オーストリア国鉄・Railjetでブダペスト~ウィーンを移動。予約方法や旅行の様子は?
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オーストリアのウィーンとハンガリーのブダペストは、直線距離で約250kmにあり、鉄道やバスを使って3時間ほどで移動することができてしまいます。

 

今回僕は、オーストリア国鉄(OBB)が誇る高速列車「Railjet(レイルジェット)」を使って、ブダペストからウィーン中央駅(Wien Hbf)までを移動しました。ハンガリー国内でのチケットの取り方や予約時の注意点、旅行の様子をまとめておきます。

 

目次

OBBのRailjetは、ウィーンを起点に東西を結ぶ高速列車

 

オーストリアは北にドイツとチェコ、東にスロバキアとハンガリー、西にスイスとリヒテンシュタイン、南にスロベニアが面している内陸国。鉄道は国鉄のOBB(オーストリア国鉄)が担っていますが、このOBBが誇る高速列車がRailjet。

 

片側は機関車、もう片側は運転台付きの客車という構造ながら、最高時速は200km/hを超える高速列車として運転されており、主な運転区官はブダペスト~ウィーン~ザルツブルク~ミュンヘン、ウィーン空港~ウィーン~インスブルック~チューリヒとなっています。ハンガリーとオーストリア、ドイツ、スイスを結ぶ高速列車の役割を果たしており、ウィーンを拠点にして東西を目指すこともできますし、全区間を乗り通してブダペスト~ウィーン~ミュンヘン/チューリヒ、とオーストリアを横断しながら周辺国を移動することも可能。

 

ブダペスト~ミュンヘン/チューリヒはLCCが飛んでおらず、航空券の高いフラッグキャリアしか就航していないため、ややマニアックな使い方としてオーストリアを通過して乗り通す、ということも可能な、便利な列車です。

 

列車は7両編成で、列車によって編成の内訳は若干異なります。2等車が4両に1等車が3両、という列車と、2等車が4両、1等車が2.5両、食堂車(ビュッフェ)が0.5両という列車の2つが主に使われているようです。

 

僕がこのRailjetを利用したのは、ブダペストからウィーン空港まで目指すときでした。

 

なお、Railjetのウィーン~ブダペストの所要時間は約2時間30分。バスだと3時間15分ほどかかってしまうため、移動時間の短縮を優先するのであればRailjetの利用がお勧めです。

 

Railjetのチケットの買い方

Railjetはオーストリア国鉄の列車なので、オーストリア国内でチケットを買うのであれば駅の窓口、券売機とオンライン予約の全てが使えるのですが、オーストリア国外では、オンライン予約しかできないようです(少なくとも、ブダペストの東駅などでは、Railjetのチケットは取り扱っていないようです)。

 

ウィーン~ブダペストはRailjetが1日8往復ほどしている他、長距離夜行列車(ウィーン~ブダペスト~キエフ、ウィーン~ブダペスト~ブカレスト)が朝と夕方に運行されており、こちらの夜行列車はRailjetではないため、ブダペストの駅の窓口やハンガリー国鉄のサイトからも予約できます。

 

ただ、圧倒的に本数が多いのはRailjetなので、ハンガリーからウィーン以西を目指す場合は、オーストリア国鉄のサイトから予約する必要があります。

 

以下、簡単にチケットの買い方を解説しておきます。

 

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①OBBのサイトにアクセス

OBBのトップページにアクセスします。

 

画面中央右側にある「Book ticket now」をクリック。

 

②出発地と到着地を入力

 

ちなみに、ブダペストにRailjetが停車する駅は2つあって、出発・終着駅であるブダペスト東駅(Budapest Keleti)と、ドナウ川の西側にあるブダペスト・ケレンフェルド駅(Budapest Kelenfold)です。旅行の場合は東駅発着でチケットを取るのがいいと思いますが、ゲッレールト温泉など、ケレンフェルド駅からのほうが近い場所もあるのと、ケレンフェルドは地下鉄の終点でもあり、ここから市内にも出て行くことができるので、宿泊地によっては東駅ではなくケレンフェルド駅を使うほうが便利な場合があります。

 

なお、ウィーン中央駅はWien Hbf、ウィーン空港はFlughafen Wien。普通はウィーン中央駅の利用になると思いますが、ブダペストとウィーン空港を移動する場合、一旦中央駅での乗り換えが必要で、空港と中央駅を結ぶ列車のチケットは別に必要になることにご注意下さい。

 

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③乗車日と時間を入力

「OK」をクリックして、次に進みます。

 

④乗る列車を選択

この画面で、乗りたい列車を選択します。ブダペスト発の出発時刻は、朝一が6時40分、次が7時40分で、それ以降は2時間おきの出発となります(いずれも東駅)。

 

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⑤チケットの種類と金額を確認して購入に進む

 

通常の料金だと、ブダペスト~ウィーンは片道40ユーロほどするのですが、朝一の列車で予約まで時間があったので、僕が購入したのは24ユーロほど。OBBのサイトによると、最安で15ユーロほどのチケットが落ちているようです。

 

列車とチケットを選択したら「Add to Bastket」をクリックして、購入に進みます。

 

なお、ウィーン~ブダペストの移動時には、座席の予約は任意となっています。Raikjetの場合、座席の上にLEDの小さな掲示板があり、そこに「ウィーン~ミュンヘン」のような表示があれば、その区間は予約されているので乗車できないのですが、表示があっても別の区間の乗車であれば、あるいは何の表示もない座席であれば、自由に利用することができます。

 

時間帯にもよると思いますが、事前に予約をしないと座席に座れない、ということはほぼないので、基本的に座席の予約はしなくてもいいと思います。

 

あとは、メールアドレスを入力してクレジットカードで支払を完了。

乗車時には、プリントアウトしたチケットを持参する必要があるので、ホテルなどで印刷してもらうことを忘れないようにしましょう。

 

また、チケットを印刷する際は、メールアドレスに送られてきたリンクからOBBのサイトに飛んで、そこからPDF形式のチケットを表示してダウンロードする必要があります。この手間がちょっと面倒なのと、最初チケットを表示しようとしても、待機の表示しか出ない場合があります。チケットが表示されない、ブラウザを再度読み込みさせると上手くチケットが表示されるので、参考にしてみて下さい。

 

なお、ブダペストの駅では、Railjetのチケット引き換えや印刷もできないので、その点は合わせてご注意を。

 

実際に乗ってみた

 

Railjetに乗ったのは、2019年10月の平日。平日の朝一の列車なのでそんなに乗車する人もいないだろう、と思っていましたが、僕が乗るケレンフェルドの駅でも多くの乗客が待っていてびっくりしました。

 

ケレンフェルド駅にて

 

駅の案内版。一番上の「RJX」が、Railjet Expressを意味します。恐らく、全列車がケレンフェルド駅では15番線ホームから出発すると思われます。

 

ハンガリー国内のジェール、ウィーンを経由して、この列車ははるばるチューリヒまで向かう列車。ブダペストを6時40分に出発して、チューリヒの到着は17時を回るので、なかなかのロングラン列車と言えるでしょう。

 

車内の様子

2等車は2列×2列の座席配置で、ときどき向かい合っている、進行方向を向いているか逆向きになるかは、事前には分からない座席配置。

 

機内持ち込みサイズのキャリーケースであれば、上の網棚に置くことができます。

 

上でも説明した、座席の予約を表示するLED。日本もこういう制度を導入したらいいんじゃないか、とは思いますね。

 

車内の様子。

向かい合わせの座席にはテーブルが間に配置されていて、そうでない座席には、前の座席にテーブルが収納されます。

大型荷物置き場もありました。恐らく、ウィーン空港に乗り入れる列車でよく使われる設備だと思います。もちろん、それ以外の区間でも、大きなスーツケースがあればここに置くことができます。

車内の中央には、液晶で停車駅と到着予定時間の案内が。ハンガリー国内では英語表記とハンガリー語表記が交互に、オーストリアに入ると英語とドイツ語の交互表記に変わりました。出発時間や到着時間が遅れる場合も、その旨表示されていました。

 

車内販売サービスも利用できる

Railjetには車内販売もあります。座席には、飛行機のように車内販売の案内パンフレットがあって、メニューと料金が書かれています。

軽食、コーヒーなどはもちろん、ビールやワインもなかなかの品揃え。ちなみに、車両によって食堂車があるかどうかが違うのと、ハンガリー発の場合、編成の案内は駅ではされないので、少し高いですが車内販売を利用するか、予めキオスクなどで食事と飲み物を用意されておくのが手堅いです。

 

座席はこんな感じ。リクライニングが一切ないのがやや不満ですが、その分もともと背もたれがやや傾いているのがいいと言えばいいですよね。

 

Wi-Fiも利用できる、けれども…

 

車内では、「OEBB」というWi-Fiに接続することもできます。

 

同意すればインターネットに接続できるやつですね。

 

ただ、そこまで安定しているわけではなかったので、ヨーロッパのSIMを持っている場合は、そのデータ通信を利用したほうが快適だと思います。

 

オーストリアに入ってから抜き打ちの国境審査が!

ハンガリーとオーストリアはシェンゲン協定に加盟しているので国境審査はありませんが、僕がRailjetを利用したときは、抜き打ちで国境審査がありました。ハンガリーの最終駅を出てから少しすると、オーストリアの警察がやってきて、乗客一人ひとりのIDをチェックして、オーストリア国内の駅で運転停車をして(乗客の乗り降りがない駅で停車)降りていきました。

 

何の問題もなかったですが、万が一密入国者がいれば、停車してしまうのでしょうか。それともその駅で強制的に降ろされて、取り調べが続くのでしょうか。よく分からないところではあります。

 

定刻どおりウィーン中央駅に到着

 

結局、途中少しの遅れはあったものの、9時18分にウィーン中央駅に到着(確か、2分くらい早着だったような)。この列車はここで、ウィーン空港からやってきたRailjetと連結して、チューリヒ/インスブルック行きとなって西を目指しますが、僕はここでウィーン空港行きのRailjetに乗り換えて空港を目指しました。

 

ウィーン中央駅で乗り換えをしていると、多くの日本人観光客(ツアー利用者)が見受けられて、やっぱりウィーンは定番の観光地なんだなと気づかされました。

 

※Railjet利用時には置き引きなどにご注意を

 

僕がRailjetを利用した数日後に、ハンガリー大使館からのメールで、「Railjet車内で軽犯罪が多発している」という連絡が届きました。

 

特に、オーストリアからハンガリーに入国した後で、この手の犯罪が多発しているようです。

 

届いたメールの内容を一部、この記事にも転載しておきます。

1.最近、ウィーン-ブダペスト間の国際列車(Rail-Jet)内において、荷物の盗難被害に遭われる旅行者の方が数多くみられます。特に、オーストリアからハンガリー国内に入ってから数駅の間に盗難に遭うことが多いようです。
対応策と具体的な被害事例は以下のとおりですので、十分ご注意ください。

(対応策)
●荷物は網棚には決して置かない。
●常に荷物から目を離さない。
●駅に停車中、不自然に乗り降りを繰り返したり、座席を探す振りをしている者に気を付ける。

(被害事例)
●バックパックを網棚の上に置いていたところ、ブダペストに到着した際になくなっていることに気がついた。
●リュックを網棚の上に置いて食事を取っていたところ、食後にリュックがないことに気がついた。
●同行者がいたため、バッグを網棚に置いたまま車内のトイレに行ったところ、戻ってきたらバッグがなくなっていた(プラハ発ブダペスト行の国際列車)。
●バッグから物を取り出そうとして、バッグを隣の座席や前の座席の背もたれの小さな棚に置き、十数秒目を離した隙にバッグを盗まれた。
●ブダペストから列車に乗車した際、カバンを座席の上に置き、キャリーケースを網棚に上げていた間にカバンを盗まれた。
●ブダペストから列車に乗車した際、座席に座ったところで車外から窓を叩いて話し掛けようとする者がいたので、同人に注意を向けていた隙に通路側座席に置いていたバッグを盗まれた。

 

鉄道旅行は旅情を満喫できるものでありながら、こういう犯罪が多発していること、また僕も昔、鉄道利用時に似たようなトラブルを経験しているのもあって、浮かれ気分で利用するのはやはり、海外なので得策ではないと思います。

 

単に軽犯罪のリスクの低さを考えるのであれば、長距離バスだと不審者などは一切乗車できないためセキュリティ面では格段に安心なので、この大使館からの案内を見る限りでは、ウィーン→ブダペスト、の方向での移動の場合は、Railjetではなくバスのほうが安心なのかな、と思います(ウィーン~ブダペストだと、所要時間こそ列車より長いものの、チケットは10ユーロ前後から発売されています)。

 

まとめ

Railjetの存在については、ブダペストでもその姿を何度も見ていて、以前から利用してみたいとは思っていました。

 

本数が比較的多いことと、ブダペスト~ウィーンの所要時間が2時間30分ほどなので、上手く利用すれば、ブダペストからウィーンに日帰り旅行、ということだってできてしまうかもしれません。なかなか利用しがいのあるサービスなんじゃないか、と実際に利用して改めて思いました。

 

Railjetを利用すると、飛行機だと高いチューリヒ/ミュンヘン~ウィーン~ブダペストを手軽に移動できるので、これを利用して数日旅行をしてみる、というのも良いかもしれませんね。

 

 

 

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