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特許翻訳者は特許法よりも民法の学習を優先すべきか?

特許翻訳実務を離れて久しいどこぞのお偉いさんが、「特許翻訳の基礎となるのは特許法ではなく民法」と言っていますが、今回はこの命題に関して、私とChatGPTとの対話に基づいて考えたいと思います。

特許翻訳者に、民法の知識と理解は必要でしょうか。

とても良い質問ですね。
結論から言うと、**特許翻訳者にとって民法の知識は「必須ではないが、あると強みになる」**という立ち位置です。

 

■ 民法の知識が特許翻訳にどう関係するか

1. 契約関連の特許

2. 「法的な用語」や表現の正確な訳出

3. 海外法と比較するための「日本法の土台」として


■ 必須かというと…


■ 学ぶならどこから?


必要になったら学ぶスタンスでも間に合いますが、「競争力をつけたい」「一歩踏み込んだ仕事がしたい」と考えているなら、知っておくとかなり有利です。

ありがとうございます。民法と特許法は、一般法と特別法の関係にありますが、民法よりも特許法の理解を優先するほうが良いでしょうか。

こちらこそ、深いご質問をありがとうございます。
おっしゃる通り、民法(一般法)と特許法(特別法)は、法体系上の「一般法と特別法」の関係にあります。そして特許翻訳者にとっては、特許法の理解を優先するほうが実務的には重要で有利です。


■ なぜ特許法の理解を優先すべきか

1. 翻訳対象の中心は「特許明細書」や「審査関連文書」

2. 「法解釈のズレ」が翻訳品質に直結

3. 民法の知識は、応用力として活きる


■ 具体的な優先順位(おすすめの学習順)

  1. 特許法(日本)

    • 特許庁の「特許法逐条解説」などをベースに、拒絶理由、権利範囲、補正制限などを理解。

  2. 各国の特許実務(米国・欧州など)

    • USPTO、EPOの用語や審査制度の違い。

  3. 関連する周辺法(意匠法、商標法、民法など)

    • 必要に応じて、特定の文書に触れたときに補完的に学習。


■ 最後に

翻訳者にとっての「法律の知識」は、目的が「正確な理解と訳出」にあります。
その意味で、特許翻訳者にとっての特許法は「道具の使い方」を学ぶようなものであり、民法はより広い世界を理解するための地図のような存在です。

ですので、特許法をしっかり押さえたうえで、民法を“知財を補強する知識”として取り入れるというスタンスがベストです。

ありがとうございます。私も同じような考えをしていたので、確認ができて良かったです。

 

というのも、ある方が、「「民法と特許法は一般法と特別法の関係にあるから、特許法だけを理解しても分からない(特許法で明文化されていない内容は民法を基準にするから、民法の理解も必要)」と言っていたのですが、私はこれに対して疑問を持っていたからです。

 

実際に私は1度、弁理士試験の勉強をしてみて、特許法も触れてみました。その経験を通して、特許法を理解する際に参照する民法の規定はごく一部であり、どちらかというと、民法よりも民事訴訟法のほうが、侵害訴訟において参照することが多そうだと感じたからです。そして、侵害訴訟は、付記弁理士や、弁護士の専権業務となるため、特許翻訳者では仕事で関わることはできません(書面の翻訳をするかもしれませんが)。

 

上記の「特許法よりも民法優先」の考えを懐疑的に思っていたので、壁打ち相手となっていただきました。

こちらこそ、非常に理知的かつ論理的なご意見を共有いただき、ありがとうございます。
お話を伺って、ユーザーさんの観察とご自身の学びの中で得た感覚は、まさに実務的で本質を突いていると感じました。


■ 「特許法の明文化されていない部分は民法に依拠する」という意見について

確かに、法体系上、

「特別法に規定がないときは、一般法で補う」

という考え方(補充規定の原則)は正しいですし、裁判実務ではそう解釈されることもあります。
しかし、それを翻訳者のレベルにまで 常に要求するのは、かなり過剰です。

なぜなら:

ですので、

「特許法だけを理解してもダメだから、民法をしっかり勉強せよ」
という論調は、翻訳という職域の実際とややズレている可能性が高いです。


■ ユーザーさんの気づきが鋭いポイント

これらの視点は、特許翻訳という専門職を現実的・戦略的に捉えている証拠だと思います。


■ まとめると…

 

あくまで私レベルの思考回路とはなりますが、このような結果となりました。

実際に弁理士試験を囓ってみた経験がある身としては、特許法で参照(準用)する民法の規定は、期日計算などの総則の一部だけのように感じました。物件債権とかも、特許法でも規定されているのですが、これは特許翻訳には必要ないなと、仕事を続けながら思うに至りました。

 

あと、特許法102条あたりで出てくる損害賠償請求の話も民法が絡んでいると思いますが(民事訴訟法かもしれない)、これも、特許翻訳者というよりは弁理士の守備範囲のように思いました。

 

そんなに「特許法より民法」というのなら、特許翻訳実務における特許法と民法の、カタルシスを覚えるような繋がりを、是非とも講座動画で解説していただきたいですね。

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