【決定版】キシナウから日帰りで行く、沿ドニエストル共和国・ティラスポリ6時間旅行(2018~2019)
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「ヨーロッパ最貧国」と呼ばれるモルドバは、かつて旧ソビエト連邦を形成していた、現在は北のウクライナと南のルーマニアに挟まれている小国です。

 

この「モルドバ」と言う国、有名なのはモルドバワインや曲「恋のマイアヒ」(原題:Dragostea Din Tei)くらいですが、東欧通の中ではこれらとは別に、非常に有名な「観光地」があります。

 

それが、「未承認国家」と呼ばれる「沿ドニエストル共和国」です。

 

目次

未承認国家とは

突然出てきた「未承認国家」という言葉、これは何を意味するのでしょうか?

 

そもそも、「国家」の資格とは

・「領土、領海、領空(これらを合わせて「領域」と呼びます)」を持っている

・人民(国民)がいる

・権力ないし主権を持っている

の3つを満たした上で、広く国際社会からその独立を認められている、というものです。

 

そして、「未承認国家」というのは、国家成立の3要件を満たしながら、隣国との政治的状況や歴史的経緯の関係で、国際社会(≒国連)からは正式にその独立を認められていない「国」を指します。

 

その1つが、ここモルドバ国内に存在する「沿ドニエストル共和国」です。

 

 

沿ドニエストル共和国が成立した経緯

 

このブログは、歴史解説の専門家が書いているわけではないので、厳密な話を延々とすることはできないのですが、簡単に書くと、もともと、現在のモルドバの領土には、ルーマニア人(語)系の住民が多く住む地域と、ロシア人(語)系の住民が多く住む地域があって、沿ドニエストル共和国は、ロシア系の住民が他の地域からの独立を謳って成立しました。

 

現在、モルドバの公用語はルーマニア語(2013年から)となっているのですが、この地域一帯の歴史的背景からロシア寄りの民主主義が勃興して実効支配されているのが、沿ドニエストル共和国というわけです。

 

 

現在、沿ドニエストル共和国の「独立」を認めているのは、これまた未承認国家であるアブハジア、南オセチア、ナゴルノ=カラバフの3ヶ「国」だけという状態です。

 

そんな沿ドニエストル共和国は、未承認国家の中でも比較的簡単に訪れる「国」なので、東欧マニアの中では必訪の地となっています。

 

今回のモルドバ旅行では、僕も当然ながらこの沿ドニエストル共和国に旅行に行ってきました。

事前に情報を調べて行きましたが、少し違っているものもあったので、2018~2019年版の最新情報として、このブログに実際の情報をまとめておきます。

 

 

キシナウから沿ドニエストル共和国への行き方と注意点

 

沿ドニエストル共和国はキシナウから日帰りで十分に行ける距離にあって、片道およそ2時間の移動でバスで行くことができます。

 

沿ドニエストル共和国に「入国」する時には、きちんと「入国審査」があるのですが、パスポートにスタンプは押されず、イミグレオフィスでペライチの紙をもらって、それを「出国」まで携えておく必要があります。

 

ここで、いくつか注意点があります。

(※以下、沿ドニエストル共和国を「沿ドニ」と略す場合があります)

 

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①沿ドニ訪問時にはパスポートが必須

沿ドニエストル共和国に行く際には「入出国審査」が必要ですので、パスポートを持参する必要があります。まあ、海外では日本人の身分証明書はパスポートが唯一なので、携帯しない人はいないと思いますが、念のため注意しましょう。

 

②沿ドニとウクライナの移動はしないほうが無難

沿ドニエストル共和国は、東側の「国境」がウクライナと接しているのですが、こちらの国境を超えて両国を移動する場合、ウクライナ→沿ドニに入国する際に入国スタンプが押されない、あるいは沿ドニ→ウクライナに入国する際に、沿ドニの出国スタンプが押されない場合があって、モルドバ国内の別の場所で再度イミグレを通るときに揉める恐れがあるので、これらの両国の移動はしないほうが無難です。

 

例えば、ウクライナのオデッサとモルドバのキシナウはバスで移動できますが、沿ドニエストル共和国の「首都」であるティラスポリを経由しないバスを使うほうがベターです。

 

ただ、最近の情報によると、鉄道での移動ではありますが、キシナウ→オデッサを鉄路で移動する際は、モルドバの出国スタンプは押されないものの、問題なくウクライナには入国できるそうです。

 

この辺りは、次回以降のモルドバ入国時に揉める可能性もゼロではないと思うので、他の旅情報も合わせて収集した上で、自己責任で行動して下さい。

 

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③沿ドニに問題なく滞在できるのは10時間 or 48時間(?)

沿ドニエストル共和国、簡単に行けるようで実は滞在時間に制限があります。

 

これは、ベラルーシなども似たような仕組みですが、一定の時間以上の滞在をしようとすると警察への届出などが必要になるので、沿ドニに数日宿泊して旅行、というなんともマニアックなことをしようとすると、ちょっと面倒なのです。

 

ただ、この手続きは10時間以内の滞在であれば必要ないので、沿ドニ入国時には「1日滞在!」とロシア語又は英語で伝えれば問題ない…というのもネットに出ていた情報なのですが、僕が沿ドニを訪れたときは、なぜか渡してもらった滞在許可書類(ペライチの紙)には、有効期限が48時間後までと書かれていました。

 

その書類の写真は、個人情報などが載っているのでここでは載せられないのですが、僕が沿ドニに入国したのが2018年の10月6日の正午頃。イミグレでは「one day stay」という風に伝えたのですが、渡された紙を後で見たら2018年10月8日の同じ時間まで有効、と書かれていました。

 

なので、「沿ドニ滞在が問題なくできるのは10時間」というルールは、もしかしたら変更しているのかもしれません。

ただ、沿ドニに48時間滞在できるとしても、ティラスポリ以外の街情報はほぼ分からないので、あまり有効活用できるシステムだとは思いませんが…。

 

④沿ドニの通貨は沿ドニルーブル。でもモルドバレイも使える

沿ドニエストル共和国の通貨は、「沿ドニエストル・ルーブル」という、この「国」でしか使えない独自通貨。もちろん、出国審査を終えてモルドバ側に出た瞬間に、一切使うことができません。

 

沿ドニルーブルの両替所は、キシナウからバスで到着する終点の鉄道駅にいくつかありますが、モルドバレイも使えるお店があるので、よっぽどの物好きでない限り両替をする必要はないかと思います(ただ、沿ドニルーブルはプラスチックのトークンなので、それ目当てで少し両替するのはいいかも)。

 

ちなみに、沿ドニからキシナウに戻るバスのチケットはモルドバレイで購入できるので、キシナウで水や軽食を用意しておけば、沿ドニ国内で沿ドニルーブルを調達する必要は一切ありません。

 

 

というわけで、少し前置きが長くなってしまいましたが、ここからはキシナウから沿ドニエストル共和国への旅の様子と情報をまとめていきます。

 

 

キシナウのバスターミナルは、北東側の停車場から発車

 

キシナウのバスターミナルは街の中心地にあるのですが、

 

道路に囲まれたスクエア一体に露店とターミナルとチケット売り場と売店が、東南アジア顔負けのカオスっぷりで並んでいるので、ティラスポリ行きのバスを探すのとチケットを買うのが少々面倒です。

 

バスターミナルのすぐ前の交差点。信号も横断歩道もないので、自力で渡るしかありません。

 

チケット売り場はいくつかあるのですが、ティラスポリ行きのチケットは屋外にあります。

 

地図で見ると、ターミナルの北東側にあるチケット売り場でティラスポリ行きのチケットが買えます。

 

まあ、分からない場合でも、近くに客引き?が「Tiraspol?」と英語(ロシア語)で聞いてくるので、それに従えば案内してもらえます。

 

ティラスポリまでのチケットは36.5モルドバレイ(約370円)。1モルドバレイ≒約6.7円なのですが、それにしても安い。

 

チケットを買ったらバスを教えてくれるので、それに乗って出発を待ちます。

 

チケット売り場の隣で水を買えました。0.75Lくらいで9モルドバレイ。

 

 

出発してから沿ドニに入国するまで

 

キシナウを出発すると、1.5時間くらいバスに揺られて沿ドニエストル共和国との「国境」に到着します。

ここで「レギストラーチア」(=registration/登録)が必要なので降りろ、と言われるので、指示に従ってイミグレに行きます。

 

なお、僕が乗ったバスは大型バスで、キシナウを出発してから、チケットの処理をする人が「沿ドニには何日滞在する?」と、簡単なロシア語で聞いてきました。

 

1日滞在(日帰り)の場合は「アジーン・ジェーニ」と言えば伝わります。

 

イミグレでは、パスポートを見せて簡単な質問に答えます。審査官は英語も話せました。

 

日本から訪れる物好きが多いからか、特に審査官も変な目で見ることなく、ささっと審査は完了しました。手荷物検査とかもなく、単に登録を済ませて紙をもらうだけです。

 

入国してから30分ほどで、ティラスポリに到着します。

 

 

ティラスポリに到着したら

 

ティラスポリの街は非常にコンパクトで、見どころも最低限押さえるべきところは2箇所くらいです。

 

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①バスが到着するティラスポリ駅

 

バスは、ティラスポリ市内の大通りを突っ切って、終点のティラスポリ駅に到着します。

ここまでに、「独立」を祝う広場なども通過するのですが、土地勘がよく分からん、という人は終点まで行ってから、バスが来た道を戻ればその広場にいけるので、そちらを選ぶとよいでしょう。

 

これが、乗ってきたバス。

こちらが、ティラスポリ駅。

 

なお、駅からはキシナウやオデッサ行きはもちろん、モスクワなどに行く長距離列車も動いているようです。なお、駅構内は撮影禁止とのことでした。

 

ちなみに、バス乗り場を見ていると、サンクトペテルブルクやモスクワ、ソチまでも行けるそうです。ほんまかいな(笑)

 

②ティラスポリ駅と目抜き通り(10月25日通り)の間にある教会

 

バスを降りたら、来た道を徒歩で引き返しましょう。途中、公園とロシア正教会が見えます。


 

③10月25日通り沿いにある各種モニュメント

更に来た道を通って、10月25日通りにぶつかったら右手(バスがやってきた方向)に進んで行きます。10分くらい歩いたら大きな広場があって、ここに、沿ドニエストル共和国の「独立」を祝うモニュメントがあります。

 

これらの国旗、沿ドニの独立を認めている、左からアブハジア、南オセチア、ナゴルノ・カラバフのものなんですよね。個人的にこれが一番の胸熱案件でした。

 

あと、道路の反対側には独立のために戦った戦車のモニュメントとお墓が。

 

あと、このすぐ近くに公園があって、「ドニエストル川」も流れています。

 

ほんまに、これ以外特に何もありません。

 

場所はここですね。

 

 

ティラスポリからキシナウに戻るには

 

ここまでざっと、ティラスポリの街を見て回って2.5時間くらい。ご飯を食べなければ、これだけの時間があれば個人的には十分だと思います。

 

キシナウに戻るために、最初に着いたバスターミナルまで歩いて戻ったのですが、途中でバスの運ちゃんに見つけてもらって「キシナウ?」と聞かれたので、道端で拾ってもらいました。

 

運賃は、ネット情報では70モルドバレイということでしたが、僕が乗ったバスは42モルドバレイでした。ティラスポリ行きとキシナウ行きのバスの値段が2倍くらい違う、という情報を集めていましたが、どうやらほぼ同じ値段でもいけるようです。

 

ここからバスに乗って、また2時間ほどかけてキシナウまで移動。

 

なお、出国のイミグレでは、入国時に渡された紙はなぜか回収されませんでした。審査官がバスに乗ってきてパスポートや身分証明書を1つずつ確認したのですが、僕のときはパスポートを見ただけで「OK」と言われ…。

 

 

結局、入国時に渡された紙が今も手元にあるのですが、せっかくなので記念として残しています。

 

 

こんな感じで、僕は11時頃のバスに乗って沿ドニに向かったのですが、17時頃にはキシナウに問題なく戻ってこられました。

 

バスは日中頻繁に出発しているようなので、キシナウのバスターミナルでも、ティラスポリのバス停でも、そこまで心配する必要はないと思います(ティラスポリ発のバスは、最終バスの時刻は現地で確認しておくほうがいいかもしれません)。

 

 

おまけ:ティラスポリ以外の場所を回るなら

 

沿ドニに行ってみた感想ですが、ぶっちゃけティラスポリで見て回るものはほとんどないなと(笑)

僕としては、現地で何かを見て回る、というよりは「沿ドニエストル共和国に行きたい!」という目的だけだったので特に問題なかったのですが、やっぱり現地でめぼしい場所がなければ、あまり楽しくないのもまた事実です。

 

そこで、というか、帰りのバスでたまたま発見したのですが、沿ドニに入国してすぐ、ティラスポリに行くまでにティギナという街があって、そこになかなか美しい要塞がありました。


写真は撮っていないので、このマップのピンから調べてみて下さい。

 

この街(マップではBender(ティギナ)と書かれていて、正式名称不明ですが)は、キシナウ~ティラスポリを結ぶバスが立ち寄るので、ティラスポリに行く前、あるいはティラスポリに行った後で少し滞在してみるのもいいかもしれません。国境近いので写真撮影を心置きなくできるかは不明ですが(鉄道関係の施設は撮影しないほうがベターでしょう)、この要塞は車窓から見てもスケールが大きくて綺麗だったので、次回沿ドニに行く機会があれば、ここにも行ってみたいと思っています。

 

 

まとめ

今回は、東欧にある未承認国家・沿ドニエストル共和国の紹介と日帰り旅行の内容をまとめました。

本当に心惹かれる人以外訪れない場所だと思いますが、せっかく行くのであれば、ティラスポリの街も少し立ち寄ってみてもいいかもしれません。

 

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