キエフ発!日帰りチェルノブイリツアーの申し込み方法と参加時の注意点
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旧ソ連時代の1986年に、当時のウクライナ・ソビエト社会主義共和国(現在のウクライナ共和国)領内にあったチェルノブイリ原子力発電所で史上最悪の原発事故と呼ばれる事故が起こりました。

 

あれから30年以上が経った現在でも、原発の周辺30km以内は居住制限が行われており、その北東約350km(大半がベラルーシ領)にわたっては、放射線量の高いホットスポットが現在も100箇所以上存在していて、居住はもちろん農耕なども厳しく制限されている場所が存在しています。

 

そんなチェルノブイリ原発には、現在日帰りあるいは1泊2日でのツアーが多くの会社によって実施されており、当時の様子や、その後現在に至るまでの、原発や街の姿を知るための唯一の手段となっています。

 

今回は、そんなチェルノブイリツアーに参加したことを踏まえて、申し込みの仕方やツアー参加時の注意点、そしてツアーの様子についてまとめました。

 

日本でも先の震災で原発事故が発生してしまったため、このチェルノブイリの惨事から学べることも多くあるはずです。この記事を通して、1人でも多くの日本人がチェルノブイリ原発ツアーに参加するきっかけを作って頂ければと思います。

 

目次

チェルノブイリツアーの選び方

チェルノブイリツアーは、インターネットで「chornobyl(chernobyl) tour」のように検索をすると、トップページにいくつか、広告で業者が表示されることが多いです。

 

正直、ツアー会社は多くあって、値段やキエフ市内の出発地、ツアー内容などが微妙に異なってきます。値段を取るか内容を取るかは参加者が何を学びたいたいかによって変わると思いますが、決められない場合は、1番有名なCHERNOBYL TOUR®を利用してみるのがいいでしょう(僕たちもこれを利用しました)。

 

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申し込み方法について

https://chernobyl-tour.com/english/

このページに飛んで画面をスクロールすると、カレンダーが表示されます。

※ブログを書いている、2018年7月末のカレンダーです。

 

このカレンダーだと、7月末から8月初旬にまたがったカレンダーが表示されます。少し先の予約をすることもできるので、安い値段で参加できるようであれば、それを先に押さえておくのがいいでしょう。

 

ツアーは日帰りと宿泊を伴うものがあります。1泊2日だと、制限区域内で訪れる場所が増えます。日帰りでも十分だと思うので、普通はそちらを選べばいいでしょう。

例えば、8月5日の日帰りツアーが「89ドル」で最安なので、これを選んでみます。

 

申し込みは1人でもいけますが、最少催行人数が2人となっています。この画面だと「registered participants」が2人以上になっているので問題なく催行はされそうですが、申し込み時には念のため確認をしておきましょう。

 

「Book the trip」をクリックして次に進みます。

少し分かりづらいですが、赤枠で囲まれた情報は記入必須のもの。特に大切なのはパスポート番号で、制限区域に入るときに、一旦バスを降りてから、申し込み時の情報とパスポートを係員が照会して再度バスに乗り込みます。ここで万が一情報が間違っているとツアーを続けることができません。

 

オプションで付けられる食事とガイガーカウンター

食事は、ツアー出発前にキエフ市内で購入して持参してもよいのですが、チェルノブイリ原発の近くにある、現在廃炉作業に携わっている作業員が利用する食堂があって、追加料金を払えばそこで昼食を取ることができます。

 

また、ガイガーカウンターもオプションで使うことができます。僕たちは付けませんでした。

 

複数人数で申し込むときには、「Add a participant」をクリックして更に情報を入力していきます。

※複数名での参加であれば、1人だけガイガーカウンターを付けるという方法もあります。

 

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情報を入力したら

次は決済に進むわけですが、この会社の場合、オンライン申し込み時にツアー代金の一部(25%程度)をクレジットカードで支払って、残りを当日、参加するときに現金で支払います。使える通貨は米ドル、ユーロ、ウクライナグリブニャで、使い易い通貨を使えば問題ないでしょう。

 

申し込みが終わったら、メールアドレスに申し込み完了を知らせ、注意書きが記載されたメールが届きます。

メールの内容を全てここでは載せませんが、注意点は以下の通りです。

 

①ツアーは朝8時出発、7時40分頃にキエフ鉄道駅前に集合

ツアーの出発時間と集合時間は会社によって異なりますが、僕たちが利用した会社ではこの指定でした。日帰りツアーは朝が早くて夜も8時くらいにキエフに戻ることになるので、チェルノブイリツアーに参加する日は他の観光などができないと思ったほうが良いです。

(ホテルも、集合場所近くで取っておくのが、余計な移動も必要ないので便利です)

 

ツアー参加時に代金の残りを払うので、持参をお忘れ無く。

 

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②長袖長ズボン、スニーカー、帽子を忘れずに

ツアーの参加時期にもよりますが、チェルノブイリツアーの「正装」は長袖長ズボンに靴(サンダル不可)。メールには「pants」と書かれていたので、女性でスカートを着用するのはNGだと思います。

ちなみにこれは、放射線量というよりも天候の関係で、特に夏場は蚊やヒルなどの虫が多いため、皮膚を保護する意味合いでの着用が義務づけられているようです。

加えて説明をしておくと、チェルノブイリツアーに1日参加したときに浴びる放射線量は、約3マイクロシーベルトで、これは飛行機に1時間乗った時の被ばく量とほぼ同じです。

 

チェルノブイリツアーでの被ばく量を気にされる方も多いと思いますが、事故から30年以上経った現在、放射性物質の半減期の関係もあって、1日制限区域にいただけで健康に害を及ぼすほどの放射線量を浴びることにはならないようです。

 

この問題については、物理化学の基本的な知識と理解が必要になるので、それでも不安な方は、その分野の入門書をいくつか読んでみることもオススメします。

 

ツアー参加時の注意点については、リマインダーメールがツアー日の数日前に再度メールに届くので、念のためその確認もしておきましょう。

 

ツアーの様子を簡単に写真で振り返る

さて、ここからは簡単にツアーの様子を写真と共に紹介します。

 

出発から検問所まで

ツアーの集合場所は、キエフ鉄道駅の南に面する通りを少し西に進んだところ。

上の写真のような、ちょっとドキッとするデザインがあしらわれた車が停まっています。ここでスタッフに名前を伝えて、残りのツアー代金を支払います。

8時にはバスが出発して、立ち入り制限区域まで1時間ほどの旅に。

途中のガソリンスタンドで30分ほど休憩。ここに併設されているコンビニでトイレに行けるのと、サンドイッチやスナック、軽食は調達できます。朝が早いので、朝食を食べる時間がないという方もご心配なく(ツアーによって条件は変わると思うので、別のツアーに参加される方は、気になるのであれば念のため事前に確認されることをお勧めします)。

 

休憩を終えて更に30分ほど走ると、いよいよ立ち入り制限区域の審査場所に到着。

なお、僕たちが利用したツアーでは、行きのバスの中でチェルノブイリ原発事故当時の様子をまとめたドキュメンタリーを流してくれくれたのですが、僕は実はこの手の映像が苦手なので、適宜窓の外を見るとかしてやり過ごしていました。英語が耳に入ってきてしょうがない、という方はイヤホン持参で、音楽とか聞くのもいいと思います。

 

さて、この審査場所では他のツアーバスも沢山いて、順番に審査をするので30分くらい待つことになります(参加時期によって変動すると思います)。

 

その間、上の写真にあるインフォメーションセンターで食事やグッズの買い物ができます(クレジットカード使用可)。審査は、ガイドさんがパスポート情報をまとめた参加者リストを検問所のスタッフに確認してくれて、バスに再乗車するときに審査するだけなので、そこまで物々しいものではありませんが、検問所のオフィスは写真撮影禁止なのでそこはお気を付けて。

 

制限区域に入ったら

制限区域に入ったら、まずはいくつか「廃村」を見て回ります。ガイドさんが案内してくれるので、道に迷う心配はありません。

建物などは、当時事故が起こった後に住民が避難した時からそのまま放置されているそうで、自然の力で相当ぼろぼろになっているのですが、個人的にはなんとも不思議な感覚に囚われました。というのも、日本にいると台風や地震などの自然災害で街が破壊されて、そのままの状態で残る、というのは分かるのですが、チェルノブイリのように、自然災害ではないのにこれだけ街が(徐々に)ボロボロになる、というは、イメージし辛いのです。

 

当時の様子がそのまま残っている、とは言われるものの、「これはダークツーリズム向けの演出では?」と思えるような物の配置もありましたし、ガイドさんもツアー参加者も、建物の中に落ちている書類や物を手に取っては戻して…ということを時々していたので、どこまでが「保存」されているのかはよく掴めませんでした。

 

こちらは、別の建物に残されていた1986年当時のカレンダー。写真は、今はロシアが事実上併合したクリミア半島の教会らしく、当時の様子がうかがい知れる貴重な資料のようです。

 

廃村巡りの後は、今は使われていないレーダー塔(?)を散策。

 

存在は立派なのですが、どうも使われていた際も正常に機能したことはなく、「試運転」でしか使われていなかったそうです。

なお、このレーダー塔の建設にかかった費用のほうが、チェルノブイリ原発の建設にかかった費用よりも高かったそうです。

 

いよいよ、ツアーの中心地域に

レーダー塔の見学が終わったら、いよいよ原発の建物があるエリアにやっていきます。

これが、事故を起こした4号機。今はシェルターで完全に覆われていて、この上に更に別のシェルターをスライドさせて被せるようですが、少し前までは建物の一部が見えていたようです。

こちらは3号機(だったかな)?。周りにある伝線は、当時は発電所から電気を供給するために使われていましたが、今は廃炉作業のために発電所「に」給電している、というのはなんとも皮肉な話です。

 

この近くに、作業員の休憩施設があるので昼食休憩(午後2時くらい)。昼食を注文している人は、ここの食堂でご飯を食べられます。

いかにも典型的な東欧料理で、なかなかヘビーです。一応一通り食べましたが、肉料理と一緒にあるパスタみたいなのはしつこすぎて残しました。現場で作業をしている人は、この2倍くらいの量を食べているらしいです…。

 

昼食の時間は45分くらいで、この後4号機発電所跡のすぐ近くまで近づきます。

ここも、多くのツアー客がいるので、なかなか上手い写真が撮れません。

それにしても、1番驚いたのは、この祈念碑と写真撮影をしている人たちが、結構笑顔なこと。自然にスマイルが出てしまうのかもしれませんが、この場所で笑顔を作るのはなんか違うんじゃないか…と、ずっと友だちと話していました。

 

続いてまた廃村めぐり

チェルノブイリの中心エリアを回った後は、近くの「赤い森」(放射線量が未だに高い場所)に行き、その後別の街跡を見に行きます。

このあたり、何の変哲もない田舎なのですが、アスファルトを出ると一気に放射線量が上がる場所になっていて、ガイガーカウンターの値は20μシーベルトくらいになるようでした。

 

その後、1番長い徒歩ツアーで街跡めぐり。

 

普通の街も、30年以上放置されるとこうなるのか…という、妙な感慨に囚われます。

チェルノブイリで1番有名な(?)観覧車跡。

この前で、ツアー参加者の集合写真を撮影しました…。

 

実は僕は、数年前にポーランド人のジャーナリストを連れて東北の震災の制限区域にも仕事で立ち入ったことがあります。その時にガイガーカウンターを持って街を歩いたこともあったので、今回のツアーで体験したことは前にも体験しているのですが、放射線は目に見えずに、ガイガーカウンターだけが鳴り響くので、ある意味不気味というか、逆に言うと、自然に覆われた建物の跡を見ていると「ああ、ただ自然に還っていくんだな」という感想しか出てこないのです。

 

そういう意味では、今回のツアーで見て歩いた場所も、「かつて街があってゴーストタウンになった場所」を見ているようで、ツアーに参加する前に持っていたイメージとは別の世界が広がっていました。

 

これらの場所を回った最後に、いよいよ「チェルノブイリ」村に訪れます。

ここは、原発からは少し離れている(それでも制限区域内)場所で、原発がある村の名前はチェルノブイリではないのですが、なぜかここの名前が冠せられているようです。

 

上の写真は、事故が起こった際に命を尽くして二次災害を止めた人たちの像。右側の像は消防士で、ヘルメットとホースは実物にコンクリートを被せているようです。

これは街のモニュメント。ちなみに、「チェルノブイリ」はロシア語読みで、ウクライナ語読みだと「チョルノブイリ」の発音が近いそうです。ウクライナは政情の関係から、街の名前などをロシア語からウクライナ語読みに変えている(ドニエプル川も、ウクライナ語だと「ドニプロ」川と言うらしい)そうで、そのあたりの事情も鑑みておく必要がありそうです。

 

ツアーが終わったら

僕たちが参加したツアーは、チェルノブイリの村を見て終わり。この時点で18時30分くらいで、ここからまた、制限区域外に出るためにチェックをして、少し待機してから1時間ほど車に乗ってキエフまで帰ります。ツアー申し込み時に、「出発は朝8時、キエフに戻るのは午後8時~9時くらい」と書かれていて「そんなに見るところあるんかいな」と思っていましたが、実際に訪れてみると時間的にはちょうど、というよりこれでも足早かな~、と思ってしまいました。

 

これは、制限区域への検問所での写真(区域外方面)。人がいないと、ただただのどかな風景が広がっていました。

 

ツアーに参加する場合のホテル

僕たちが利用したホテルは、キエフ鉄道駅の南側、ツアーの集合場所のすぐ近くにあるibis kievでした。ウクライナの物価だとなかなかの値段(素泊まりのダブルルームで、1人1泊2500円程度)になりますが、ibisホテルをこの値段で利用できるのはとてもお得です。

ホテルの検索と予約は、以下のバナーを使ってbooking.comからするのがお勧めです。




まとめ

今回はチェルノブイリツアーで気になる点の総まとめとして記事を書きました。ヨーロッパを旅行する、あるいは生活をするのであれば、定番の観光地だけでなく、負の遺産にも足を運んで見聞を広めたいものです。

 

チェルノブイリツアーは、そのためだけにキエフを訪れる価値も十二分にあるほどの内容ですので、ぜひ1度このツアーを利用してみて下さい。

 

放射線についての基礎知識を得るには、ネットの情報ではなく、その分野の入門書を読んで「知識を知識として得る」(情報発信者の主観が混じっていない、できるだけ純粋な情報を得る)ことが欠かせません。

その入門書として最適なのは、以下の2冊です。

 

休み時間の物理化学 (休み時間シリーズ)

(こちらはKindle版がお得です)

 

もう1冊はこちら。

 

バイオ研究者がもっと知っておきたい化学 1 化学結合でみえてくる分子の性質

この第1章(原子のなりたち)と第2章(放射線と同位体)、この2章分だけきっちりと読み込んで理解するのが、初学者にも分かりやすくて取っつきやすいです。

 

 

※チェルノブイリツアーについては、僕の別ブログで違った視点からも解説をしています。興味がある方はこちらの記事もご覧下さい(外部リンク)。

http://feet-on-the-earth.com/archives/185

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