翻訳の仕事をしていると案外気を遣うのが、「案件関連ファイルの管理方法」です。
私は特許翻訳の仕事をするまでは、案件ファイルの管理方法はそこまで丁寧ではありませんでした(翻訳支援ツールのメモリなども使っていなかったため、整理するファイルが多くなかった)。
しかし特許翻訳を始めてからは、仕事に関係する支給ファイルや、調査で入手した関係資料のファイルが一気に増えたため、試行錯誤を繰り返して、現時点で一番自分に合った方法で書類を管理することができています。
今回はその方法をまとめるので、参考にして頂ければと思います。
⓪仕事を受けるまで
仕事を受ける以前に、パソコンの内蔵HDDの中を整理しておく必要があります。
私は「仕事」→「翻訳」→「特許翻訳」のように下層フォルダを作って、その中に更に、取引先毎のフォルダやその他フォルダをいくつか入れています。
ぼかしを入れているのが主要取引先毎のフォルダで、この中に更に、案件毎のフォルダを作成しています。
例えばこんな風にです。
私の場合、案件フォルダの番号は最初の取引からの通し番号にしています。自分はこの方法で頭の中も整理ができてこんがらがらず、翻訳メモリや用語集のファイルもこのフォルダ名を流用して(XX社案件●●、のように)作成していますが、フォルダ名は人によって覚えやすい、整理しやすい方法が違うので、ネーミングはご自身に合ったものにされると良いでしょう。
①仕事を受けたら
さて、仕事を受けたら、取引先フォルダの中に新しく「案件XX」と、新しいフォルダを作ります。
その中にまずは「支給ファイル一式」というフォルダを作って、この中に取引先から支給されたファイルを全て格納します。
②仕事を進める中で「参考資料フォルダ」を作って活用
仕事を進める中でもう1つ作るのが、「参考資料」という名前のフォルダです。
このフォルダの中には、案件の下調べの際にヒットしたPDFファイルや、必要であれば化合物の構造式をスクリーンショット(あるいは画像切り抜きソフト)などを入れます。また、仕事を進める中で色々と調査をしてヒットしたPDFファイルも一式ここに入れて、仕事が終わった後に十分な時間があれば、ザッと目を通すことが多いです。
時間がない場合は、中から興味のあるものだけをピックアップして素読する程度にとどめます。
加えて、案件の類似特許や関連特許、仕事を通して「これは読みたい」と思った特許のPDFファイル(日本の特許庁テータベースから取得)も、このフォルダに保管することが多いです。
あまりにも特許が多い場合は、別に「参考特許」というフォルダを作るときもあります。
③翻訳メモリファイルは毎日エクスポート→バックアップ
翻訳支援ツールを仕事では使うことが多く、仕事をした日は必ず、仕事終わりの時にデータをエクスポートしています。
フォルダの場所は仕事フォルダとは分けていて、「翻訳支援ツールデータ」のような名前のフォルダを別に作って、ここで全て管理をしています。
毎日エクスポートをして多重バックアップをしておくことで、万が一パソコンが使えなくなっても、予備のパソコンにメモリだけ流し込んで前回の箇所から進めることができるようにしてあります。
④翻訳が一通り終わったら
翻訳の後は見直しをするので、「見直し」用のフォルダを作ります。
見直しフォルダには、翻訳支援ツールからエクスポートした見直し用ファイル(英日の対比ファイルなど)を保管するだけですが、Tradosからエクスポートをすると必ず新規フォルダを作る必要があるので、このように便宜上フォルダを作っています。
⑤見直しが終わったら
見直しが終わったら納品するファイルを整理する必要があります。この時に作るのが「納品用」というフォルダで(上の写真参照)、
・訳文ファイル
・Tradosのパッケージファイル
・メモリファイル(tmxファイル)
・コメントファイル
など、取引先に応じて必要なファイルだけを最後に入れるようにしています。
こうしておくことで、どのファイルを先方に送ればいいかもきちんと整理することができます。
⑥フィードバックが届いたら
フィードバックが届いたら、案件フォルダの中に「fb」(=フィードバック)というフォルダを作って、受け取った資料はここに全て格納しています。
私は今のところ、この方法でパソコンも頭もすっきりと整理することができています。
まとめ
今回は翻訳業務時の案件ファイルの保管・管理方法についてまとめました。参考になる箇所も多かったことと思います。
なお、翻訳の見直しなどの方法については、拙著「翻訳ツール大全集」に詳しくまとめていますので、翻訳支援ツールの使い方やヒントと合わせて学んで頂ければと思います。
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