サイトアイコン 或る特許翻訳者の書斎

身の回り品から特許明細書にアプローチする方法

1年ほど海外に生活拠点を移すため、先日歯医者に行って、虫歯予防をしたり歯垢を取り除いてもらったりしてきた(海外では、歯科受診では保険が利かないことが多い為)

 

その時に始めて経験したのが、歯垢が付いているかどうかを確かめるために歯医者さんが投与した謎の物質。

 

目を閉じていたので詳しくは分からないのだが、どうやら液体を歯の周りに付けて、歯垢が残っているとその箇所が変色するようだ。

 

 

この時に「なぜ変色するのか?」と思って、簡単に調べてみたらどうやら「機能性色素」というものを使っているらしい。

 

当時は仕事がぱんぱんだったので詳しいところまで調べられなかったのだが(染色される原理も分からなかった)、今仕事が一段落したので、特許庁データペースにアクセスして調べてみた。

 

どうも「機能的色素」という表現では(発明の名称は)全くヒットしないので、この製品の名前を調べてみたら、「歯垢染色剤」というもののようだ。

 

そこで、「歯垢染色剤」を名称に入れて調べてみると、3件ヒット。

 

さすがに少ないので、「歯垢染色」と変更してみると、15件ほどヒットした(3件は重複)。

 

タイトルを見ていると「歯垢染色組成物」というのが多かったので、どうやら明細書ではこういう表現をするらしい。

そして、PDFデータにアクセスにアクセスして全てDLし、その時に請求項の初めの部分は目に入るので見てみたら、「pHがいくらの時に変色…」のようなことが書かれてあった。

 

 

なるほど。歯垢染色剤というのは、塗布した対象物に対してpH応答性があるというわけか。確かに、歯医者では「歯垢はリン酸がうんたら…歯にくっついて、ブラシングでは取れない」とか書かれていたのだが、言われてみれば塩のpHに対して応答性があれば、一発で反応する。

(要するに、フェノールフタレイン液とかと原理は同じということらしい)

 

pH応答性という着眼点は全くなかったので、これはこれでまた、勉強になった(中身は旅の途中にでもじっくり読んでみる)

 

 

あとは、今日日焼け止めクリームを購入したので、そちらもさらっとデータベース上で検索。

 

日本の化粧品メーカーはもちろん、富士フイルムの明細書もあったので、こちらも5件ほど入手。確か、特許翻訳に参入する際にこのあたりの勉強は少しして、紫外線をブロックするか吸収するかのどちらか、という話があった記憶のがあるのだが、今勉強してみると、また違った発見もありそうだ。(こちらも、詳しい中身までは見ていない)

 

 

このように、普段の生活から特許明細書・技術思想にアプローチすることは、そこまで難しいことではない(検索方法に工夫は要ると思うが)。

 

我ながら、ここまでくると職業病とは思ってしまうのだが、少しでも脳を鍛えることができればそれでいい、とも思うのである。

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