日本-ポーランド/日本-オーストリアの二国間協定を利用する場合は入国手続き場所に要注意!
スポンサードリンク

日本人がヨーロッパに行くときに注意すべき点は「シェンゲン協定」ですが、これとは別に、日本とポーランド、日本とオーストリアには二国間協定というものが存在し、この協定はシェンゲン協定より効力が強くなっています。

 

このブログは、ポーランド好きの僕がポーランドに関する情報について主に取り扱っていて、以前に日本ポーランドの二国間協定については、以下の記事で詳しく説明しています。

ポーランド好きの日本人なら知ってて損のない「日本ポーランド二国間協定」

↑この記事内では「シェンゲン協定」についても前振りとして説明しているので、シェンゲン協定について詳しく知りたい場合もこちらの記事をどうぞ。

 

そして、恐らく日本ポーランド二国間協定よりも有名なのが、日本オーストリア二国間協定です。この協定は、「日本のパスポートを持っている場合、オーストリアには連続して最大180日(約半年)間滞在できる」というものです。

 

これらのルールを知っていて有効活用できれば、ヨーロッパでの滞在はより快適になるかもしれませんね。

 

ただ、これらの協定のルールを正しく理解をしていない人も一定数いる、というのが現状でして、正しくルールを理解できていないと、最悪不法滞在とみなされて、当局での取り調べが行われる恐れもあります

 

では、その「正しいルール」とは何なのか。今回はこれについてまとめました。

 

目次

二国間協定が適用されるのは、適用国での入出国審査を受けた時のみ

その「正しいルール」というのは、これです。二国間協定に則ってポーランドまたはオーストリアで滞在をしたい場合は、入出国手続きをポーランドまたはオーストリアでする必要があります。

 

例えば、日本から直行便でポーランドに飛んで、ワルシャワ空港で入国スタンプを押してもらった上で、ポーランドを出るときはウクライナまで行って、そこでポーランド出国のスタンプを押してもらう必要があります。

あるいは、日本からドバイを経由してオーストリアに飛んで、ウィーン空港で入国スタンプを押してもらった上で、改めてドバイで乗り継いで日本に帰り、ウィーン空港で出国スタンプを押してもらう必要があります。

(あるいは、どちらの国からでもアイルランドやイギリスへの直行便を利用して、そこに飛ぶというのもできます)

 

逆に言うと、日本からフランス(パリ)を経由してポーランドやオーストリアに行く場合は、パリで入国スタンプが押されてしまうので、この時点で「シェンゲン協定」が適用されて、二国間協定は使えません。この状態のパスポートを見せたら、「パリで入国スタンプが押されているじゃないか!」と言われて、そこでおしまいになってしまう恐れが高いです。

 

今回このテーマで記事を書いた理由

僕がこのテーマについてブログを書くきっかけとなったのは、ヨーロッパのある国でワーホリをされている方のブログを見たのがきっかけです。

その記事はこちら。

日本でもない、ドイツでもない!ドイツワーホリビザ申請 in ウィーン

 

この方は、ドイツのワーホリビザを取得するために、オーストリアのドイツ大使館を訪問してそれを取得されたようなんですが、この記事を読んでいると、どうも「日本オーストリア二国間協定」のルールを捉え違えされているようなんですね。

 

このブログによると、この方はイギリス(シェンゲン協定国外)でワーホリを終えた後、スペイン(シェンゲン協定国)でシェンゲン圏に入国をしたあと、ドイツの当局機関でワーホリビザの申請をされたようです。

 

しかし、必要な書類の用意が思いの外上手く行かず、ビザ無しでシェンゲン圏に滞在できる90日以内に、ワーホリのビザが発行されそうにないから、「二国間協定」が使えるオーストリアに移動して、90日が過ぎてしまってもオーストリアに滞在しながら、ビザの発給を受けようとされたようでした(結局、問題なくビザは降りたようでしたが)。

 

ただ、この考え方は二国間協定のルールを捉え違えています。この場合、入国スタンプが押されているのはスペインなので、この時点で適用されるのは二国間協定ではなくシェンゲン協定になってしまい、「90日を超えても滞在できるから」という間違った理由でウィーンに滞在していると、(言葉は悪いですが)違法ということになってしまいます。

 

と言うのも、例えばですが、日本からフランスを経由してオーストリアに行く往復チケットを持っていたとしましょう。この時に「二国間協定が適用されるから」と誤解をしてしまって、オーストリアに180日滞在した後で、パリ経由で日本に戻ろうとすると、出国審査があるのはパリですから、空港の審査官から呼び止められて調査を受けなければなりません。(パリで入国スタンプが押されているから、シェンゲン協定のルールに従って180日間で90日しか滞在できないルールを破っているじゃないか、と言われてしまうのです)

 

ちなみに、この「二国間協定を使う場合は適用国で入出国審査を受けて下さい」という話は、きちんと在オーストリア日本大使館のホームページでも注意書きがされています(在ポーランド日本大使館には、書かれていないんですが…)

参考記事(外部リンク):オーストリアへの渡航・滞在にあたって - 無査証での滞在について

 

このリンク内にも「日本とオーストリアとの査証免除取極(とりきめ)はオーストリアにて有効な取極であるため」と書かれています。

 

裏を返せば、日本からビザ無しでオーストリアで入国審査を受けた上でオーストリア国内で滞在をする場合、91日目を過ぎてから他のシェンゲン国内(ドイツやチェコ等)に行った場合は、シェンゲン協定ルールを破っている(180日間で90日間しかシェンゲン協定国内にはいられない)ことになるので、チェコでパスポートの提示を求められると、こちらも「不法滞在」と見なされてしまう恐れがあります(大使館情報によると、実際にそういうことも起こっているようです)。

(このルールは日本ポーランド二国間協定でも同じです)

 

個別のケースで不安がある場合は大使館に確認を

と言っても、シェンゲン協定や二国間協定のルールは内容が細かく、色んな具体的ケースを実際に考えてみて「この場合は大丈夫なのか、ダメなのか」ということを考え抜いてみないと、これらのルールが実際にどのように適用されるのか、ということはイメージしづらいと思います。

 

なんせ、シェンゲン協定国だけでも25カ国を超えていますし、どの国がシェンゲン協定国でないかを頭の中にある程度入れている人は、よほどのマニアでもないといないと思います。

 

ですので、これからビザ無しでシェンゲン圏を訪れる、あるいは二国間協定に則って該当国に滞在をしようと考えている方は、一度自分なりの計画を洗い出してみて、本当にその方法でルールが適用されるのかを考えてみることが必要です。

 

その上で、微妙な場合は躊躇せずに各国の日本大使館、あるいは日本にある各国の大使館にメールで問い合わせてみましょう。自分の計画をまとめた上で「この方法で合法的に滞在できますか」ということを聞けば、的確な回答が返ってくるはずです。

 

外国に滞在するときの無査証のルールやビザのルールは、ある意味では、「法律文書」を読んで、そこに書かれてあることを、具体例を考えながら正しく理解する姿勢が必要です(その上で、どの方法だと合法になるのかを見極めた上で、その選択を取ることが必要です)。

 

せっかくのヨーロッパ滞在ですから、査証関係での不安や憂いは予め取り払っておくのが吉ですよ。

 

 

スポンサードリンク

おすすめの記事