今月前半に、かねてより告知していた「特許翻訳丸裸セミナー」を東京と大阪で開催して無事に終了しました。
参考までに、どんな内容だったのかは以下のリンクからご確認頂けます。
http://jiyuugatanookite.com/contents/201703seminar_patent_annai.pdf
リンクの告知文にも書いていますが、今回のセミナーの一番の目的は「次のステージにワープするためのとっかかり(きっかけ)として頂く」ということでした。
自分も特許翻訳の勉強を1人でしていたときに経験したのですが、1人で勉強だけをしていると、会社に応募をしてトライアルを受ける、といった「前に進むための行動」を取るのがおっくうになってしまうことがありました。
これは、勉強をしていても次から次に分からないことが出てきて、「まだこんなにも分からないことがある」と思って、「もっと多くのことが分かってから応募をしよう」という風に、自分の心にブレーキをかけてしまうからなんですよね(ちなみに、当時自分の背中をおして頂いたのは、勉強中に利用していたオンライン翻訳講座の主催者の方でした)。
結果的に、自分の場合それがきっかけで前に進むことができたのですが、同じ悩みを抱えている(勉強中で前に進めない、あるいは仕事をしていても次のステージに進めない)という方も多いのではないか、ということで、今回の一時帰国中に東京と大阪で半日セミナーを行うことにしました。
北は北海道、南は沖縄から!
セミナーを開催して一番驚いたのは、北は北海道、そして南は沖縄からもお越し頂いた方がおられたことでした。
北海道の方は東京の、沖縄の方は大阪のセミナーに参加して下さったのですが、「まさかこんな遠くから…」と一番驚いたのは主催者です。
帰国前に「セミナーをしようと思うのですが興味ありますか?」というアンケートをとった時も、このお二方が真っ先に回答して下さり、これはなんとしても実施しないと…と覚悟をきめるきっかけにもなりました。
他の参加者は、東京は首都圏各地から。東京都の方はむしろ少なく、埼玉、神奈川、茨城、群馬あたりからの参加者が多かったです(参加者は11人)。
大阪は、大阪がほぼ半分、あとは兵庫、滋賀、そして遠路はるばる岐阜からお越しの方もおられました(参加者は7人)。
滋賀、岐阜の方からは「是非名古屋でしてほしい」という意見を頂いたので、次回は週末に名古屋でも行うことを考えています(今回、名古屋で平日にしようかと思ったのですが反応がなかったので見送りました)。
セミナーは約4時間、少し時間が足りなかった…
セミナーは、ご家族やお子さんがおられる方が参加者の大多数になるのではないか、と考えて(特許翻訳は家にいながらできる仕事でもありますから)、13時開始の17時終了、17時半から懇親会、という、他のセミナーより早めに切り上げるスケジュールにしました。
ただ、約4時間(実質3時間30分くらい)のセミナーでは、伝えたいことを当然ながら全て伝えることはできず、最後は少し時間が押し気味に。スケジュールに少し余裕を持っていたからこそなんとか帳尻は合わせられましたが、次回からは午前9時半開始、昼食休憩を挟んで午後6時頃までみっちりと行うセミナーにしたいと思います。
質疑応答でもセミナー後の懇親会でもいろんな質問・相談が寄せられ、参加者がどういうことに悩んでおられるのかがより鮮明に分かりました。
当日の様子をいくつかの写真と共に簡単に振り返ります。
セミナーの趣旨はこのようなもの。あくまで「特許翻訳の勉強あるいは仕事をしている人」向けに、具体的な話をお伝えすることを主眼に置きました。ただ、後半のマインドセットの話は、すぐに効果が出るものではなく、長期的にキャリア形成を考えた時に必要と判断して同時にお伝えしました。
↑は、翻訳について数学的な例えを用いながら話をしていたところ。「翻訳」に必要な力は、英語力よりも、こういう論理力や比喩力のほうがウエイトが大きいです(特許翻訳では)。
我ながらいい顔しています(笑)
ここからは後半。
個人的には、マインドセットの話のほうが抽象的なので話やすかったです。これは人それぞれ違いますでしょうが…。
参加者の感想を一部紹介
ここからは、実際に参加して下さった方の感想等を紹介できればと思います。
まずは東京編にご参加頂いた方から。
①お一人目
藪内さんの普段の生活、仕事のペースなどリアルな数字で惜しみなく話してくださいました。新しい分野を学ぶときのコツ、誤訳からどのように学びを得られているか、案件を抱えていても勉強時間を確保に努めていること、翻訳ツールの使い勝手など、プロの特許翻訳者ならではのノウハウをお聞きすることができました。
これは、セミナー前半の内容についての感想ですね。これから特許翻訳者として活躍するのに必要なことの1つに、「セルフイメージ」があります。
1日にどれくらいの時間を仕事に使って、どれくらいの量を翻訳するのか。翻訳ソフトをどう使うのか、どんな誤訳が多いのか…。特に勉強中の方にとっては、このあたりのイメージをはっきりと持つのは簡単なことではありません(何を隠そう、私も特許翻訳を始めたばかりのころはそうでした)。
なので、まずは特許翻訳者として仕事をしている私の話を具体的にお伝えすることで、「ステージが上がるとこういう風になるのか」ということイメージして頂けるようにしました。
具体的なお話を伺って、私から本当に程遠かったトライアル応募が少しだけ身近に感じられるようになりました。
こう言って頂けると、主催者としてはセミナーをしてよかったと思えます。
後半のマインドセットに関するお話では、孤独なフリーランス生活で 悩まれた過程から気づかれた点を挙げられて、自分自身に投資を続けること、自分で考えて決断し、行動することの重要性を強調されていました。
こちらは、後半に関するご感想。個人的にここで強調したかったのは「人間の弱さ」についてです。最近では、フリーランス=キラキラ自由に暮らしている、という見せ方をしている人が増えてきていますが、あれは個人的に嘘だと思っています。
というのも、こと翻訳に関しては、仕事は一人で回さないといけませんし、時間を作って深掘り、あるいは新しい分野の勉強もしないといけません。毎日コンスタントな処理量が求められる仕事ですから、コンディションを整えるということも大切ですし、複数の取引先からのどう仕事を捌くのか、ということも考える必要が出てきます。
はっきり言いますと、フリーランスは想像以上に大変な立ち位置と言えます。セミナーの後半では、そういう話を少し抽象的にでありますが話をすることで、フリーランスとしてどんなことを考えて、自分とどう付き合っていけば良いのか?というヒントを多くお伝えしました。
この話は今すぐ使えるものではありませんが、長期的にフリーランスとして仕事を続けていく際に必要なことです。ここで合わせて話をすることで、あとあと「確かこんな話があったな」と思い出して頂きたいですね。
ご参加及びご感想ありがとうございました!
感想は以下のブログより一部抜粋させて頂きました。
②お二人目
東京のセミナーにご参加頂いた別の方の感想です。
子連れNGなのは厳しいなぁと最初思いましたがw、でも子連れだとセミナーにも集中できなかっただろうし、懇親会も絶対にみなさんとの会話どころではなかったと思うので、子連れNGで良かったと思います。
これ、実は告知をしている途中で方針を変えたんです。最初は「子連れOK」で行こうと思っていたのですが(というか、託児施設付きのセミナールームを借りようと思っていたのですが)、そういう施設が見当たらない、あるいはあっても週末は託児施設が閉まっているところばかりだったのです。
このため、一時的に「セミナー会場にお子様同伴可」としていたのですが、年齢が低い方の場合、泣いたりお手洗いに行かないといけない可能性も高く、セミナー運営に支障をきたす恐れもあるので、申し込みの途中で「同伴不可」にしたのです。
東京でご参加頂いたこの方も、大阪でご参加頂いた方にもお子さんついては気を揉まれたと思うのですが、セミナーが終わってから「子連れNGで良かったと思います」という風に言って頂けたのであれば、主催者側の意図を理解して頂けたのと、参加者本人にとっても有益なセミナーであることを理解して頂けたようで、大変嬉しいです。
この感想文も、以下のブログより一部抜粋させて頂きました。
アラサー版『ビリギャル』うめぼしの挑戦~3/4(土)~3/6(月) ガクブル
続いて、大阪の感想文です。
①お一人目
遠路沖縄からお越し頂いた方の感想です。
講座を受講し始めて半年が経とうとしていますが、
思うように時間が確保できておらず、
計画通りに勉強が進んでいない現状に
とても焦りを感じていましたので、
自分の夢に向けて少しでも前に進むヒントを得ようと
今回のセミナー参加を決めました。
こういう方にも是非来て頂きたかったのです。
具体例や数字を交えて
ご自身の経験を惜しみなくお話いただき、
セミナー終了後の懇親会でも、
初歩的な質問などにも丁寧に
対応していただきました。
セミナーでは、公では言えないような話も数字を交えて具にお伝えしました。やはり、「数字」があるのとないのとでは、イメージできることに大きな差が生まれてしまいますので…。
「自分の不完全さを受け入れられる
懐の深さを持って自分を愛する」という藪内さんの言葉を思い出しながら
着実に前に進んでいこうと思います。
人間、誰しも不完全ですし、一生を終えるまで不完全である、とも言えます。その事実を虚心坦懐に受け止めた上で、少しでも上を目指す、広い世界を知る、ということにもっと謙虚に取り組んで頂ければ、と思いました。
こちらの感想は以下のブログより一部抜粋させて頂きました。
②お二人目
セミナー講師の方がこれほどまでに、ご自身のリアルなご経験をお話されることって珍しいのでは・・・というほど、数字やデータ、具体例など総動員の内容でした。
普通、セミナーだと「講師がいかにすごいか」ということを伝えることが多いと思うのですが…私はそういう見せ方をしたくなく、自分がどこで悩むのか、間違えるのか?ということも含めてセミナーでお伝えしました。
セミナーだと、どうしても講師が「神格化」されてしまうと思うのですが(今ではネット上でも、そういう人は多いですね)、このセミナーの目的は、参加者にきちんと結果を出して頂いて、特許翻訳でしっかりと稼いで頂き次のステージに移ることです。つまり、参加者に結果を出して頂きたい…その一心しかなかったため、いい話も悪い話も、主催者の経験したことですが全てお伝えしました。
専門分野の確立を目指して対訳を取ったりノートを作成したりしていますが、トライアルまでに明細書を何件ほど読むべきか、また精読と多読とのバランス、対訳を取るスピードなど、いつも「どうするのがいいのだろう?」と迷いつつやっていました。
そして、常に悩む「どの程度の深さまで掘り下げて勉強するか」。そういったことが、セミナーのお話から、自分の中でだいぶ明確になってきました。
これは実は難しい話でして、私がセミナーで話した内容が全てそのまま、参加者に当てはまるというわけではありません(専門分野やバックグラウンド、普段勉強に使える時間の違いなどのため)。ただ、1つの方向性として「こういう風にすればいいんだ」ということを知って頂く、あるいは参加者がこれまでされていた勉強方法や時間の使い方が概ね正しいことを把握して頂けるだけでも価値はあるのかな、と思います。
こちらの感想は以下のブログより一部抜粋させて頂きました。
③三人目
特許翻訳者としての仕事の仕方や、仕事をしながらの勉強の仕方、デビュー前にはどのようなやり方で勉強をしていたかなど、そういった実務的な事柄ももちろんとても参考になったのですが、
その背後にある藪内さんご自身の思想や人生観、人間観などに共感したり、今の自分にはまだ見えない世界をどうやって見ておられるのかを考えさせられたり、
物事を最速で立ち上げられる方のスピード感や行動力、フットワークの軽さを生で感じて、
そういった部分でいただいた刺激こそが貴重で得がたいものでした。
特許翻訳以外の部分でも参考になる内容が多くて嬉しいです。
「参加して良かった」と感じていますが、本当に「参加して良かった」ことにするのは、これからの自分。
帰宅後は早速、CVを改訂。明細書読解の訓練の仕方や請求項との取り組み方など、ご紹介されていた勉強法を実践し始めました。
そう、これが一番大切です!セミナーで学んだ内容を実践、アレンジして自分のものにするのは参加者の仕事ですね。是非このセミナーを取っかかりにして、トライアル受験、特許翻訳者デビューを実現して下さい!
こちらの感想は以下のブログより一部抜粋しました。
④四人目
こちらは、既に特許翻訳者としてフリーランスで仕事をされている方の感想です。
講師の藪内さん、ご自身のキャリアのいろんな数字をセミナーで惜しげもなく教えて下さりました。ほんとに熱い人でセミナー終了後、結局3次会までご一緒して頂き(いろいろ質問して)、<自分のこれまでのプロセス>と<自分の現在の立ち位置>が自分が悲観するほど悪くはない、むしろそこそこ順調なのでは?とさえ思えるようになりました(もちろん新たに見えた課題もありますが)
セミナーそのものは案外前哨戦で、本番は2次会以降、という意味あいもありました。特に大阪では熱意のある方が多く(確か半分くらい)2次会にも残られて、より細かい話や「特許翻訳者あるある」のような話でも盛り上がりました。
特許翻訳フリーランスは悩むのも一人なわけですが、こういう機会にお互いに悩みを共有してどういう風に対応・解決しているのかを話せのも、参加者にとっては意義のあることだったのではないか、と思います。
こちらの感想は以下のブログより一部抜粋しました。
特許翻訳者をやってます!!~特許翻訳丸裸セミナー@大阪に行ってきた
最後に、一番お礼を言わないといけない方々が…
さて、上記感想は参加者の一部なわけですが、実は今回のセミナー、何も一人で開催して集客をしたわけではありません。
バックで同志のお二方に手厚いサポートをして頂いたからこそ、実現できたことでもありました。
それが、翻訳ツールマスター講座を主催・運営されているKokoDoki Companyの大島さんと藤原さん。
事前の告知や各種書類作り、そして当日の運営サポートまで何から何までお力をお借りしました…。
藤原さんは、東京と大阪までお越し頂き、懇親会まで参加して頂きました。藤原さんは特許翻訳の仕事もされていて、懇親会では私と藤原さんで島を作って参加者と交流する、という風になりました。私1人だけだと全員と話ができなかったので、とても有り難かったです。
また、大島さんは遠方にお住まいのため参加は無理でしたが、Twitterを活用してリアルタイムでの様子をお伝え頂きました。
【特許翻訳丸裸セミナー@大阪】
スタートいたしましたー!今回も「藪内カラー」全開です。まだ脱いでいません。これからです。 pic.twitter.com/x0rO8HI4WE— KokoDoki Company (@KokodokiC) 2017年3月11日
【特許翻訳丸裸セミナー@大阪】
人間、誰しも完璧ではないって話をされています。こういう話しは、生で聞くに限りますね。 pic.twitter.com/GN69y4lbY7— KokoDoki Company (@KokodokiC) 2017年3月11日
藪内達也さん【特許翻訳丸裸セミナー@大阪】
遅くなりましたが、大阪も無事に終了しました!ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
この後、2次会、3次会と懇親会も大変盛り上がったそうです。 pic.twitter.com/kxpbi9I1bn— KokoDoki Company (@KokodokiC) 2017年3月12日
大島さんには、セミナー終了後にも販売用動画コンテンツの編集に携わって頂きます。セミナー参加者でもKokoDoki経由でお越しの方が何名かおられましたし、私1人で今回のセミナーは行うことができませんでした。
お二方には、他の仕事や講座の運営で忙しい中セミナー運営のサポートもして頂き、本当に頭が上がりません。また、一番良かったのは、お二方ともお子さんがおられ、「セミナーに子供同伴にするか否か」を相談できたことでした。自分には子供がいませんし男なので、子育てのことでイメージできることと言えば限られており…。実際に母親であるお二方がどういう風にされてきたのか、ということを聞けたのは、私にとっても勉強でした。
まとめ
今回、思った以上に多方面から多くの方にご参加頂き、また終了時のアンケートでも概ね満足度が高いという回答を頂きました。今後は、(料金的にも)より満足度が高いセミナーを開催できるようにしたいと思います。
※次回のセミナー開催は2017年末か2018年初頭を考えています。この時は東京・大阪だけでなく名古屋、そしてできれば福岡か広島ででも開催したいです。
改めてですが、セミナーにご参加頂いた皆様ありがとうございました。
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