16号)
となっています。
(週末や祝日には、これに加えてもう1往復ほど運転される場合あり)
駿豆線内の停車駅は、三島田町、大場、伊豆長岡、大仁。乗車券は片道540円です。
三島から「踊り子」に乗る場合は、少しややこしい手続きが必要
さて、いよいよ三島から修善寺まで、「踊り子」号に乗って移動です。
私はこのとき、大阪方面から「こだま」に乗ってきて(スマートEXを利用)、三島駅の新幹線改札を出たのですが、初めてやってきた駅なので、改札がよく分かりませんでした。
どうやら、「在来線乗り換え改札」を通過してしまったようで、ここからは三島駅の南改札に出ることになります。結局、伊豆箱根鉄道の三島駅も南側にあったので問題なかったのですが、逆の北口で出ていたら、伊豆箱根鉄道の三島駅の切符は買えないので、ちょっと面倒だったかもしれません。
で、ここからも実は「面倒」が続きます。
伊豆箱根鉄道の三島駅の券売機で修善寺までの切符を買って自動改札で入場したのですが、「踊り子」号は伊豆箱根鉄道ではなく、JRのホームから出発します。つまり、伊豆箱根鉄道の切符を買ってその改札から入ったのに、一旦改札を出て、JRのホームに移動しないといけません…。
ただ、ここでまた自動改札を通ってしまうと切符が回収される可能性もあったので、有人改札の職員さんに、踊り子に乗りたいことを伝えると、改札を開けてJRのホームまで行けるようにしてもらえました。
恐らく、三島から修善寺まで、「踊り子」に乗る人は相当少ない、というか、そういう利用は想定されていないんだろうな…と思わされる導線でした。
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列車がやって来るまでにホームを観察
ホームに入場したのが13時20分頃で、列車の到着までまだ20分ほどあったので、ホームを端から端までウロウロしてみました。
まず驚いたのは、踊り子が入線するホームが、「踊り子専用」のホームになっていたことです。
三島駅では踊り子号は、駿豆線に転線することもあって、上下列車とも1番線から出発します。で、上の時刻表をよく見てみると…。
1番線から発車する列車が、「踊り子」以外にないんですよね…。貨物列車は通過するのかもしれませんし、1番線に到着した終着の列車はあるのかもしれませんが、そもそも熱海方面からやってきて三島で終着の運用があるのかも謎です。もし、踊り子号だけが使うホームなんだとしたら、1日に4回しか使われないホームということで、とても珍しいのではないでしょうか。
また、これは有名な話かもしれませんが、「名物」のホームの切り欠きもきちんとありました。
この写真が一番分かりやすいでしょうか。ホームに円弧のようなくぼみがあって、点字ブロックも同じように、円弧状になっていますね。
これは何なのかというと…
これはホームの切り欠きがある部分から反対方向(静岡・修善寺方面)を見た写真なのですが、修善寺に向かう「踊り子」は、駅の構造上、三島駅構内で、駿豆線に転線をする必要があるんですね。
そこで、踊り子が出発するすぐ先に、駿豆線に転線するためのポイントがあるんですが、通常のホームのままだと、レールを移動するときに車両の端がホームに当たってしまうので、わざわざ一部を欠けさせて、踊り子が事故を起こさずに移動できるようにした、というのが、この「ホームの切り欠き」の意味なのです。
もしかすると、この切り欠きがある故に、この部分に普通列車が到着して客扱いをすると、ドアとホームに空間ができて危険、ということで、「踊り子」以外の列車は、この1番線ホームでは客扱いをしないのかもしれません。
「踊り子」号の号車案内は、シールでも、ホーム頭上のぶら下げ式のボードでもなく、白墨(?)で表記した、いかにも昭和な感じのもの。日本国内もいろいろと旅しましたが、このタイプの表記はここが初めてでした…。
そうこうしているうちに、「踊り子」がやってきました。
乗務員交替のための停車時間は2分。正面の写真を撮影したら、自由席の戦闘車両にそそくさと乗り込みました。
車内は、コロナの影響もあってか、2割ほどの乗車率。三島から乗る人もちらほらいました。
昭和の雰囲気が強く出ている、シックなリクライニングシート。
この列車は、前面展望が楽しめないのがネックですね。
途中駅を軽快に飛ばして修善寺へ
三島を出発して18分で、終点の修善寺へ。この日の宿は別の場所なので、もう一度三島方面に引き返す必要があったのですが、修善寺駅は伊豆温泉郷への入口、ということもあって、きれいに整備された駅となっていました。
また、順次投入される(185系を置き換える)、「あずさ」「かいじ」から転用されたE257系も、なぜか修善寺駅のホームに停留されていました。
普段は、こういうツーショットは見られないでしょうか…。何気に撮った写真ですが、後で見返したらとても貴重なものになるかもしれません。
まとめ
今回は、平日は1日2往復している、修善寺発着の「踊り子」に、駿豆線内乗ってみました。この「踊り子」は、現在唯一、丹那トンネルを通過する昼行在来線特急だったり、貴重な「3社にまたがって移動する特急列車」だったりします(JR東日本、東海、伊豆箱根鉄道)。
三島から修善寺に行くのであれば特急料金は不要ですから、時間がない方は、東京から新幹線で三島まで行って、三島からこの「踊り子」に乗るのもいいのではないかと思います。
185系で運転されるのもあとわずかだと思いますが、修善寺行きの特急列車はできるだけ長く残って欲しいものですね。
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