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学会入会のコストパフォーマンスを考える

私が2016年5月現在で入会している学会は、高分子学会言語処理学会である。

特許翻訳者として数年のキャリアがあるので、本当はもう2つくらい興味のあるものに参加すべきなのだろうが、学会誌に目を通すのに時間がかかることもあり、なかなかホイホイと手を出せないのも事実だ。

 

ところで、学会に入会するのに必要な費用は、初期の入会費と、年会費の二つだけである。

高分子学会の場合、入会費が10,000円で、年会費が9,200円。入会することで何が得られるのか、と言えば、学会誌「高分子」が毎月初めに送られてくるのと、メーリングリストで各種案内(年次大会、講演、セミナー等)が送られてくる、というくらいであり、年次大会に参加するにも、セミナー(勉強会)に参加するにも、幾らかの割引はあるが参加費が必要で、数万円する。

 

この費用(入会費と年会費)を高いとみるか安いとみるかは人により分かれると思うが、私にとっては「激安」である。というのも、9,200円の年会費で、12回学会誌が送られてくるわけである。学会誌の中には、最先端の研究論文が書かれていたり、本の紹介があったりエッセイがあったりと、学際的な知見を得られることはもちろん、サイエンス界隈の業界にどんな通念があるのか、ということまで知ることができ、なかなか良質のコンテンツが揃っている。テーマは毎月変わり、例えばバイオポリマーだとか生体適合高分子だとか、ゴム材料だとか、レオロジーと組み合わせたものも過去にあった。毎月の論文も数件あり、難しい数式が出てきたり、聞き慣れない言葉が次から次へと出てきたりすることもあるのは事実だが、それらの言葉を1つずつ調べる勉強素材にもなるわけだし、研究者から特許検索をしてみることも可能なわけだ。

 

そして、年会費で12冊の学会誌が読めると考えるなら、一冊あたりの値段は約770円。コンビニで売っているファッション雑誌と相違ない。これだけの値段で勉強の素材がてんこ盛りなので、私は「激安」と感じているわけである。

 

もちろん、全ての論文に目を通すことはできないし、何度読んでも理解できないのもある。自分の心が萌えないものもある。しかし、その中から一本でも興味のある論文に巡り会うことができたのであれば、その周辺分野だけでも勉強することで、十分にモトはとれるわけだから、どちらに転んでも「学会費は安い」という結論になる。

 

なお、各学会で会誌の発行間隔や会費は異なるので、入会前に十分に確認されたい(入会手続きと会費の支払い方法が面倒くさいところもある)。

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