弁理士試験の勉強をしようと考えているけれど、どの予備校を利用しようか悩んでいる方も多いと思います。
メジャーなものとしては、大手予備校のLEC東京リーガルマインド
僕は、2021年1月に、同年の弁理士試験の受験を決めて、約半年間、資格スクエア
受験結果は、60点満点中25点(足切り点は例年39点)という、散々なものでしたが、逆に、弁理士試験の勉強・受験を未経験でも、4割強取れるだけの勉強ができた、と捉えることもできます。
これは、完全独学では絶対に到達できなかったと言えます。
ただ、もともと受験をするかしないか、ということも含めて、あまり時間のない中で受講を決断したこともあり、資格スクエア
そこで今回は、弁理士試験の受験を考えておられる方に、資格スクエア
※実際に資格スクエアを使って勉強されるときのために、重要度を★3つで示してみました(自分の肌感覚に基づきます)。
資格スクエアで提供される講義や問題集一覧
①入門講座(動画)
重要度:★★☆
弁理士試験を始めるまでに、特許法の条文を読んだこともない、そもそも知財の世界にすらいない、といった方向けの、心理的ハードルを下げるための、文字通り入門講座です。
講座内容は、特(実)意商の3科目について、制度のあらましと、どんなスケジュール感で勉強をすべきか、という解説がされています。動画時間は約11時間。この中で、特許法①の動画は、無料会員(受講料を払わない段階)で視聴することができる、サンプル動画の役割も果たしています。
3法(特意商)について、実務における出願~権利取得~消滅、までの「ライフサイクル」についても解説されていて、「特許法?なにそれ、おいしいの?」レベルの人でも、個別具体的な勉強に入っていく前に、大まかな制度の枠組みを把握することができるのが良い点ですね。
もう1点良いのは、具体的な勉強スケジュールが解説されていること、ですね。勉強スケジュールについては、①短答受験まで1年程度の余裕を持って進める、オーソドックスなタイプと、僕のように②とりあえず、次の短答受験をしてみる、といった、短期集中(捲り)タイプと、の2つに分けて解説されているのも良かったです。
ここであまり詳しく解説しないほうがいいのかもしれませんが、①のタイプの場合、最初の半年(時間に余裕のある間)に、基礎講座、青本講座、論文講座をコツコツと進めてから、年が変わったタイミングで徐々に短答を意識した勉強法(過去問演習など)にシフトする、というスタイルが推奨されていて、②の場合は、僕が実際にやったとおり、基礎講座を消化しながら、同時に短答過去問も解いて、「問題を読む→解説を見る→条文に当たる→理解する」というスタイルが推奨されています。
実際に②をやってみて思ったのは、負荷がとんでもなく大きく、最初は特に全く理解が進まないので、あまりお勧めできる方法ではない、ということです。やはり、試験の性質上、時間に余裕を持ってコツコツと進めていくのが、合格率を高める方法だと言えるでしょう。
②基礎講座(動画)
重要度:★★★
資格講座 | 資格スクエア
内容は、最初に見る「ガイダンス」(約2時間)の後に、
・特許法(31講座、約47時間)
・商標法(16講座、約23.5時間)
・意匠法(14講座、約20時間)
・条約(10講座、約12時間)
・著作権法(10講座、約9時間)
・不正競争防止法(6講座、約4.5時間)
の5分野6科目の壮大な量の動画コンテンツのラインナップとなっています。
この動画だけで約115時間、というとんでもない量になっているのですが、大切なのは、基礎講座は工業所有権法(特実意商、条約、著不)の大枠の解説しかされていない、ということです。決して、この基礎講座を消化することが、弁理士試験の勉強を進めることとは一致しない、ということを、講座を申し込む前に知っておいて下さい。
基礎講座は、あくまで「工業所有権法の大枠を理解する」というものなので、この動画講義はあくまで、補助的な役割を担っているに過ぎません。
実際に動画を視聴した上で、短答過去問を解いてみるなどして分かりましたが、基礎講座では、各法律の細かい部分までは解説されていないんですよね。例えば、意匠法と商標法で準用している特許法の内容の読み替え、といった、細かい(けれども、短答では問われる可能性がある)部分までは、当然ながら、基礎講座では詳しく触れられていません。
では、基礎講座は勉強において、どういう風に活用すればいいのか?という疑問が湧いてくると思います。
活用法としては大きく、2つあると言えます。
1つめは、毎日勉強をした、ということの「定量的数値」を可視化するための指標の1つとしての役割です。
当然ながら、動画を視聴する中でメモを取ったり、自分なりに理解することは必要なのですが、動画内でも言われているように、1回視聴しただけで、動画の内容全てが理解できるとは限りません。
なので、弁理士試験に合格した方の中には、2回、3回と、何度も同じ動画を視聴する中で、理解が深まっていった、定着していった、という方もおられるようです。
ですので裏を返すと、特に勉強を始めた初期段階は、「1日1動画を視聴することで、1時間勉強した」という、「勉強をした、ということの可視化、定量化」の指標として、講義動画を活用してみるのがいいでしょう。
ちなみに僕は、普通の再生速度で視聴していたらいくら時間があっても足りない、と思ったので、1.5~1.7倍の速度で視聴していました。1年ほどかけて勉強される方は、最初は1.2倍速程度で、2回目以降は1.7倍速程度で視聴されるといいでしょう。
また、動画はデータ量が重く、僕はコインランドリーを使っている待ち時間や、電車での移動中に使っていたのですが、ポケットWi-Fiのデータ通信量もなかなか食うので(90分の動画を1.5倍再生で視聴したら、1GBは消費する)、自宅のWi-Fiを使うとき以外は、スマホのデータローミングよりも、ポケットWi-Fi使用する方がいいと思います。
僕自身は、外出用に縛りなしWi-Fi
なお、動画コンテンツは「音声で視聴」モードも選択できますが、スマホの画面オートロック機能がオンになっていると、ロックされた時点で再生が止まってしまうので、それを避けるためには、動画は視聴しないけれど動画モードで再生する(=データ通信量の消費が多くなる)か、スマホのオートロック機能をオフにするか、のどちらかをする必要があります。
③青本講座(動画)
重要度:★☆☆
弁理士試験の勉強をするに当たって避けて通れないのが、青本(=工業所有権法逐条解説)です。
青本とは、特実意商の各条文と、その趣旨などの解説が一体化されているもので、特許庁がPDFで公開している一方で、紙媒体での購入もできるものです(僕は、勉強を始めた当時、紙媒体を購入できることを知らなかったので、ヤフオクの製本業者さんに頼んで、特許法上下巻と実安、意商の合計5冊を別々に製本してもらって送ってもらいました)。
それはさておき、弁理士試験の出題範囲はこの青本も含まれていることと、普段馴染みのない言葉の解説もここでされていることがあり、勉強をするに当たっては必ず目を通す必要がある資料となります。
その青本の解説講座、がこの「青本講座」になるのですが、すみません、実際のところ、僕は勉強時間の都合で、このシリーズの動画はほぼ視聴していません(2021年7月現在)。
青本講座のボリュームは、
・特許法(13講座、約19時間)
・商標法(8講座、約12.5時間)
・意匠法(6講座、約8時間)
・改正法関連(5講座、約7.5時間)
という感じです。
僕の勉強の流れの関係で、基礎講座+短答過去問⇔青本・条文(過去問と条文、青本の参照を行き来する)、という順番で勉強をしていたので、過去問をある程度解いた後で特許法の青本講座を一通り視聴して思ったのは、実際に青本を読む方が理解できる、ということでした。
青本の内容は、過去問を解く中で、解説に詳しく書かれている内容に、実際に目を通して見て、その周辺部分も読んでみる、あるいは、過去問を解く中で参照する条文が出てきたときに、条文と合わせて青本の解説部分にも目を通す、という方法で勉強をするほうが、効率がよく、また多くのことを参照できるため、記憶に残りやすいです。
ですので、青本講座は、過去問を解いていて疲れたとき(かつ、基礎講座の消化がある程度進んでるとき)や、基礎講座の消化で疲れて気分転換がしたくなったとき、といったタイミングで視聴するのがオススメです。
④論文講座(書き方講座、解き方講座、実践講座)(動画)
重要度:★★★
弁理士試験で避けて通れないのが、短答試験合格後に受験必須となる「必須論文」科目です。
僕は、受験開始後、まずは短答、と目標を決めて勉強をしていたのは「論文は後回し(=短答合格してから腰を据えて勉強、翌年受験)」と考えていたので、実は、この記事を書いている時点で、論文講座はほとんど視聴していません。
短答の受験後に、特許法の「論文書き方講座」をざっと視聴してみたところ、「基礎講座や条文の読み込みで培った基礎体力を、限られた時間でアウトプットする」ということに主眼が置かれており、また、論文試験でも、そのような力が試されているようです。
論文対策講座との向き合い方については、上で触れた入門講座の「勉強の流れ」で触れられているのですが、やはり、ある程度時間に余裕を持って勉強を始めた場合は、基礎講座の視聴と同時に合間を縫って確認しておくことが、あとあと慌てずに済むことに繋がります。
いずれにせよ、必須論文(特意商の3科目)は避けては通れない科目ですので、視聴は必須。その上で、どのようにアウトプットをして(実際に書いて)ブラッシュアップをしていくか、という、「実践」に時間を割くことが、鍵となるかと思います。
⑤Web問題集
重要度:★★★
⑥で説明する、紙媒体の短答過去問をWeb上で解くことができるコンテンツです。
重要度は星3つで、資格講座 | 資格スクエア
これはなぜか、というと、これすごく大切なことなんですが、短答で必要なスキル(理解力)というのは、各設問の枝(5枝)毎に、正しいか誤っているか、を判断することなんですよね。
というのも、短答の問題というのは、
・5つの選択肢から正しいものを1つ選ぶ(択一)
・5つの選択肢から正しいもの(又は誤っているもの)の数を答える(複数選択)
という、2種類の設問があるからなんですよね。
半年間、短答に絞って勉強を続けてきた経験から言えるのは、択一問題は、(ざっくりした理解ができていると)2つまでは絞れることが多くて、複数選択の問題は、正答の1つの正誤差になることが多い、ということです。
もちろん、きちんと細かい部分まで理解ができている人であれば、択一ではきちんと正答を選べて、複数選択の問題でも正答を導き出せるのですが、僕のように、「とりあえずゼロから勉強して、一通り大事な部分はある程度理解した(けれど完全じゃない)」という状態だと、「明らかに間違っている枝が3つは分かる」ような状態になるんですよね。
ただ、これだともちろん不十分で、大切なのは「どの枝が該当するのか」ということを、高い精度で選び出すことができること、そして、複数選択の問題の場合は、1つ1つの枝に対して、正誤を判断することができる力がある、ということです。
ここから言えるのは、どの問題に対しても、「枝1つ1つに対して正誤の判定ができ、その根拠が分かる」というレベルにたどり着くことで、短答は合格点を取ることができる、ということ。
そのためには、Web問題集で取り扱われているように、一問一答形式で、問に対して正答の判断ができ、その根拠となる条文を導き出せる、ということが必要となってきます。
そして、その訓練をするのに最適なのが、この一問一答形式のWeb問題集なんですよね。
実際問題、過去問を解くと、「五者択一」の場合、「なんとなくこの枝は違うから、こっちが正しい」という、消去法での選択が可能になってしまうんですよね。
でも、それはあくまで、他の選択肢との対比で正答を選んでいるだけなので、本質的に条文の理解ができているわけではありません。
ですので、五者択一であれ、複数選択の問であれ、「それぞれの枝を吟味する」という地力を培うためにも、Web問題集で、「目の前の問と向き合う」ということができるのが、存外効果的だと言えます。
なお欠点は、どうしても過去問からの抽出になってしまうので、既視感が出てくる場合があることと、内容が偏ってしまうことが挙げられます(実際、2021年の短答は、ここ数年の短答とは趣向の異なるものだったので、僕を含めて、短答の勉強を重点的にしていた方は、あまり良い結果を出せなかった傾向にあるようです)。
そのため、Web問題集はあくまで教材の1つとして活用して、これとは別に、過去問ではあまり触れられていない条文の読込や、各法域間での援用読替なども、自主的に行う必要があると言えるでしょう。
⑥短答過去問(紙媒体)
重要度:★★★
上でWeb問題集について詳しく説明しましたが、それと同じくらいに大切なのが、この過去問の問題集です。
先にWeb問題集について解説してしまったのですが、最初に過去問演習をするのであれば、まずこちらの紙媒体を使って、
・五者択一
・複数選択
のそれぞれを、本番と同じ設問で解いてみることをオススメします(その後で、Web問題集で、設問1つ1つを吟味する解法に移ります)。
資格スクエアの過去問の場合、過去の法改正によって問が成り立たなくなってしまった枝は削除されているのと、法改正によって、出題当時とは正誤判定が変わっているものについても、きちんと解説部分で修正がされていて、問題を解くにあたって、そこまで支障がないようになっています。
ただ、そのために、設問は「正しいものはどれか(=択一)」なのに、正答が複数になっている、ということもしばしばあるのですが、それは、上に書いたように「枝1つ1つに対しての正誤判定をする」という、2回目以降の演習で行えば十分間に合うようになっているので、最初はまず、分からなくても解説、そして該当する条文と青本を読んで、出題の傾向と、短答で問われがちな内容や注意点を把握する、ということに注力をするのがオススメです。
過去問の数は膨大ですが、同じ分野(例えば、特許法の拡大先願)を同じ日に複数解くなどすると、似たような問が何度も出てくることがあり、「こういう内容が問われるのか」ということを把握することができますし、それにより、その主題についての理解は早まります。
過去問を通して、問われる内容の重み付けができるのが、過去問演習の一番のメリット。もちろん、過去問に重きを置きすぎると、僕のように「これまで問われていなかった内容を問われると終わり」ということになってしまいますが、出題の傾向を把握する、そして、条文と青本に当たるためにも、実際の過去問を通して勉強することは、一番の伸びしろと言えるでしょう。
⑦短答対策講座(動画)
重要度:★☆☆
動画講義として、過去問演習に関連した内容を解説するシリーズが含まれています。
ただ、先に結論を言うと、このシリーズの視聴は優先する必要はありません。
というのも、内容はほぼ、基礎講座で扱われている内容と重複するするからです。
「短答対策講座」と聞くと、短答過去問で出題されている設問と、それぞれの選択肢を吟味していくことに主眼が置かれているのか、と思われるかもしれませんが、実はそんなことはなく、過去問の枝の中から、特に重要と思われる(=過去に繰返し聞かれている)内容についての解説が主になっています。
また、短答では「条文や青本の細かい部分が、重箱の隅をつつくように聞かれる」ということも動画内で触れられているのですが、その細かい勉強は、受講者の主体的意志に委ねられており、短答対策講座を視聴したからといって、そういう部分まで理解できるようにはならない、というのがやっかいなところ。
ですので、実際にひととおり視聴してみた身としては、短答対策講座の視聴に時間を使うのであれば、別のシリーズの動画を視聴するか、自分で条文や青本を読む、ということに時間を使ったほうが、理解や定着が深まり、進むかと思います。
⑧定期テスト
重要度:★★☆
講座の案内では触れられていないかと思うのが、この「定期テスト」。
これは、短答対策の勉強素材として、過去に出題された過去問から、枝の組み合わせを変えて、全て複数選択の設問となって出題される、資格スクエア
実際は、回答提出の締め切りが設けられていましたが、僕のように、他の人とは勉強開始のタイミングが合わない人でも、後日回答提出→連絡、という流れを踏むことで、結果と解説を送ってもらえるのが良かった点です。
また、過去問では「択一」で出題されていた設問もアレンジされて、全て「いくつあるか」問題(複数選択)となっていることも、より短答本番での、選択肢を吟味する力を養う、という意味では、実戦的に有益な勉強素材となっていました。
欠点としては、やはり過去問をアレンジしているため、内容に偏りがあることと、設問や解説に誤記がたくさんあって、自分の弱点分析をするに当たって、余計な手間が増えてしまったことでしょうか。
ただ、勉強素材としては、本番さながらの環境でアウトプットする(3時間30分で60問解く)という貴重な経験を積める(合計8回開催)ものでもあるので、上手く活用することで、理解の定着と実戦的な解き方を身につけられる勉居素材です。
⑨個別質問+回答
重要度:★★☆
最後に挙げるのが、質問を送って、オンラインでその解説をしてもらえる、双方向性の確保です。
この個別質問は、回答までタイムラグがあるため、本番直前にするのはあまりオススメではないのですが、講義動画を視聴する中で湧いた疑問や、条文との参照で分からない点、あるいはテキストの誤記と思われる内容についての質問など、試験勉強に関する内容であれば一通り対応してもらえるのが、魅力に感じました。
自分の場合、過去問の解説で分からない部分や、法学的な概念についての質問(債権や債務、といった用語)についての質問で、それなりの数の質問をしていました。
この個別質問は、使う人と使わない人によって価値の重みが異なってくると思いますが、資格スクエア
まとめ
今回は、完全オンラインの弁理士試験講座資格スクエア
半年間、ほぼ短答受験に照準を定めて講座を活用してきた身として言えるのは、講座はあくまでもサプリメントだ、ということ。大切なのはあくまで
・条文を読み込み、理解をする
・過去問を解きながら、あまり問われていない内容についても触れる
ということなので、最終的に求められるのはあなたの主体性。
ですが、主体性こそあれば、資格スクエア
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