東海道本線の大阪~米原間は、東海道新幹線を除くと新快速の独壇場となっていますが、そんな中、通勤特急の役割を果たしているのが、平日限定で運転されているびわこエクスプレス1号・4号。
1号は米原を朝6時過ぎに出発して7時30分頃に大阪に到着し、反対の4号は大阪を21時36分に出発し、米原到着は23時前後。
日中は「サンダーバード」として大阪と北陸を結んでいる車両の間合い運用として運転されているこの列車ですが、普通は滋賀県北東部在住の方でないと、全区間の利用は難しいもの。
私は、関西在住でこそありますがこの列車に乗ることは難しかったので半ば諦めていたのですが、その一方で以前から「683系のグリーン車に乗って朝の東海道の景色を楽しみながら走ってみたい」という思いもありました。
そういうわけで今回、前日に米原入りして駅前のビジネスホテルで宿泊し、無理矢理「びわこエクスプレス1号」のグリーン車に乗って大阪を目指す、ということをやってみました。
なお、この前日は、草津まで「びわこエクスプレス2号」に乗った後、更に普通列車に乗り換えて米原に向かいました。この「2号」は、日中「はまかぜ」に利用されているディーゼルカーが間合い運用で使われており、こちらはこちらで興味深い列車です。
その乗車記については、こちらの記事でまとめているので合わせてどうぞ。
通勤特急・びわこエクスプレス2号で夜の琵琶湖路を駆け上がる
目次
びわこエクスプレス1号は、米原から乗るには時間が早すぎる?
以前から乗りたかった「びわこエクスプレス1号」ですが、前日に米原駅に到着して思ったのは、「駅前になにもない」ということ。
米原市役所こそ駅から近くにありますが、夜に米原に到着して最初に抱いた印象は「米原駅しかない」ということ。
ホテルは、米原駅西口すぐに東横インを利用しましたが、駅構内にあるコンビニは朝の7時半にならないとオープンせず、これ以外で最寄りのコンビニとなると、ホテルから駅とは逆方向に3分ほど歩かないといけない場所にあって、やや不便。
ホテルで起床したのは朝の5時30分で、びわこエクスプレスの発車は6時3分でしたが、準備などもすると、この間にコンビニに行って食事を買うのは乗り遅れる可能性もあったので、しないことにしました。
米原に住んでいる方であれば、起きてから朝食を食べて身支度をして…ということが自宅でできるでしょうが、それでも朝6時過ぎの特急に乗るには、起床も早くしないといけないでしょうから、そもそもこの「びわこエクスプレス1号」、米原からお客さんを沢山乗せることはあまり想定しておらず、あくまで「車庫があるから」という理由で、米原まで運転しているのではないかと考えられました。
びわこエクスプレス1号が米原駅に入線するのは発車3分前!
米原駅は、2番線と3番線ホームが大阪方面行き用に使われています。
上の写真は、改札に入ってすぐのところにあった案内板なのですが、よく見ると、びわこエクスプレス1号が発車する3番線には、びわこエクスプレス1号が出発する4分前に、普通列車の網干行き(厳密には、長岡京あたりから西明石まで快速運転)が止まっています。
つまり、この列車が5時59分に出発してから4分の間に、びわこエクスプレス1号の列車が入線して発車するわけですが………
実質、米原駅停車時間は3分ないような感じですから、事実上、この列車は米原駅構内で、単に信号待ちをして出発する、という運用になっていることが分かります。
6時頃、米原駅の東側にある操車場から、683系4000番台(両方向とも貫通型の9両固定編成の、サンダーバード用車両)の更新車が入線し、わずかな停車時間で米原駅を出発しました。
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米原~大阪間だとすごく高いグリーン料金
今回利用したのは、びわこエクスプレス1号のグリーン車。この車両は1号車で、一番名古屋側に位置します。
米原~大阪間のグリーン料金は2800円、(自由席)特急料金は1860円で、合計4660円。
1時間半の移動とはいえ、いくらグリーン車とは言え、この料金だと間違いなく「贅沢品」になってしまいますね………。
ただ、在来線特急の中で、米原~大阪間でグリーン車に乗れるのはこの「びわこエクスプレス1号・4号」だけということと、湖東周辺に住んでいない私に取っては、恐らくこの列車に乗る機会は人生で今回が唯一無二だろう、ということも相まって、躊躇せずにグリーン車を利用することにしました。
なお、今回使った乗車券は、「夏の1dayおでかけパス」。この日は、米原から大阪までこのびわこエクスプレス1号に乗ったあと、再度大阪から米原まで「ひだ25号」(いわゆる「大阪ひだ」)に乗って再度米原に戻る予定で、米原~大阪の乗車券を往復で購入するよりも、こちらのほうが若干安かったので、利用した次第です。
米原発車時点での、グリーン車の車内。見事に私1人でした。
更新車ということもあって、JR西日本の在来線特急車両の中では最高級の使用になっている、683系4000番台のグリーン席です。
今回は進行方向左側、一列席で座席指定をしました。チケットの購入は「みどりの券売機」で前日に済ませたのですが、座席表から希望の席を選択しようとしたところ、7割ほどの座席が埋まっていて驚きました。
(ただ、どうやら2列席は片側が埋まった時点でもう一方も指定できないようになっている仕様のようで、実際にはもう少し空席がありました)
米原駅で列車に乗り込んだときに、他の車両に乗り込む人もざっと確認しましたが、両手に収まる程度。
実際に乗っていると、彦根、近江八幡、野洲、守山、草津…と停車していくのですが、近江八幡を過ぎてから徐々に人が増えていく感じで、グリーン車に他のお客さんが乗ってきたのも守山が初めてで、草津でもう数人の乗車が見られました。
やはり、米原はあくまで「車庫がある」という理由で運転されているだけのようです。
683系グリーン車の様子
以下は簡単に、写真と共に車内の解説を。
レッグレスト完備、コート掛けも着いている座席ですね。レッグレストは、個人的に脚が長いこともあって邪魔に感じるのですが、これがあるほうがリラックスできる方もおられると思うので、どう捉えるか個人差がありそうですね。
乗ったときは、このフックもハンガーのような機能になっていると思ったのですが、もしかしたら装飾なのかもしれません。
肘掛けの前部にはコンセントも完備。これが、グリーン車ならではの設備といいますか、良いですよね。
缶やペットボトル置きは、肘掛けの中から出すスタイルです。
お弁当などを置けるテーブルも、肘掛けに収納されています。
こちらは読書灯。隣にある黒いボタンで操作します。
朝の近江路の車窓。ざっと見ていた感じ、進行方向右側(2人座席側)の車窓のほうがきれいでしたね…。
この日は天気が微妙な時間帯もあって、なんともすぐれない車窓でした。
草津を過ぎても滋賀県内はこまめに停車していきます。普通車の乗車率はどんなものか確認していませんが、9両編成であれば3割もないのが普通でしょうか。
これは大阪で下車する直前に撮ったのですが、網棚の端にはブランケットが置かれていました。コロナの影響もあるのか、袋に入ったものをセルフサービスで使うスタイルのようです。
京都を過ぎると見慣れた風景。住宅街を30分で通過して大阪に到着
グリーン車への乗車は山科まであり、そこからは一部の人が新大阪で降りる以外は、全員大阪まで乗車していました。
グリーン車なので車内は静か、京都を過ぎると、はくとやサンダーバードも走る区間なので、あまり特急に乗っても新鮮味を感じない旅路になってしまいました。
そうこうしているうちに、びわこエクスプレス1号は定刻通りに大阪に到着。ここからこの列車は、一旦宮原の車庫に引き上げて、通常のサンダーバード運用に就きます。
ちなみになのですが、このびわこエクスプレス1号、京都駅を出発するのが7時3分で、実はこの3分後に、京都発倉吉行きのスーパーはくと1号が出発するんですよね…。
朝の通勤ラッシュ時に、15分間隔で新快速が動いている中を3分ヘッドで2本特急を通すアクロバティックな技に驚くのと、平日限定ではありますが、彦根から草津辺りの方にとっては、このびわこエクスプレス1号→スーパーはくと1号に乗り継いで、山陰方面に抜けるのが一番速い移動方法になる、というようです。
(びわこエクスプレスとはくとの特急券をそれぞれ購入する必要がありますが)
ついでに付け加えておくと、米原から出発する場合、無理にびわこエクスプレス1号に乗らなくても、1時間ほど後に出発する始発の「ひかり」に乗れば、姫路駅でこの「スーパーはくと」に乗り継ぐことができるので、こちらのほうが便利です。
まとめ
今回は、朝の近江路・東海道を走る通勤特急「びわこエクスプレス1号」のグリーン車乗車記をまとめました。
朝6時台から運転されている、グリーン車が連結された在来線特急列車というのは貴重ですし、何よりも朝一でグリーン車に乗って移動するのは、何にも代えられない贅沢さがあります。
米原付近に住んでいない方にとっては利用が難しいと思いますが、是非、彦根や近江八幡からでもいいですので、一度この、びわこエクスプレス1号のグリーン車に乗ってみて下さい。
他の特急でもできるような、京都から大阪までの移動だと、びわこエクスプレスの真骨頂は味わえませんよ。
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