2020年5月6日限りでの廃止が決定している、札沼線の末端区間である北海道医療大学~新十津川間。
廃止の事実上の決定が2018年秋頃で、それ以来、特に末端区間の浦臼~新十津川は「1日1往復の列車しか走らない区間」「日本一早い終電が運転する区間」として、注目を浴びて利用者が多くなってきています。
私も今回、6月の平日に札幌から新十津川までを札沼線経由で往復して、実質的な「見納め」「乗り納め」をしてきました。この記事では、その際に知った情報などをまとめて、これから札沼線の末端区間に乗車される方に参考になる情報を提供したいと思います。
それでは順に、見ていきましょう。
目次
札幌から乗車券を買う場合
まずは、新十津川までの乗車券の買い方から。
札幌からそこそこの距離があるので、札幌駅の券売機では買えないんじゃないか……と少し危惧していたのですが、そんなことはなく、札沼線全区間の切符を、札幌駅の券売機で買うことができます。新十津川までは1640円。
ただ、券売機はクレジットカードが使えないので、そちらを使いたい方はみどりの窓口で購入しましょう。
なお、JR北海道では、土日祝日限定の「一日散歩切符(2260円)」という、札幌周辺のJRが乗り放題になる切符もあります。平日に利用するのであれば普通乗車券が必要ですが、土日祝日であれば、こちらのチケットを買うと安上がりで旅行ができますよ(ただし、混雑具合は当然ながら平日のほうが少ないです)
新十津川発の切符はどこで買える?
さてお次は、復路の新十津川発の切符の買い方についてなのですが。
最初に言っておきますと、新十津川駅にみどりの窓口はありません。窓口を使った記念品の購入はできるのですが、窓口業務自体は行っていないので、新十津川駅発の切符を買う場合は、新十津川駅を出発した時点で整理券を確保するか、予め最寄りの駅の窓口などで、到着駅までの切符を買っておくかの2通りとなります。
私は、新十津川からそのまま新千歳空港まで行く必要があったので、乗車前日に札幌駅の窓口で、有効日を指定した切符を購入しておきました。
さて、次からいよいよ、実際の乗車記となります。
スポンサードリンク
乗車記1:札幌から石狩当別まで
当日の朝食の用意は十分に注意して!
1日一往復の新十津川までを札沼線で乗り通す場合、札幌発の列車は朝6時58分発の、北海道医療大学行きの列車に乗らないと間に合いません。「日本一早い終電」が走る区間ならではの話ですが、問題は、朝7時以前は、札幌駅周辺でも朝食を食べることがなかなかできないことです。
私は、前日の夜に札幌駅に到着して、そのまま駅前のカプセルホテルに宿泊。札幌はあくまで「通過」地点だったので、前日の夕食と当日の朝食を食べるためだけの滞在だったのですが、Google mapを調べていて愕然。
なんと、札幌駅周辺のカフェやファストフード店は、軒並み7時を過ぎないと営業が始まらないのです。
ときどき使うマクドナルドでさえも、駅チカの店舗ですら7時30分から営業開始。他にもいくつか地図で調べてみましたが、朝6時台から営業を始めているカフェなどは見つけられませんでした。
ですので、新十津川まで列車に乗るために札幌駅周辺に滞在する場合、前日から当日の朝に、コンビニなどで朝食を用意しておきましょう。そうしないと、新十津川まで片道利用の場合(その後は滝川駅から移動の場合)は10時前まで、復路も札沼線を使って戻る場合は12時過ぎまで、食事にありつくことができません。
私は当日の朝、6時30分頃に駅前のコンビニで、サンドイッチ1つとカフェオレだけ買って、6時58分発の列車に乗り込みました。
石狩当別までは普通列車の「uシート」を利用して、お得に移動。
スポンサードリンク
6時58分に出発する列車は、10分ほど前に札幌駅の9番線ホームに入線してきました。
反対側のホームには、網走行きの特急「オホーツク」が。途中まではホームに列車が入線してこないので、ホームの反対側から、今や貴重な183系を撮影することができます。
そして、北海道医療大学まで行く列車に使われていたのは、JR北海道の古参とも言える721系の6連。
と、入線してきたときは最後尾の1号車のあたりにいたのですが、この形式が入線してきて、思い当たることがあって列車の中間地点の辺りまで移動しました。
そう、721系の6連運用は、エアポートでも使われる「6連固定」編成か、3連が2本繋がった編成か、の2通りがあるのですが、エアポート用の車両だと、普段は指定席で利用される「uシート」が4号車に連結されているのです。
果たして、期待半分で4号車まで移動してみると、車体の帯が違う「uシート」が連結されていました。
この「uシート」は、「エアポート」では指定席料金520円を払う必要があるのですが、それ意外の列車で運用されていることを知らなかったので、駅員さんに聞いてみたら、特に追加料金なしで利用できるとのこと。
ということで、石狩当別(新十津川行きの列車の始発駅)までは、uシートの1席を確保して移動することにしました。
こういう乗り得列車が札幌近郊にも走っているんですね。
乗客は札幌から離れていくに従い減っていき、uシートも2席に1人座っている程度の混み具合。30分ほどで、目的の石狩当別駅に着きました。
乗車記2:石狩当別から新十津川へ
石狩当別で新十津川行きのキハ40に乗り換えて、ここからいよいよ、末端区間の乗車に挑みます。
石狩当別を出てからは、誰が利用するのか分からないような駅が連続。廃貨車を駅舎にした、北海道定番の駅も多数存在し、横目に見るだけでも風情がそそられます。
石狩月形駅で貴重なスタフ交換
石狩月形駅には10時20分に到着し、なんとここで20分の停車。
浦臼からやってきた列車とすれ違います。
北海道医療大学~石狩月形間は1日8往復、石狩月形~浦臼間は1日6往復ありますが、このうち石狩月形駅で交換するのは1日に数回で、交換風景を見られるのも非常に限られています。
(なお、石狩月形駅は、北海道医療大学~新十津川間で唯一、列車が交換可能な駅です)
さて、この石狩月形駅で列車交換をする際に見られるのが「スタフ交換」。
これは、列車の閉塞区間のシステムの1つなのですが、札沼線の北海道医療大学~新十津川間では「スタフ」という「通行票」が用いられる「スタフ閉塞方式」となっており、石狩月形駅でこの「スタフ」を交換することにより、列車の行き来が可能になる、という仕組みになっています。
具体的には、石狩月形~新十津川間で1つの「スタフ」が使われていて、浦臼方面からやってきた列車にあるスタフを、石狩月形駅到着時に新十津川行きの列車に渡します。こうすることによって、このスタフを持っている列車が、石狩月形から先の区間に問題なく進んでいける、ということになるわけです。
スタフ交換の光景を実際に見られる駅は限られていて、この光景も非常に貴重なものと言えるでしょう。
石狩月形からはひたすら単線を進む
石狩月形を出ると、文字通り列車は「単線」の中を進んで行きます。上にも書きましたが、札沼線で最後に交換設備がある駅が石狩月形なので、それより先は1回も線路が分かれることなく、本当に新十津川まで、1本のレール「だけ」が続いているのです。
途中、多くの列車が折り返す浦臼駅も1面1線の駅で、ぱっと見るだけではただの中間駅のように思えてしまいます。
列車は田園風景の中をひたすら進みます。
北海道石狩地方でも田植えは6月頃のようですが、来年のこの時期はこの区間が廃止になっているので、事実上この景色も見納めになりますね。
さて、石狩月形を出発して約1時間45分。途中20分の停車時間が石狩月形でありましたが、これだけの時間をかけて、終点新十津川までやってきました。
新十津川駅でできること
新十津川駅は1面1線のシンプルな構造。車止めの先は、40年以上まえに留萌本線の石狩沼田まで延びていました。
切符は回収
さて、新十津川は無人駅で、到着時に運転手さんが切符を回収します。
私も含めて数人が、「記念に切符を持って帰りたい」と伝えたのですが、無効印を押せないからか「切符は回収しています」と言われて、にべもなく切符は駅員さんの手に渡ってしまいました。
切符を持って帰る方法は実際ないので、乗らないことを前提にして、駅の券売機で買っておく、というのが現実的な方法なのかもしれません。
入場券170円と無料の乗車証明書(こちらは1人1枚)を入手可能
さて、上で窓口営業はしていない、と言っていた新十津川駅ですが、かつての窓口を利用して、記念グッズなどを手に入れることができます。
販売されているのは、170円の記念入場券と1500円のDVD、あとは、1人1枚の限定品ではありますが、札沼線の乗車証明書(無料)の3種類。
私は入場券と乗車証明書を1つずつ手に入れました。
この窓口は、新十津川まで乗ってきた人はほぼ必ず並ぶので、約30分の停車時間の間を有効活用することを考えれば、先に撮影をして、一通り利用者がいなくなってから並ぶ方が効率はいいと言えますね。
駅前のお土産物屋さんで買い物
また、新十津川駅前には、「10時30分まで」の営業時間ではありますが、地元のお土産物を販売している小さなショップが出ています。
これは、新十津川駅の廃止に伴い行われているようで、新十津川に列車が発着する前後だけ営業。新十津川周辺の食べ物などを買うことができ、お酒も取り扱っているようです。
コンビニは徒歩5分のところにファミリーマートが
さて、駅の周りには一見民家しかない新十津川駅ですが、徒歩5分ほどのところにファミリーマートが一軒あって、新十津川往復で札沼線を利用する場合、ここで買い出しをすることも最悪できます。
私は、朝に札幌駅でミネラルウォーターを買い忘れたので、新十津川駅周辺の撮影を終えてから、大慌てでペットボトルのお水を買うためにここを訪れました(駅前に自販機は1つあるのですが、お水だけは売っていませんでした)。
場所はここ。
このすぐ後に説明する、滝川駅行きのバスもこの道路沿いのバス停から出発します。
札幌駅で何も買えなかった…という場合は、このファミマで買い物をすることもできますが、駅周辺の撮影やグッズの購入にかける時間が減ってしまうので、やはり「最終手段」として残しておくのがいいかと思います。
滝川行きのバスに乗る場合
新十津川駅まで札沼線を使った後、そのまま折り返さずに、バスを使って滝川駅方面に移動することもできなくはありません。
ご存じのように、滝川駅と新十津川駅間は直線距離だと3kmほどしか離れておらず、滝川~新十津川間は、道路の都合で少し遠回りになりますが、4km強を約50分で移動できる距離でもあります。
また、1日に数本ではありますが、両駅付近を結ぶバスも走っていて、これを上手く使えば、新十津川間までは札沼線でやってきて、そこから滝川駅まで出て、帰りは函館本線を使って札幌方面へ、あるいは旭川や富良野方面まで、列車を使って移動することも可能です。
ちょうど、新十津川のバス停を9時56分に出発する滝川行きのバスがあり、これに乗ると10時05分頃には滝川駅に到着することができます(運賃は230円です)。
このバスで滝川まで出ると、10時38分発の岩見沢行き普通列車に乗って、岩見沢で「いしかりライナー」に乗り換えて12時19分に札幌駅に着くことが可能。
運賃は、新十津川~札幌間と同じで1640円なので、バスの運賃は追加でかかりますが、30分ほど短い移動時間で札幌まで出ることができるので、バラエティに富んだ旅をするのであれば、利用を一考してみてもいいのではないでしょうか。
もちろん、滝川から自由席特急券や指定席特急券を使って、オホーツク2号(10時22分滝川発)やライラックに乗って、1時間足らずに札幌まで戻ることだって可能です。
なお、バスは上で書いたように、新十津川駅前ではなく、近くのファミリーマートのそばにあるバス停から出発します。
復路も札沼線で帰る場合
最後におまけですが、新十津川から札幌までも札沼線を利用する場合、石狩当別行き普通列車は、1駅手前の北海道医療大学駅で、札幌行きの列車に乗り換えるほうが楽です。
というのも、石狩当別駅を札幌方面に行く場合、新十津川方面から来た列車は3番線に到着する一方、札幌方面行きの(北海道医療大学が始発駅の)列車は1番線に到着して、これらのホームを移動するには階段かエレベーターを使わないといけないからです。
荷物が軽い場合は大丈夫ですが、キャリーケースなどを持参する場合は、少し移動こそあれど同じ平面上の移動だけで済む、北海道医療大学駅での乗り換えをオススメします。
なお、私が札幌に向かった際、石狩当別から乗った車両は721系でしたが、これはuシートが組み込まれていない編成でした。運が良ければ、復路でも同じくuシートに乗れるかもしれませんよ。
まとめ
今回は、廃止が迫っている札沼線北海道医療大学~新十津川間を旅行する際に知っておきたい情報をまとめました。のこり短い時間ですが、この情報が1人でも多くの人に役立てば嬉しいです。
あなたにおすすめの記事はこちら!