
2010年に「平城遷都1300年祭」の開催で運行された、臨時特急「まほろば」号。当時は、国鉄色381系6連で、新大阪駅からうめきた貨物線~大阪環状線~関西本線を経由して、奈良駅まで運行されており、1300年祭の終了と同時に運行が終了してしまいましたが、その後2019年に、9年の歳月を経て復活。
このときは、同年に開業したおおさか東線の放出~新大阪を通り、新大阪と奈良を、環状線ではなくおおさか東線経由で結びました。
新大阪~奈良をノンストップで結ぶ臨時特急「まほろば」に乗ってきた
そしてそこから4年が経過。2023年の3月に、うめきたエリアの大規模再開発により「大阪駅うめきたホーム」ができたことで、この臨時特急「まほろば」号は、大阪駅と奈良駅を、おおさか東線経由で結ぶ列車に変貌しました。
途中、9年の大ブランクがあったものの、約7年の運行の間で、運転区間と運転経路が2回も変わっている特急列車も、なかなかないものだと思います。
そして、その大阪駅うめきたホームが開業してから2年が経った2025年3月。このタイミングで、臨時特急だった「まほろば」号は、土日祝毎日運転の定期特急化がされ、2025年3月15日から、週末に毎日運行される特急列車に出世をしました。
また、2025年4月5日からは、もともと「サンダーバード」に使われていた683系の余剰車を改造した289系に、専用塗装がされ、「まほろば」専用の車両となってグレードアップすることが決まっています。
参考:25年春、特急「まほろば」の定期運行化と、リニューアルデビューが決定!
今回私は、2025年3月22日に、この定期特急「まほろば」に、大阪から奈良まで乗りました。その様子をお届けします。
目次
乗車したのは、午後に運転される「臨時」まほろば92号
まほろば号は、大阪駅9:58発→奈良駅10:57着、奈良駅16:21発→大阪駅17:15着の、奈良観光に適したダイヤ設定となっています。
しかし、これに加えて、2025年の3月から10月の土日祝日には、この「まほろば」号の間合い運用として、
臨時まほろば91号 奈良12:21発→大阪13:15着
臨時まほろば92号:大阪14:15発→奈良15:12着
が、もう一往復運転されています(1つの車両で4列車をまかなう運行)。
日程の関係で、大阪を午前に出発するまほろば号への乗車は難しいため、大阪駅14:15発のまほろば92号に乗車して、奈良を目指すことにしました。
開業2年経ってようやく、大阪駅うめきたホームを利用
うめきた地下ホームが開業した2023年の3月以降、大阪駅は月に数回利用していましたが、この地下ホームは主に特急ホームとなっているため、利用機会がありませんでした。
そのため、地上ホームから地下ホームに行く方法もよくわかっておらず。
住んでいる場所が、JR沿線ではないため、普通にこのうめきた地下ホームに行くには、梅田につく→大阪駅に入場→地下ホームに行く、という流れになるのですが、梅田駅から大阪駅までの導線も少し不安が残るため、少し遠回りをして、別のJRの駅から入場して大阪駅に移動し、大阪駅のホームから直接うめきた地下ホームに向かうようにしました。
案内に沿って、5分ほどでうめきた地下ホーム付近に到着。
うめきた地下ホームは、21番~24番ホームとなっていて、21、22番ホームは天王寺、関西空港、和歌山方面、23番、24番ホームが新大阪、京都方面のホームとなっているのですが、まほろば92号は、奈良からやってくる91号が関係しているのか、22番ホームからの出発でした。
14時前には地下ホームに到着したのですが、既に列車は入線(まほろば91号として到着した後、そのままホームで留置?)。車内は消灯されていて、ドアも開いていませんでしたが、ちょうど運転手さんが運転室に入って、出発準備をしているところでした。
うめきた地下ホームは、ホームから天井まで一体化したホームドアの印象が強かったのですが、あれは21番ホームだけに設置されているようで、上の写真のように、22番線~24番線はいたって普通の地下ホームとなっていました。
23番線は、おおさか東線の普通列車のホームとなっているようです。
14時5分頃にはまほろば号の車内に入ることができました。
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まほろばチケットレス乗車券860円で乗車
今回使ったのは、e5489サービスで購入した、まほろばチケットレス乗車券。
通常の特急券だと1930円(高い!)、eチケットレス特急券だと1090円(これも高い!)するようで、とてもじゃないですが買うものではないと思うのですが、まほろばチケットレス乗車券(乗車券が別途必要)だと860円。
ちなみに、近鉄特急の大阪難波~近鉄奈良間は、通常の特急で520円、ひのとりでも620円(レギュラーシート)、820円(プレミアムシート)となっているので、このチケットレス特急券でも値段は完敗。この860円という値段は、既に廃止されてしまった、新幹線と在来線特急の乗り継ぎ割引時の指定席特急料金と同じようですが、JR奈良駅と近鉄奈良駅では、近鉄奈良駅のほうが奈良の観光地に近いですし、アクセスという意味でもまほろばは勝ち目がほぼない、というのが悲しき現実です。
無理矢理メリットを挙げると、新大阪での、岡山・広島方面の新幹線との乗り継ぎですが、1日2往復しかしない特急との乗り継ぎをメリット、として挙げるのも無理があるように思えます。強いていうなら、インバウンド観光客がJRパスで乗車できること、でしょうか。あとは、この春の改正から(?)、ノンストップではなく、法隆寺駅にも停まるようになったので、法隆寺観光に便利、というのは1つ挙げられるかもしれません。
実際に乗ってみての感想
まほろば92号は、定刻通り14:15に大阪駅を出発。そこからほどなくして新大阪に到着し、おおさか東線に入っていきます。
このおおさか東線が、まほろば運行での大きなネックといいますか、この路線は、途中駅に追い抜き設備を持った駅がありません。そもそも、おおさか東線を走る優等列車は、朝夕の「直通快速」しかなく、他は全て、路線内完結の大阪~久宝寺間普通列車で、列車の追い抜き・待避がもともと重要視されているわけでもありません。
そんな区間なので、前の普通列車を追い抜けず、おおさか東線内ではどうしてもノロノロ運転になってしまいます。
おおさか東線の普通列車は、15分ヘッドでの運転で、大阪駅は毎時02分、17分、32分、47分となっているようです。まほろば92号の前は、14:02発の普通列車、まほろば92号の後は、14:17分発の普通列車となっていて、まほろば92号は、できるだけ、1本前の普通列車と時間を置いて出発し、路線内での詰まりを最小限に抑えるダイヤとなっているようです。
それでも、おおさか東線内は、場所によっては徐行運転を強いられ、お世辞にも「特急」とは言えない、むしろ「特」に「急」がない列車、と言って差し支えないレベルの、マイペースの走りでした。
ただ、奈良に向かうには、これくらいゆっくりしているほうがいいのかもしれない、とも少し思いました。
さて、そんなゆっくりとした走りの中、乗客全員に配られたのが、まほろば号の記念乗車証。
奈良は桜井にある、安倍文殊院とのコラボ?乗車証のようでした。
そして、気になる乗車率ですが、自分が乗っていた3号車、となりの2号車は、それぞれ15%程度、といった具合。乗客の雰囲気も、ほぼ全員が、自分のような「乗り鉄」目的の人のようで、純粋な観光目的の方はいるかいないか、という感じでした(インバウンド客は当然ながら見当たらず)。子連れの方もいましたが、親が鉄道好きなのか、純粋な観光目的かはよく分かりませんでした。
その後、列車は久宝寺駅で、運転間隔調整のためか運転停車をして、関西本線を快走。関西本線内も、久宝寺以東は待避設備のない駅ばかりですが、上手くダイヤの間を縫ったスジになっているのか、おおさか東線内とは大違いで、心地よい走りをしてくれました。
途中、法隆寺に停車もしましたが、午後便だからか、ここでの降車客はいなさそうでした。駅のホームと、駅の外の踏切近くには、列車を一目みたいと思っている感じのギャラリーが数名いましたが…。
そして、1時間弱で、定刻通り奈良駅に到着。実際に乗ってみての感想ですが、やはり乗り鉄の人向けの列車のように思え、観光客の増加を見込むには、もう数段練った打ち手を繰り出していく必要があるのかな、と思いました。
とはいえ、3月下旬の乗車だったので、車両はくろしおに使われる287系の3両編成だった、ということも多少は関係していると思います。4月になったら専用車両が投入されるので、それにも乗ってみて、どのような変化があるのかを追ってみたいとも思いました。
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