群馬県内を走っている吾妻線は、沿線に名湯・草津温泉があることで有名です。
先日、その草津温泉に旅行で東京から訪れてきたのですが、上野から特急草津号を使わずに、少し変わったルートで旅をしてきました。今回はそんな旅行をまとめたいと思います。
目次
関東屈指の秘境駅!吾妻線の終点・大前駅を目指す旅
草津温泉の最寄り駅は、吾妻線の途中の「長野原草津口」駅なので、普通に行くなら東京からここまでの切符を購入すれば問題ありません。
しかし、東京に住んでいない私にとって、草津温泉や吾妻線を訪れる機会はなかなかないので、今回はあえて、長野原草津口までではなく、その先の終点「大前駅」までの切符を発券しました。
東京で宿泊していたのは新宿駅近くのカプセルホテルだったため、朝から新宿駅の券売機で大前駅までの切符を買おうと思っていたのですが、料金表を見ると、大前まではおろか、吾妻線内の料金は一切表示されていません。
ので、近くにあるみどりの窓口(中はガラガラ)に駆け込んで、直ちに「東京都区内→大前」の切符を発券してもらいました。
「東京近郊区間」ルールをフル活用して大回りの旅へ
実は、東京から草津温泉(長野原草津口駅)や大前駅までJRで移動する場合、東京近郊区間のルールが適用されます。「東京近郊区間」とは、「区間内の路線のみを利用する場合、出発駅から到着駅までの運賃は経路に関係なく最短距離で計算する」というものです。
このルールは割と有名で、一番知られているのは「140円大回り乗車」ではないでしょうか。
これは、例えば東京→神田(隣の駅)までの切符を140円で購入しても、途中下車をしなければ、例えば東京→横浜→橋本→八王子→高麗川→高崎→桐生→小山→友部→我孫子→成田→成東→大網→勝浦→木更津→千葉→秋葉原→神田、というルートで移動ができてしまう、というものなんです!
このルールには、
・途中の駅で下車をしない(改札を出ることは出来ない)
・同じ駅を通ってはいけない(一筆書きとなる経路で移動する必要がある)
という制限がありますが、それでもなお、手軽に鉄道の旅が味わえることもあって、多くの方が活用している制度でもあります。
説明が長くなりましたが、今回私は、この方法を使って新宿から群馬県・大前駅まで「大回り」で旅をしてみることにしたのです。
なお、上の写真では経路が「上野、高崎」のように書かれていますが、駅員さんに確認したところ「新幹線を使わなければ」大回り乗車が可能とのことです。
ここに書いてあるように、新幹線の東京~熱海、東京~那須塩原、東京~高崎間を利用することはできません(在来線のみが利用できる、ということです)。
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①まずは新宿から南下して茅ヶ崎まで
さて、ここからが大回り切符の旅の始まりです。
普通であれば、新宿からまずは上野を目指して、そこから長野原草津口までは特急草津号を利用すれば、3時間足らずで草津温泉までは行けてしまいますが、今回はそうではなく、まずは東海道線を使って湘南は茅ヶ崎まで訪れることにしました。
新宿駅の特急ホームに停まっていた、伊豆急下田行きの「スーパービュー踊り子」号。大回り切符は青春18きっぷとは違って、在来線特急にも乗車することもできますが、今回は後続の湘南新宿ライン・特別快速に乗って横浜、大船と通過していきます。
こちらは、新宿駅湘南新宿ラインホームから浦和方面を目指す埼京線普通列車です。
新宿から乗車して1時間30分もかからない程度で、サザンオールスターズ・桑田佳祐の出身地である茅ヶ崎駅に到着しました。ここで、相模線に乗り換えです。
ちなみに、茅ヶ崎駅の東海道線ホームの発車メロディーはサザンオールスターズの「希望の轍」です。地元出身のアーティストの音楽が使われるのはいいものですね。
②相模線に乗って横浜線との接続駅・橋本へ
続いては、茅ヶ崎~橋本を結ぶ相模線に乗って橋本へ。
相模線は当然ながら初めての利用ですが、乗ってみて驚いたのは、単線のローカル線だということ…。てっきり複線の幹線だと思っていたので拍子抜けしました。
単線なので途中の対向列車との待ち合わせも所々あり、のんびりと神奈川県を北上していきます。
60分ほどで橋本に到着です。
③橋本~八王子~高麗川と、列車を乗り継ぎ移動
橋本から乗るのは、横浜線の八王子行き普通列車です。この路線は普通と快速が運転されているのに加えて、週末は臨時特急「はまかいじ」が松本方面に向けて、横浜近郊の旅行客を運んでいます。
横浜線の車両は撮っていません…。こちらは八王子駅で目にした中央線車両。
八王子からはローカル線の八高線に乗り換えて、ひたすら東京郊外を北上します。上の列車は4両で、路線は単線。いかにもローカル線という感じです。
途中の高麗川駅で列車を乗り換えて、寄居・高崎方面に向かいます。上の写真は、高麗川駅ですれ違う八王子方面行きの普通列車。この車両はE209系だったと思いますが、私の中ではかつての京浜東北線の車両、というイメージが強いです。
なお、八高線の「八高」とは「八王子」と「高崎」の頭文字で、これらの区間を結ぶのでこの名前となっているのですが、八高線は途中の高麗川で運転系統が分かれています。八王子~高麗川は電化、高麗川~高崎(厳密には一駅手前の倉賀野)までは非電化となっています。
電化区間を走る八高線は、そのまま川越線に乗り入れて川越・大宮方面まで走って行きます。
④高麗川から高崎までのどかな田園風景を走る
高麗川からは軽快なディーゼル車両に乗り換えて、1時間30分ほどかけて高崎まで行きます。
八高線の非電化区間はのどかな風景が続きますが、沿線には西武秩父線や東武鉄道の複数の路線が併走・接続していて、のどかなのに目にする列車の種類は非常に多いめずらしい区間です。
ただ、西武鉄道も東武鉄道も、全て都心近辺を結ぶ路線なので、八高線とは趣が異なります。
高崎駅に到着しました。
⑤高崎から新前橋、渋川と乗り継いで大前へ
群馬県内に入るといよいよローカル線の色合いが濃くなっていきます。
高崎からはまず、両毛線を通って小山まで走る普通列車に乗車して、新前橋駅で水上方面への普通列車に乗り換えます。
更に、伊香保温泉の最寄り駅・渋川駅で列車を待って、いよいよ吾妻線の旅が始まります。
途中の中之条駅で、反対方面行きの草津号と普通列車を回避します。
中之条駅は四万温泉の最寄り駅でもあるため、草津まで行かずにここで下車する人も多いそう。
大前までの列車は211系。時間の関係で影がかかっていますが、中之条で撮影したものです。
⑥8時間かけて吾妻線の終点・大前に到着!
9時前に新宿を出発して足かけ8時間。ようやく吾妻線の終点・大前駅に到着しました。
吾妻線は、一駅手前の万座・鹿沢口駅までは列車本数が多いのですが、最後の一駅の区間だけ、1日5本!という少なさになってしまう、関東屈指の秘境駅(秘境区間)と言ってもいいでしょう。
なお、17時過ぎに到着する列車以外は全て、大前駅での折り返しで1時間ほど(場合によってはそれ以上)待たないといけないので、本数もさながら、旅程を組むのも大変な区間です。時刻表と格闘しないといけないですね…。
1月中旬に訪れましたが、雪が積もっていました。
なお、以前は簡易宿泊所が大前駅の前にあったようですが、2018年になるまでに撤去されてしまったようです。
これが大前駅の出発時刻表。日中は実質3本しか乗り入れてませんし、終電も早い…。
駅ノートも置かれていました。中を開いてみると、ほぼ毎日、鉄道好きの人たちが訪れているようです。
まとめ
今回は新宿から大前駅まで、東京近郊区間を活用した大回り乗車の旅を簡単にまとめました。8時間ほど乗って3350円ですから、良い買い物と言ってもいいのではないでしょうか。
草津温泉に行かれる際は、せっかくなので大前まで足を延ばしてみるのもいいかもしれません。
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渋川で吾妻線ではなく北を目指すとたどり着く土合駅の紹介はこちら。
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