海外での医療費が還ってくる制度(海外療養費還付制度)と利用方法
スポンサードリンク

あなたは、「海外で受けた医科治療費の一部が還ってくる」制度をご存じでしょうか。

今回は、そんな海外療養費還付制度の内容と利用方法についてまとめました。これまで「海外でお医者さんに行ってもお金ばっかり出て行く…」と思っていた方も、この制度を賢く使えば「過払い金」を取り戻すことができるかもしれませんよ。

 

目次

海外療養費還付制度とは?

この制度は、名前が「海外療養費」となっており少し意味が分かりにくいですが、簡単に言うと海外でお医者さんに行った時にかかった治療費の一部を、日本で還付してもらう制度のことです。僕は今回のポーランド渡航中に歯科治療を受けたのですが、治療時にお医者さんからこの制度を教えてもらい、利用してみました。

では、海外療養費還付制度には具体的にどんなルールがあるのでしょうか?特徴は以下の通りです。

 

スポンサードリンク

①日本に住民票を残している(=国民健康保険に加入している)

この制度は、国民健康保険を利用して治療費の一部を還付してもらうものです。そのため、留学やワーホリで長期滞在をする場合に、住民票を抜いていると自動的に国民健康保険も外れてしまうため、利用することはできません(厳密に言えば、帰国後すぐに健康保険に加入して保険料を支払えば利用することはできます)。

 

②国民健康保険が適用される施術を受ける

海外療養費還付制度は、「保険の適用範囲」の施術、治療を受けた時に適用されます。そのため、美容目的での手術や、歯科治療で保険適用外となるインプラント治療を受けた場合等は、この還付制度は利用することができません。

 

スポンサードリンク

③日本での推定費用から保険適用分(通常は7割)が還付される

②の条件を満たした上で、還付されるのは日本で同じ治療を受けた場合にかかる費用のうち、保険適用額(=自己負担分を差し引いたもの、通常は7割)の金額が還付される金額です。

 

そのため、海外での治療費が10万円したとしても、日本だと3万円で済んでしまう治療だった場合は、還付される金額は21000円(=3万円×0.7)となってしまいます。治療内容にもよりますが、海外と日本で治療費が大きく異なる場合もあり、還付される金額が思った以上に少ない、という場合も起こりえます。

 

④還付手続きができるのは2年前までの治療分まで

この制度は、「施術後2年以内」の治療や施術に限ります。例えば、2017年2月1日に海外の病院で治療を受けた場合、2019年1月末までに役所に行って手続きをしないと、この制度を使っての還付は行うことができなくなります。

 

海外療養費還付制度はこんな時に効果的

多くの場合、海外で一定期間滞在をするのであれば海外旅行保険に申し込んだり、クレジットカード付帯の保険を利用する方が多いので、この還付制度はあまり有効ではないかも知れませんが、意外と以下のような場合に効果を発揮します。

スポンサードリンク

①海外旅行保険に入り忘れたとき

最近は、お金を節約する人も多いようで、「無保険での海外渡航」をする方も見受けられるようです。しかし、そんな場合でも予想外の病気や怪我をしてしまうことがありますから、保険に加入せずに渡航をして万が一の事態が起こってしまった場合は、帰国後すぐにこの制度を利用しましょう。

②海外で歯科治療を受けるとき

海外旅行保険は、多くの場合「歯科治療は適用外」となっています。つまり、海外旅行保険に入っていても海外で歯科治療を受けた場合は、その保険を利用しても治療費請求をすることができません。

ですので、海外で歯科治療を受けた場合も、積極的にこの制度を利用しましょう。僕は見事に、虫歯治療と親知らず抜歯を海外で経験してしまったので、これらの治療費をこの還付制度を利用して一部払い戻してもらうことにしました。

 

還付手続きの行い方

では、海外療養費還付制度を利用するには、何が必要で、どんな手続きを踏む必要があるのでしょうか。以下順番に説明します。

A:渡航前

できれば出国前に役所に行って書類一式をもらう

もし可能であれば、旅行や留学の前に役所に行って「海外療養費還付制度を使いたいので書類を下さい」ということを伝えましょう。これらの書類については、以下で詳述します。

 

B:渡航中

恐らく、海外療養費還付制度を利用する多くの方は、日本で予め書類を調達して海外に行くことはないと思います(僕も、ワルシャワで診てもらったお医者さんからこの制度のことを教えて貰いました)。

渡航中に急遽通院することになった場合、以下の書類が必要です(医科治療と歯科治療で必要書類が異なります)

医科の場合

・診断内容証明書(様式A)とその邦訳:
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/aichi/migration/g1/h24-4/20101019-145203.pdf(共に記入できます)

・医科用領収内容証明書(様式B)とその邦訳:
http://www.kokuho.info/files/form_b.pdf
邦訳:http://www.kokuho.info/files/yaku_b.pdf

・治療費の領収書(原本)
これらの3種類の書類を用意しましょう。様式Aと様式Bについては治療を担当したお医者さんに書いてもらい、邦訳は自分で行うか、誰か頼れる人に頼みましょう。

歯科の場合

歯科の場合、領収内容証明書(様式B)の形式が歯科用となり異なります。
http://www.kokuho.info/files/form_sika.pdf
邦訳:http://www.kokuho.info/files/yaku_b_sika.pdf

あとは、医科治療の場合と同じ書類を用意します。

これで、渡航中に揃える必要が書類が集まりました。

 

C:帰国後

帰国をしたら、早めに役所に行きましょう。役所に持参する書類は、Bで挙げた3種類に加えて以下のものが必要です。

・パスポート原本(渡航期間が分かるもの)
・領収書の邦訳(原本は役所で回収されます)
・振込用銀行口座の情報
・印鑑(認め印)

※自治体によって必要な書類が異なる場合があるので、念のため居住地の自治体に詳細はお問い合わせ下さい。

 

これらを持参して担当の職員が確認をしたら、別に

・情報開示に関する同意書(治療を受けた海外の病院に担当機関が問い合わせをすることに関する同意が求められる)
・振込先口座情報を記入する書類

これらが渡されるので、合わせて記入をして提出をします。

 

これらの書類を役所の担当課で提出をしたら、手続きは完了です。あとは担当機関が内容を確認して、どれだけの還付がされるのかを決定します。

なお、書類を提出してから還付されるまでの期間は約3ヶ月とのこと(長い!)。忘れた頃に還付金が振り込まれているかもしれません。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。海外療養費還付制度は、ほとんど知られていない制度かもしれません。また、治療を受ける病院でのやりとりが英語や現地語なので、制度があっても上手く活用するのが至難の業という場合もあります(僕が治療を受けたのは、日本語ができる歯医者さんだったのでそこは神がかり的に恵まれていました)が、治療をしてくれたお医者さんも「お金が少しでも返ってくるのであれば、使える制度は利用したほうがいい」と言っていたように、この制度は使わないと損でしょう。

住民票が日本にある(国民健康保険に加入している)ことが前提条件になりますが、海外でのバカ高い治療費に閉口している人は、一度この制度を使ってみてはいかがでしょうか。

スポンサードリンク

おすすめの記事