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「及び」「並びに」「又は」「若しくは」について(補足記事)

このブログでも何度か記事にしたこれらの法令用語なのだが、

 

仕事や調査のために、特許データベースから特許を検索して目を通していると
どうも、階層の捉え違いをしているケースが散見されるので、今回は備忘録も兼ねてここに記しておくことにする。

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<and(or)が複数出てくる場合>

異なる階層が出てきた時の対処法は以前の記事でまとめているので割愛するが、
「関係ない並列について、無理矢理階層立てをしてしまっている」
場合が思いの外多い。

例えば、and(or)だけを英語で表記すると、次のようなフレーズが挙げられる。

 

「疾患or障害を、治療、予防or緩和する…」

 

このような場合、それぞれのorはどうなるか?ということを考えて欲しいのだが、
このフレーズのみを切り取って考えた場合、これらのorは共に「又は」になる、と考えられる。
(こういうフレーズが他に列挙されていて、それらが”or”で繋がっている場合は、上の”or”は共に「若しくは」となるが…)

ただ、実際の文章を見てみると

「疾患若しくは障害を、治療、予防又は緩和する…」

のようになっている場合も見られる。

個人的に、この捉え方は正しくないと考えている。

というのは、「病気」の種類と、それらに対する「処置の方法」は、概念的に上位下位を決めることができない、いわば「別次元」の話だからだ。
言い方を変えれば、上の表現はそれぞれがたすき掛けとなっている、と見ることもできる。

「たすき掛け」というのはつまり、

疾患の治療

疾患の予防

疾患の緩和

障害の治療

障害の予防

障害の緩和

という、6種類のことを指しているというわけである。

そしてこれらは全て、「●●を■■する」というひとまとまりの動作、として、全て同一概念で表される。

つまり、上の文章はパラフレーズするのであれば、

「疾患の治療、疾患の予防、疾患の緩和、障害の治療、障害の予防、又は障害の緩和」とすることができる、と考えられるわけである。
(少なくとも、病気の種類とそれらの治療方法は、アルカリ金属とカリウム、のような包摂関係で言い表せるものではないはずだ)

なので、少なくとも私は仕事の際に、上のような表現は共に「又は」を使って訳出をしている。

(突き詰めていけば、明細書を各時点で何らかの表現の工夫はできそうである、とも思う)

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