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「表面科学」の本を利用して、プロの特許翻訳者としてキャリアを構築する方法

プロの特許翻訳者としてキャリアをスタートさせる、あるいは、仕事をしながらキャリア構築の方向性を考えることは、面白い作業でもある一方で、CVの書き方や見せ方にも工夫が必要であり、正直なところ、簡単な話ではない。

 

世間的には、特許翻訳の専門分野は「化学」「バイオ」「機械」「電気」のように、ざっくりと分けられることが多く、実際に、翻訳会社に応募をした際も、トライアルの分野はこれらのカテゴリーに分けられて送られてくることが多いのではないだろうか。

 

しかし、世間的にメジャーな方法を取り入れても、そもそも「他人と同じこと」をする時点で、勝ち目は薄いことも、我々は考えなければならない。

 

そこで今回は、講談社が出しているシリーズ物の書籍「BLUE BACKS」を、特許翻訳者としてのキャリア形成に利用することについて考えてみたい。

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今回参考にする本

今回紹介するのは、講談社BLUE BACKSシリーズの「すごいぞ!身のまわりの表面科学 ツルツル、ピカピカ、ザラザラの不思議」という本だ。

すごいぞ! 身のまわりの表面科学 ツルツル、ピカピカ、ザラザラの不思議 (ブルーバックス)

この本は、純粋に読み物としても面白いので、是非手に取って頂きたい一冊だ。

 

さて、「表面科学」というと、どんな具体例を思い浮かべるだろうか? 私は、物質の表面の性質を変えて水をはじきやすくしたり、逆に水に濡れやすくする、ということや、スマホやパソコンのスクリーンを処理して、光の反射をしにくくしたり、画面を見ている人の顔が反射しにくくなったりする、ということを思い浮かべる。

 

この本では、そのような数々の「表面科学」の、身の回りでの使用例が事細かに書かれている。

例えば、ロータス効果を利用した、撥水性加工を施した自動車のドアや、ファンデルワールス力を利用したヤモリテープ、光が当たると水をはじいて見やすくなる鏡、といった、材料化学での表面科学の利用、

摩擦の大小を利用した潤滑剤、流体の流れと抵抗を制御することによって効率的に風力を発電する、といった、機械分野の色が濃い表面科学の利用、

あるいは界面活性剤の原理がリン脂質二重膜に使われているという、生化学・製薬(医療)分野での、表面科学の利用、

といった風に、いくつかのテーマ毎に、表面科学の実例が紹介されている。

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本の具体例を元に特許を調べて読み込む

そして、この本を一通り読んで、自分の興味がある分野をピックアップすることができれば、作業の半分は終わったと言うことができる。

 

あとは、日本特許庁のデータベース

j-platpat

にアクセスをして、キーワード検索などを有効活用して、興味のある分野を、本に出てきたキーワード(例えば光触媒、ロータス効果、ヤモリテープ)や出願企業等を組み合わせて、該当しそうな明細書を10件ほど取り寄せて読んでみる。

 

これを行った上で、外国企業が英語で出している明細書を訳してみれば、「ロータス効果」「ヤモリテープ」等のキーワードを、CVの専門分野、得意分野に記載することができる。

 

この場合、専門は表面科学、という風に、一番大きなカテゴリーに「表面科学」という大分野を持ってきた後に、具体例としてロータス効果、ヤモリテープ…というキーワードを載せていけば良い。

 

あるいは、「表面科学」を最上位のカテゴリーにし、二番目のカテゴリーに「材料化学系」「機械系」「生化学系」というキーワードを置いた上で、三番目のカテゴリーに「ヤモリテープ」「ロータス効果」等をちりばめるのも有効だろう。例えば、以下のような階層で、CVに記載をする。

 

専門分野:

表面科学

材料化学-ロータス効果、ヤモリテープ

機械系化学-潤滑剤

生化学-……

(後は実際に、この本を手にとってやって頂きたい)

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これまで担当した案件の整理に本を利用する

上では、「専門分野の切り分け方、見せ方」について紹介したが、これとは少し視点をずらして、これまで担当した案件の整理やカテゴライズのヒントを得るために、今回の本を利用する、という方法もある。

 

例えば、今までの仕事をCVに載せている場合、分け方が無難に「化学(あるいは有機化学、無機化学)」「機械」「バイオ」のようになっていることが、殆どではないだろうか。

 

それを、「他の切り分け方はないか?」というヒントを得るために、この本を読むのだ。

この本では、様々な表面科学の例が載っているから、これまでに担当した案件と重なる部分が出てくることもあるだろう。

 

もしそうであれば、この本に書かれてあるキーワードを上位層に配置して、下層に該当する対応案件のキーワードや明細書のタイトルを記載しよう。多くの同業者がやっている「化学」「機械」「バイオ」といった、紋切り型の見せ方とは異なるため、採用担当者の目に留まる可能性も高くなるだろう。

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