バルカン半島の小国・モンテネグロを旅する際に知っておきたい5つの基礎知識と雑学
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旧ユーゴスラビアを形成していた6ヶ国のうち、最も独立が遅く、知名度も低いであろう「モンテネグロ」。南西はアドリア海岸、北西はクロアチアとボスニア・ヘルツェゴビナ、北東はセルビア(とコソボ)、南東はアルバニアと面していて、2006年に独立した国です。

 

旧ユーゴスラビア形成国でも、日本人にとっては馴染みが少なく、旅行で訪れる人もそこまで多くはないモンテネグロですが、それ故に「擦れていない」国であることも事実。特に夏のアドリア海岸はビーチリゾートでとても賑わいます。

 

今回は、そんな小国・モンテネグロを訪れる前に知っておきたい旅行知識と雑学を5つまとめました。これらの知識を持ち合わせておくだけでも、旅行が3倍楽しくなること請け負いです。

 

それでは順に見ていきましょう。

 

目次

①ドブロブニクと合わせて訪れたい世界遺産の街・コトル

モンテネグロに訪れるなら、とりあえず世界遺産の街・コトルにだけは行ってみたいもの。北欧のフィヨルドを彷彿とさせる、複雑な入り江を持つコトル湾の中に赤レンガを閉じ込めたコンパクトなコトルは、クロアチアやモンテネグロの他のアドリア海岸とは違った表情を見せてくれます。

 

アドリア海の定番・ドブロブニク(クロアチア)からもバスで片道3時間ほどで訪れることができる位置にあり、ドブロブニク発の日帰りコトルツアーが存在するのも事実。物価面からいうと、ドブロブニクよりもコトルのほうが30~50%ほど安い印象があるので(コトルが安いというよりは、ドブロブニクが高すぎる)、長く滞在するならコトルのほうがオススメです。

 

②EUに所属していないのに、通貨はユーロ

モンテネグロの国定通貨は、なんとなんと、EU加盟国の大半の国で使われている共通通貨「ユーロ」。もちろん、「モンテネグロ・ユーロ」のようなものではなく(笑)、ドイツやフランス、スペインで使えるユーロをそのまま使えて、為替レートも勿論同じ。僕はドブロブニクからモンテネグロにバスで移動したのですが、アドリア海をずっと南下して旅している外国人バックパッカーが「この国の通貨は?」と聞いて「ユーロ」と答えたら、とても驚いていたのが驚きです。

 

実はモンテネグロという国は、これまで「独自通貨」を持ったことがありません。1991年後の旧ユーゴスラビアが解体した後もセルビアと「ユーゴスラビア連邦共和国」を形成していたため、その間流通していたのは「セルビア・ディナール」。しかし、セルビアとの歩調が合わず、1999年11月にはセルビア・ディナールの流通を止めて「ドイツ・マルク」(!)が正式な通貨として流通。その後、EU圏内でユーロが導入されて以来、ずっとユーロが使われているのです。

 

なお、EU圏外であるにもかかわらずユーロが流通しているからなのか、他の国で見られる「両替所」はほとんど存在しませんでした(旅行したポドゴリツァ、ブドヴァ、コトルの3都市にはexchange officeは見つかりませんでした)。そのため、モンテネグロ国内でユーロを入手するには、①ATMで下ろす、か②銀行窓口で外貨から両替してもらう、必要があります。

 

③バスは窓口予約のほうが安い/手荷物預け料金が別にかかる

モンテネグロ国内を移動する方法は、基本的にバス(乗り合いバス含む)。鉄道は通っていますが、アドリア海岸沿いには走っていないのと、本数が少なすぎるので、旅行で使うのは不便極まりありません。

 

そこでバスを利用するのですが、ヨーロッパの他の多くの街で可能な「オンライン予約」は、逆に高く付いてしまうのであまりオススメしません。

 

モンテネグロ国内、及びモンテネグロ~クロアチア(ドブロブニク)のバス予約は、以下のサイトでもできるのですが、

https://getbybus.com/en/

このサイトで予約した場合、必ずチケットを印刷しなければならないことに加えて、バスターミナルの入口でプラットフォームに入るときに、なぜか「チケット引き換え」をしなければならず、これに別途2ユーロかかってしまうのです…。

(ドブロブニク発モンテネグロ国内行きのバスにドブロブニクから乗る際には、手数料はかかりませんでした)

 

この「チケット引き換え」が必要な理由は不明ですが、一例として、ブドヴァ→ポドゴリツァのバスを窓口で買う場合は6ユーロ、オンラインで購入した場合は約4.9ユーロ(クロアチアクーナで決済・精算)+手数料2ユーロ、となって、窓口で買う方が安くなるんですよね…。

 

僕は、繁忙期の8月に1週間ほどの固定スケジュールでアドリア海岸を回ったため、予めバスのチケットをオンラインで押さえておいたのですが、もう少し余裕のある旅でしたら、目的地に着いてから窓口で、次の目的地へのバスを購入するほうが割安になると思います。直前に買おうとすると売り切れている可能性もあるのでタイミングは難しいですが、オンラインで購入するメリットはむしろないので(笑)オススメはしません。

 

また、モンテネグロ国内のバスに乗る際は、トランクルームに荷物を預けるときに1つ1ユーロの預け料金がかかります。なかなかええ商売をされていますが、乗車する際にはできるだけ、ユーロの小銭を手元に多めに用意されることをオススメします。

 

なお、ドブロブニク発モンテネグロ国内行きのバスに乗る際の預け荷物は、10クーナ or 1ユーロでした。10クーナ≒170円なので、ユーロのほうが安上がりです。

 

④バスの発着時刻はアテにならないので、余裕を持ったスケジューリングを

これは特に、繁忙期のアドリア海岸をバスで移動する際に顕著なのですが、いくつもある海岸沿いの街には他のヨーロッパ圏内から夥しい数の旅行者がバカンスで(自家用車で)訪れるので、慢性的な渋滞が常に発生しています。加えて、ドブロブニクとモンテネグロを結ぶ国際バスの場合、国境審査でもとんでもない渋滞に巻き込まれる恐れがあります。国境審査自体は簡単なもので、手荷物検査すらないのですが(バスの場合、1人ずつ降りて審査をするか、警官にパスポートを預けて一括で審査)、ここも自家用車やバスの渋滞がひどく、数時間の遅れはどうしても発生してしまうようです。

 

参考までに、僕が8月に利用した、コトル→ドブロブニクのバスは到着が1時間遅れ、ドブロブニク→ブドヴァのバスは2時間30分ほどの遅れとなりました。乗車するバスが始発の場合は到着だけが遅れますが、途中の街からの乗車の場合、その街への到着すら遅れてしまうことも起こりえます。バスの移動が2時間~3時間の予定でも、2時間ほどの遅れがルートによって発生する可能性もあるので、移動日は「午前中に出発、午後に到着で、それ以外の予定は入れない」ようにしておくのが確実かもしれません。

 

⑤Googleマップはキリル文字表記、けれど街中ではラテン文字表記

モンテネグロは、Googleマップで街やお店を検索すると分かりますが、マップ上ではキリル文字表記となっています。

しかし、実際にモンテネグロの街中を歩いてみると、所々キリル文字は見かけるものの、大半はラテン文字表記となっています。

キリル文字表記は、ロシアからバカンスにやってくるロシア人向けのものだそうで、宿のモンテネグロ人のスタッフに聞いたところ「モンテネグロ語はラテン文字で書くよ」とのこと。インターネットの情報によれば、モンテネグロ語は「ラテン文字とキリル文字の併用」がされているとのことですが、どうやら一般的に好んで使われるのはラテン文字のようです。

言葉はいわゆる「南スラブ語」で、ポーランド語、チェコ語、スロバキア語などの「西スラブ語」と似通った部分もある一方で、違う単語も多く見られます。

 

観光地を歩く際は、ホテルのスタッフやレストランの店員も英語がある程度使えることと、メニュー表などにも英語が並記されているので、言葉の問題は心配する必要はありませんが、せっかく滞在をするのであれば、いくつか現地の単語も覚えて使ってみるのもいいでしょう。

 

なお、このような「ラテン文字表記」が使われるモンテネグロは、「キリスト教正教が受容されている国で、唯一ラテン文字が正式に使われている国」と言えます。

 

というのも、もともとキリスト教がいわゆる「東欧」に布教されたのは、キリル文字との関わりが密接にあるからです。キリル文字はもともと、ギリシャ文字を元に「キリスト教をスラブ圏に布教するため」に作られた文字で、ギリシャ正教がルーツの「正教会」が、その後スラブ諸国の各地で成立しました。ロシアとロシア正教会、ウクライナとウクライナ正教会、セルビアとセルビア正教会、ブルガリアとブルガリア正教会などです。これらの国で現在使われているのはキリル文字で、逆にカトリックが受容された西スラブ諸国のポーランドやチェコ、スロバキアなどでは、ラテン文字が使われています。

 

キリスト教と文字の関係は、グルジアやアルメニアなど、独自言語と正教会が両立している国もありますが、一般的には「正教会とキリル文字」「カトリック・プロテスタントとラテン文字」というのがセットの考え方です。

 

モンテネグロには「モンテネグロ正教会」がある一方で、ラテン文字も使われている不思議な国。こういう豆知識も1つあるだけで、旅が格段に楽しくなりますね。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、バルカン半島に位置する小さなモンテネグロの雑学と旅行に役立つ知識を5つまとめました。旅行は、他の旧ユーゴ諸国と一緒に訪れることが一般的かと思いますが、ぜひ今回知った雑学を、旅の途中で確認してみて下さい。

 

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