今回も連続で、お金の話だ。「消費税編」である。
普段、一消費者という視点からすると、消費税は「買い物の時に支払う税金」くらいにしか考えていないはずだが、これが、自分で仕事をするフリーランス(自営業)となると、話はすこし違ってくる。
というのも、消費税も他の税金同様に「納税者」が当然存在するわけで、フリーランスは納税者となる可能性もある、という事情があるからだ。
ただ、これはあくまで「可能性」の話なのである。必ず納税者になるわけではない、ということをまず、ご理解頂きたい。
では、「消費税の納税者」となる条件は何か?と言えば、
一年間の売上が1000万円を超えること
である。
つまり、ある年の1月~12月の売上(課税売上高)額(所得ではないことに注意)が1000万円を超えれば、消費税の納税義務が生じる。
ただ、この次もややこしい。
この場合、消費税は
2年後の売上(課税売上高)にかかる
のである。これだけでは分かりづらいと思うので、具体的に見ていこう。
まず、課税売上高とは、税抜き価格のことである。
外税で50万円の案件を年感21本担当するとすると、消費税抜きでの売上が1050万円となる。外税のため、これに消費税率8%がかかると、税金も含めた1134万円が、その年の総売上高となる。
つまり、税抜き価格での売上高(課税売上高)が950万円の場合、外税だと合計1026万円となるのだが、この場合は課税売上高が1000万円以下となるので、消費税納税義務は発生しない。
それでは、例えば、2016年の課税売上高が1050万円だったとしよう。
この場合、2018年の売上に関して消費税がかかる。
そして、2018年分の確定申告時(つまり、時期的には2019年の春)に、2018年分の売上額に対する消費税額を納めなければいけないのだ。
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ややこしいのは、
・消費税納税の対象となっても、
・実際に消費税が課税されるのは2年後の売上である
ということだ。
つまり、2016年の課税売上高が1050万円で、2018年の課税売上高が500万円だったとしても、
この「500万円」の8%(増税の場合は、その時のの消費税額:例えば10%)を、消費税として納めなければならないのだ。
なので、フリーランス翻訳者の場合、基本的に消費税の納税は頭に入れておかなくて良いが、専業で1000万円を超えた倍、あるいは別のビジネスと組み合わせて1000万円を超えた場合は、「消費税納税義務」が発生するので、ところ構わずお金を使っていると、痛い目になってしまう、ということになるので注意されたい。
(ちなみに消費税の確定申告でも、「売上にかかる消費税」から「経費にかかった消費税」の差額を納めることになる。経費に付随して支払った消費税は、既に「払っている」とみなされる。)
ここで、よく勘違いされるのは「消費税を納める必要がない(=課税売上高が1000万円以下)なら、仕事のフィーに消費税を別に加えて(外税で)払ってもらう必要はない」というもので、この考え方で「翻訳料金は内税」と、勝手に考えてしまうことがある。
しかし、仕事が内税か外税か、ということと、消費税納税義務者であるかどうか、ということは、全く関係ない話なのである。仕事が外税であれ内税であれ、消費税を無視した課税売上高が1000万円を超えると、消費税の納税義務が発生する。ぱっと考えると「外税のほうがよい」と思うかも知れないが、それは実は関係ない。
というのも、50万円の案件が内税である場合、この額を(消費税率8%として)1.08で割った額である約46300円が「課税売上高」であり、外税の場合、50万円が「課税売上高」となるのだ。ということは、仕事量が多いと、単純に考えれば課税売上高が50万円のほうが、課税売上高1000万円超過となる可能性が高い。
というと、「内税方式」のほうが消費税がかかりにくい、ということになって利点が多そうだが、そうでもない。というのも、凄く単純に考えれば、年収(課税売上高)が1000万円を超えない場合、課税売上高が多い方が、当然ながら売上が増えるからだ。
仮に外税で仕事を対応した場合、その消費税分は「手取り」となる。即ち、実質的に年収が増えるということなのである。(もちろん、納付所得税は増えるが、少なくとも投資のために使える収入は増えるし、「使えるお金が増える」ことに間違いはない。
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いろいろと書いてしまったが、大事なのは前半の「消費税納税義務のルール」である。これを理解して、「万が一」納税義務が発生した際に慌てないようにして頂きたい。
その上で、納税義務が発生しない段階では、仕事に消費税を加えて売上を立てることで可処分所得を増やすのが、得策である。
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