北海道、十勝地方にある糠平町には、かつて走っていた鉄道に使われていた橋が「遺跡」のように残っている「タウシュベツ川橋梁」という名所が存在します。
一昔前から、廃線跡にあるスポットとして鉄道ファンの間では有名でしたが、ここ数年でフルムーン向け旅行ツアーの写真素材に使われたこともあって、その摩訶不思議な姿が多くの人の心を捉えて、近年は鉄道ファンはもちろん、一般の旅行者も多く訪れるスポットに様変わりしました。
昔からこの名所の存在を知っていた私も、ようやくこの場所に足を運ぶことができました。
しかし、このタウシュベツ川橋梁は、その立地の特殊さなどから、ふらりと立ち寄って目にすることができる場所ではありません。
そこで今回は、このタウシュベツ川橋梁がある糠平町への行き方と、タウシュベツ川橋梁を見るために参加がほぼ必須の現地ツアーについて、詳しくまとめておきたいと思います。
目次
タウシュベツ川橋梁ってそもそも何?
タウシュベツ川橋梁というのは、北海道糠平町の糠平湖にある橋梁で、かつてこの場所を走っていた「国鉄士幌線」の線路の一部でした。
士幌線はJRに移管する前、1987年に廃止になってしまったのですが、このタウシュベツ川橋梁は当時廃止になったのではなく、少し補足の説明をしないといけません。
士幌線は最初、開拓のために帯広と士幌、上士幌、糠平を結ぶために作られた路線で、糠平から更に奥地の三股(十勝三股)から木材を運ぶための役割を担っていました。
このタウシュベツ川橋梁も開業当初から使われたいたのですが、1955年に糠平湖にダムができたことから、もともとこの橋がある路線はダムに沈むこととなってしまい、路線の移設が行われました。
そして、ダムが稼働し始めてからは、雨量の関係で毎年、この橋梁は冬場だけ姿を見せ(ダムの水位が下がる)、夏期になるとダムの湖底に沈む(雪解け水が溜まって水位が上がる)というサイクルを繰り返すようになりました。
糠平を含む十勝地方は冬場の寒さが厳しく、冬期はダムの水が凍ることもあって、1年で橋梁の劣化が著しく進んでいることもあって、この橋は廃止から65年ほどしか経っていないにもかかわらず、はるか古代に作られた遺跡のような姿をしているのです。
そんなタウシュベツ川橋梁は、士幌線廃止後からも、鉄道ファンの間では「夏には姿を見せない不思議な橋」として有名でしたが、2005年頃にフルムーン旅行の表紙写真に使われたことがきっかけで、普通の旅行者にもその不思議さが知れ渡って、一躍有名になりました。
また、環境による激しい劣化故に、「近いうちに橋がなくなってしまうかもしれない」とまことしやかにささやかれるようになり、ここ数年は「今のうちに橋を見ておこう」と思って足を運ぶ人も増えているようです。
橋を見るには2つの方法がある
タウシュベツ川橋梁への行き方(糠平町への行き方)を説明する前に、橋を見る2つの方法について説明します。これに応じて、帯広からの行き方が違ってくるので、最初に「どういう風にタウシュベツ川橋梁を見るか」を考えると、スケジューリングが上手くいきますよ。
①遠くの展望台から見る
タウシュベツ川橋梁付近は、土地を行政側が管轄しているため、誰もが勝手に訪れられるというわけではありません。なので、通常は現地で催行されるツアーを利用するのですが、時間的にそれが無理な場合は、糠平湖の反対側にある、道路沿いの展望台から眺めることができますよ。
場所はこちら。
ここから見る場合は、双眼鏡などのアイテムがあったほうが便利ですね。
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②現地NPOが主催しているツアーに参加して間近で見る(オススメ)
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さて、この2番目の方法が、一番オススメのタウシュベツ川橋梁の見方。
ツアーは、タウシュベツ川橋梁に行く拠点となる糠平町から出発して、糠平町で終わるもの。
ひがし大雪自然ガイドセンターというNPOが、橋が現れる4~9月頃に朝一と昼過ぎの2回、2時間半程度のツアーを催行しています(※GWやお盆の繁忙期は1日3回)。
基本となる1日2回の催行では、朝9時~11時半のものと、昼14時~16時半のものとなります。後で述べますが、帯広から公共交通機関を使って糠平まで行く場合、バスの本数が限られるので、入念にスケジュールを組む必要があります。
なお、気になるツアー代金は3500円。ツアーの集合場所である糠平温泉文化ホールで、ツアーガイドさんに代金を支払います。
なお、ツアーでは申込時に「長靴のサイズ」を伝える必要があります。これは、タウシュベツ川橋梁近くがぬかるみになっている場合があるからです。長靴のレンタル料もツアー代金に含まれていますが、長靴は持参しても大丈夫とのことです。
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拠点となる糠平町に行くには
①帯広からの行き方
帯広から糠平に行く方法ですが、車か公共交通機関の2通りがあります。
オススメはマイカー又はレンタカー
さて、帯広から糠平に行く場合ですが、オススメは断然レンタカーかマイカー。
というのも、バスだと本数が限られてしまって、午前のバスでも午後のバスでも、「ツアーが終わってから時間をもてあそぶ」か、「ツアーが始まるまで時間をもてあそぶ」の、どちらかになってしまうからです。
これが、レンタカーを使うと、帯広~糠平間は1時間15分ほどで移動できるので、午前中のツアーに参加する場合は朝一で、昼のツアーの場合はお昼過ぎに帯広を出れば、余裕を持って糠平に到着することができます。
鉄道をメインに北海道を回る場合は帯広駅周辺で、日帰りでレンタカーを利用するのがいいでしょう。車メインで回る場合は、そのまま利用できますね。
楽天トラベル(レンタカー)を使うと、複数のレンタカーサービスを比較して利用できるのでオススメです。
公共交通機関を使って行くには
帯広から糠平にはバス(十勝バス)も走っているのですが、バスの多くが途中の上士幌町でストップしてしまうので、バスだけを使って糠平まで行くのは非常に困難です。
2019年6月現在のバスダイヤは、こちらの公式案内に書かれていますが、運転ダイヤは
帯広駅前バスターミナル → 十勝バス糠平温泉郷営業所前
7:10 → 8:53
13:50 → 15:33
17:00 → 18:43
19:40 → 21:23
十勝バス糠平温泉郷営業所前 → 帯広駅前バスターミナル
6:00 → 7:45
7:35 → 9:20
10:15 → 12:00
16:45 → 18:30
という、いびつな4往復のみ。
帯広駅前を朝一に出発するバスでないと、午前のツアーも午後のツアーも間に合いませんし、午前のツアー利用であれば、集合時刻を過ぎての現地到着になってしまいます(バスがダイヤより早く到着する可能性はありますが)。
おまけに、ツアーが終わっても、帯広駅前に行くバスは16:45分までありません。日帰り旅行の場合は、この実質一往復のバスしか利用することができないわけです。
なので、もし運転免許をお持ちであれば、上で書いたようにレンタカーを使って糠平町まで行くのが無難。北海道は交通量も多くはないので、速度制限にさえ気をつけていれば、特段車の運転が難しい、というわけではありません。
もし、運転免許を持っていないという場合は、ツアーの前後でぬかびら温泉を日帰り入浴で利用してみるか、スケジュールに余裕があれば、ぬかびら温泉郷でホテルを探して、前後で1泊してみるのもオススメですよ。
ぬかびら温泉郷のホテルは限られますが、例えばこういうホテルがあります。
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②旭川側の上川からも車でアクセスは可能
さて、糠平への行き方ですが、大雪山系を超えて旭川方面から来ることもできます。
上川町から国道273号線が、北海道の中央を貫いて通っているので、そこを延々と通ってやってくることもできます。その場合、宿泊は糠平あるいは帯広まで出てすることと、上川町から糠平まで、200kmほどにわたってガソリンスタンドがないことには十分注意して下さいね。
まとめ
今回は、糠平町のタウシュベツ川橋梁を見る方法と、糠平町への行き方についてまとめました。ツアーの様子は、機会があれば別の記事でまとめたいと思います。
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