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ホールICLレンズを入れて、メガネ生活を卒業しました

先日、「ホールICLレンズ」なるものを使って、視力矯正をしてきました。

 

もともと、10歳の頃から近視が出始めた僕。小学校5年生の頃にメガネをつけ始め、大学生の時期に数年間コンタクトレンズに変えたこともあったんですが、今回の視力矯正によってそんな生活にも一旦終止符が打たれました。

 

「ICLレンズ」という言葉自体、知らない方のほうがまだまだ多いかと思うのですが、簡単に言うと「目の中にレンズを入れる」という、視力矯正の方法です。

「目の中にレンズを入れる」とだけ言うと物騒な響きがしますが、角膜の後ろ側、かつ虹彩の前側、つまり、角膜と虹彩の間の空間にレンズを挿入して、視力を戻す、という方法で、コンタクトレンズの入れる位置が、一歩奥になった、と考えると分かりやすいんじゃないかと思います。

 

この方法での施術を受けることにした理由は大きく2つあって、

①自分の近視・乱視度数だと、レーシックはあまり効果がなさそう

②レーシックと違って、最悪元の状態(視力の悪い裸眼の状態)に戻せる

というものでした。

 

視力回復の方法として、昔からレーシックは知っていましたが、あまりに近視や乱視が強すぎるとそこまで効き目がない、と聞いていましたし(自分の、矯正時の裸眼視力は0.05くらい)、レーシックの場合、角膜を削って光の屈折を変えるので、万が一上手くいかなかったら、削った角膜を元に戻すことはできないので、その点が怖い、というのが、昔からの懸念でした。

 

視力矯正自体は、10年以上前からやりたいな、とは思っていたんですが、当時はレーシックしか実質的になかったはずで、「自分の目の状態だと多分無理」と、ほぼ諦めていたんです。

 

が、2018年くらいに、この「ホールICLレンズ」という術式を知って、自分のコンディションやリスク許容度に照らし合わせて「これなら矯正してみたい」と思えたので、今回実施に至った、というわけです。

 

(ちなみに、「ホール」とは「穴」のことで、レンズに酸素透過用の小さな穴が空いているからです。以降は単に「ICLレンズ」と書きます)

 

ICLレンズを使って視力矯正に至るまでの流れ

ICLレンズを使った視力矯正でネックなのは、「術前術後の準備やケアに時間がかかる」というものでした。

 

具体的な話をすると、まずICLレンズでの矯正ができるかどうかの適応検査を受ける必要があります。このときに視神経の確認、眼底検査、眼圧検査などをすると同時に、目の構造もチェックして、レンズを挿入できるのかどうか、ということも確認してもらいます(目にも個人差があって、角膜と虹彩の隙間が狭くて、レンズを入れられない人も一定数いるらしいです)。

 

また、近視・乱視が強いと、レンズをオーダーメイドしないといけない場合もある(在庫がない場合がある)ので、適応検査を受けてから、すぐに矯正をしよう、ということも、人によっては難しいことがあるようです。

 

僕は近視・乱視ともに強すぎてレンズの在庫がないので、発注から1.5ヶ月ほど待つ必要がありました。ちなみに、僕が矯正を受けたのがコロナの時期だったので、他の施術者がそこまで多くはなかったのが幸いしましたが、普段だと長くて3ヶ月ほど待つ場合もあるみたいです。

 

あと、僕の場合は、施術前に目に異常がある(?)みたいで、視野検査と眼底検査を詳しくする必要がありました。なんでも、視神経が偏り過ぎている(?)みたいで、将来的に緑内障になるリスクが、高いかもしれないとのこと。

 

レンズを入れること自体、緑内障のリスクが増えるとか、そういうことではないので、矯正をしてからも目の検査を定期的に受けていくことにしました。

 

※クリニックにもよると思いますが、僕が利用したクリニックでは適応検査は無料でした。そしてこのときに、白内障や緑内障、他の眼疾患のリスクや目の状態についても詳しく確認してもらえるので、すぐに矯正を受けない方でも、検査を受けてみるのはアリだと思います。

 

で、矯正が終わってからの流れですが、翌日検診、1週間検診、1ヶ月検診、3ヶ月検診、半年検診、1年検診…と、定期検診をコンスタントに受ける必要があります。しかも、術後1週間は洗髪や美容室の利用の制限、国内旅行の制限、1ヶ月は海外旅行の制限など、色々と行動が縛られます。なので、日本にいるときに施術を受けないといけないのですが、ここ4年ほどヨーロッパを拠点にしていた自分としては、なかなか受けられませんでした。

 

結局、2020年の2月に適応検査を受けて施術をすることを決めて、7月の頭に受けることにしました(3月~5月は海外にいたので)。

 

施術の3日前からは点眼薬を1日4回差して、当日を迎えることになりました。

施術当日の流れ

視力矯正をする当日は、前開きの服を着て、朝に点眼剤を差してクリニックに行きました。

 

施術開始が14時からで、レンズを入れるの自体は両眼で10分~15分ほどで終わるんですが、事前準備が結構必要みたいで、全体で2~3時間ほどかかるようです。

 

まずは、同意書など、署名捺印済みの書類を提出して、施術代を払います。施術代(というよりは、レンズ代)は、乱視の有無や度数で変わるのですが、僕は80万円弱でした。適応検査のときに着手金として20万円払っていたので、残りを当日に支払いました。

 

支払いが終わると、緊張緩和剤や痛み止めを飲んで、最終の眼圧検査などを終えて、いよいよオペが始まります。

 

オペの前から、点眼麻酔や瞳孔を開く目薬を何度も差して、オペに備えました。瞳孔を差す目薬で、目にだいぶ光が入ってきて、普段よりも刺激は強く感じます。

 

オペ室の前の待機スペースで、ガウンや帽子を着せられて、名札を帽子の上に貼り付けられました。ここでの待機時間が微妙にあるのですが、この間にスタッフさんと話をしながら、緊張をほぐします。

 

そして、いよいよオペの始まりです。

 

名前を呼ばれて、スタッフさんが両手を持って部屋の中まで付き添って入れてくれます。

 

椅子に座ったらリクライニングを倒して、目以外の顔を覆うシートを被せて、レンズを入れる目が閉じないように、器具を使ってしっかり固定します(両目が開いた状態で、もう片方の目は普通にまばたきができます)。

 

レンズを入れる際には、目の前に照明があって、そこから光が思いっきり目に当たります。瞳孔が大きく開いているので、すごく刺激が強いんですよね。ただ、オペ中はずっとこの光を見ないといけなくて、それが結構辛かったです。

 

そうこうしているうちに、目薬を差したり、水で洗浄したりして、気づいたらメスでレンズを入れる穴を開けられて、そこからするするとレンズが入っていく………という状況になりました。

 

術前は、「目に穴を開けるときは痛くないのか」「レンズを入れると痛くないのか」とか思っていたんですが、麻酔が十分に効いて、全然痛くはなかったです。しかも、照明が明るすぎて、しかも目も悪いので、周りで何が起こっているかも分からなくて………。メスも目の横から入れるので、視界に入ってきませんでした。

 

レンズを入れている間は、確かに何か入ってきているという感じで、コンタクトレンズを付けていたときのように、光の角度が変わったりしていました。ときどき「目を下にして下さい」と言われましたが、それ以外は特に何もなく、レンズが入ったら洗浄液で目を洗って、もう片方の目にもレンズを入れました。

 

正直な話、「目が痛い」とかよりも「ただただ照明がまぶしい」「なすがままに洗浄液で目を洗われてキツい」みたいな感想のほうが強かったですね。「人権を認められない」って、こういうことなのか………、とか、ちょっぴり思いました。

施術が終わったら

施術後は、再度オペ準備室で待機します。このときは、まだレンズも目の状態も安定していないので、ずっと視界がぼやけたまま。徐々にはっきりと見えてくる………という感じでしたが、ピントが合わなくて、手前が全然見えませんでした。

 

30分ほど経つと、まあまあ見えるようになってきて、オペ準備室から出ました。

 

まだはっきりとは見えない部分が多いんですが、簡単に、レンズの位置などを確認して、この日は終了。

 

術後1週間は、外出時は保護めがねを掛けないといけないので、それを付けてクリニックを後にします。

 

僕は、翌日検診もあるのでクリニックから徒歩圏内のホテルに泊まったんですが、これで正解だったと思います。まだ瞳孔が開いたままで、入ってくる光の刺激が強いのと、電車で1時間以上かけて帰宅するのは、ちょっと怖く感じました。

 

(なぜ保護めがねを付ける必要があるかというと、レンズを入れるために目に穴を開ける=目にキズが付いている状態なので、このスペースから細菌や埃が入ると、感染症にかかってしまう可能性があるからです。保護めがねは、基本外出時の着用が必須ですが、室内でも埃っぽいところ、冷房の風が直接当たるところなどにいる場合は、メガネ着用が推奨とのことでした)

 

ただ、ホテルチェックインのときに、受付の用紙に住所や氏名を書いたんですが、ピントが全然合わなくてほぼ何も見えなかったので、施術当日にホテル泊をするのであれば、チェックインは術前に済ませておいたほうがいいとも思いました。

 

で、施術当日は本当に目が見えづらいです。点眼剤を差してもレンズが浸みるときもあるし、僕の場合はとにかく手前でピントが合わなくて、「ああ、老眼ってこんな感じなのか」とか、「本当にこれで矯正できるんかな」と、めちゃくちゃ不安になりました(笑)

 

他にも、コンタクトレンズを付けたことがある方は分かると思うんですが、明かりが滲んだり、周りに輪っかができて広がって見える、といったことも、施術直後は起こっていました。

 

これらは正直不安でしたが、一晩寝たら治っていたので一安心。

 

で、翌日起床してびっくり。

 

本当に視力が回復しています。

 

これまで、目覚めた瞬間に部屋のなかがはっきり見える、ということはありませんでしたし、時間を確認するときも、時計を目のすぐ手前に近づけるか、メガネをかけて室内の時計を見る必要がありましたら、当然ながらそんな必要もなし。

 

あいにく、ホテルの客室からの眺めはよくありませんでしたが(笑)、翌日検診でクリニックに向かう間に通った地下道でも、案内や人の顔がすごくはっきりと見えて、驚きを超えて感動しました。

 

検診で測定した視力は両眼とも1.5。メガネやコンタクトレンズでも、確か1.2が最高だったと思うので、それも含めて感動でした。

 

検診が終わったら、少し遠回りして電車の前面展望を楽しんで帰宅。世界はこんなにきれいなのか………と、嘆息することしきりでした。

 

コンタクトレンズやメガネと比較してのメリット

といった感じでしょうか。

 

まだ、矯正して2日なので今後どういう風に変化するかは分かりませんが、間違いなくいい買い物だと言えますね。

 

今回のICLレンズでの視力矯正は、先進会眼科を利用して行いました。術後3年間は、経過観察の検診無料(年1回)で行えるのも魅力です。

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