外国人にとってポーランド語習得が難しい、その理由
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Dzień dobry!  Mieszkam w Warszawie.  Jestem z Japonii.  Bardzo mi miło!

……さて、いきなり僕が知っているポーランド語を使って挨拶させて頂きましたが(苦笑)、

ポーランド語って、「非ネイティブが習得するのが大変難しい言語」と言われているんですよね。幾つか出典はあるんですが、例えばこのページを見て頂くと、ポーランド語はカテゴリーIVに入っていまして、少なくとも、日本人にとって身近なヨーロッパ諸国の公用語、例えばフランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語なんかよりも、数倍難しいんですよね。

ちなみに、フランス語、スペイン語、イタリア語は「習得するのに約24週」かかるカテゴリーII、そしてドイツ語は「習得に約30週」のカテゴリーIII(ちなみにこれは、「英語母語話者」から見ての話のようで、僕たち日本語母語話者からすると、少し異なるかも知れません)。

そして、ポーランド語と同レベルの言語が沢山あるようですが、例えばヨーロッパ圏だとハンガリー語、フィンランド語等、そしてその他だとトルコ語、タイ語、アラビア語などがあります。

えっと、この資料によると、日本語はポーランド語より更に難しい「カテゴリーV」に入って、約88週の期間が必要なようですが、ここは今回、さらっとスルーということにしましょう(笑)

で、ポーランド語は、僕も難しいと思っています。僕はこれまでもポーランド語に触れる機会があったのでアレルギーというか抵抗は少ない方だとおもうんですが、ポーランドやポーランド語に触れたことがない真っ新な人がポーランド語の勉強を始める場合、どうしても難しさというかやりづらさは持ってしまうと思います。(例えば留学でやってきた、とかですね。さすがにポーランドに興味があるから「ゼロ」ってことはないでしょうけど、日本でポーランド語に触れる機会ってほぼないので、やっぱり誰でも「ゼロ」から始めることになると思います)

さて、ポーランド語が難しいのは分かった、と。じゃあ、どこがどういう風に難しいのか?ということについて、今回は僕が分かりやすく説明してみようと思います。「難しい」っていうのは、話がややこしくなったり、そもそも本質が見えていないからそう思ってしまうわけであって、ある程度靄が晴れている状態だと、そこまで不安って感じないんですよね。というわけで、「ポーランド語って難しいイメージあるし~」と思っているあなたには、是非この記事をお読み頂いて、少しでもポーランド語の勉強に対する恐怖心と不安を和らげてもらえればと思います。

では、順に見ていきましょう。

目次

①英語で勉強した発音が通用しない

ポーランド語って、英語と同じラテンアルファベットを使います。なので、僕も最初ポーランドに来たときがそうだったんですけど、「文字が同じだし、言葉勉強したことないけどなんとかなるだろう!」と思っていたんですよ。

が、文字はほとんど同じなのに、発音や正書法が驚くぐらい違うんですよね…

この具体例については、本ブログのカテゴリー「ポーランド語」で説明しているのでそちらの記事をご覧頂きたいのですが、例えば街の名前1つにしても、英語とは綴りが全く違うから、ほぼ読めない…ってことになります。

こういう話って、別にポーランド語に限ったことじゃなくて、例えばフランス語だと語末の子音は発音されない、とか、スペイン語だと英語でいう「j」はいわゆる「h」の音で、「h」は発音しない、っていうのがあるので、どこの言語でも共通していると思います。ただ、ポーランド語はそのケースが異様に多いんですよね…。母音に補助記号が付いて、別の音を表すアルファベットがあったり、子音に補助記号が付くことも多いし、2つ以上の子音が合わさって特別な音を表す、っていうルールもあるので、他のヨーロッパ言語(特にロマンス系諸言語、ゲルマン系諸言語)と比べて、覚えないといけないことが多いんです(ちなみにポーランド語は、ロシア語やチェコ語、クロアチア語等のスラブ諸言語です)。

②名詞、動詞、形容詞等の変化(活用)が多すぎる

これ。個人的に、この要素(いわゆる文法)が難しすぎる、というのが最大の壁だと思っています。

例えば、他のヨーロッパ語と同じで
・男性名詞
・女性名詞
・中性名詞

というのが存在します。これはフランス語とかでも同じだと思うので、そこまで大変ではないと思うの。

ただ、ここからが曲者。ポーランド語(というかスラブ系諸言語)は、「名詞や形容詞の語末を変化させる」ことで、意味を表すことができるんです。これ、日本語でいうところの「てにをは」で、ドイツ語でいうと、ここで紹介されているように、名詞の前に冠詞を付けて、冠詞の形を変えることで「てにをは」を表す、っていうのと仕組みは同じなんですが、そのバリエーションが多いんですよね…。

ポーランド語には、7つの格があって(ロシア語は6つあります)、それぞれ

・主格(主語)
・生格(~の)
・与格(~に)
・対格(~を)
・造格(~で)
・前置格(前置詞と共に使って、場所を表す)
・呼格(人を呼ぶときの格)

となります。(括弧内の文法は用途の一例)

英語だと、こういう変化は一切ないので、「I love you」も「I give this gift to you」も「I want to go to dinner with you」も、「you」の形は変わりませんし、変わらなくても意味は分かるわけです(英語でも、your bookのように、所有格では形容詞を用いますね)。

ただ、ポーランド語ではいちいち、話題に上っている単語の関係に応じて、格が変わるので、一通りどういう変化をするのかは覚えないといけません。日本語でいうところの、「てにをはをきっちり使えるようになる」ことと同じですね。

で、単純計算すると、1つの単語が7つの格を取るので、7種類の変化があるわけです(実際は、形が同じこともあるのでこれより少なくなります)。

が、これで終わらないからポーランド語は難しい。この7つの格変化は、上で挙げた男性名詞、女性名詞、中性名詞でそれぞれ異なるので、簡単に言えば7通りの格変化を3通りで覚えないといけない。

更に更に驚くのは、単数か複数かでも、変化が変わる場合があるということと、

格変化ではありませんが、「男性が2人以上いるのか」「男性と女性が合計2人以上いるのか」「女性が2人以上いるのか」「人とモノが合計2人(2つ)以上あるのか」で、ある単語の形も変わる、ということです。

そして、もちろん主語に応じて動詞も単数複数が変わりますし、動詞については過去形もあって、それが男性・女性・中性名詞で変化が違うし、主語の数(合計数)でも変わるという…。

もう、怪人二十面相もトンズラしてしまいますよ、これは(苦笑)

ここでは具体例を示すのは割愛しますが、実際にポーランド語を勉強していくと、ぜったいにこの問題にはどこかでぶつかります。まあ、最初は単数複数と動詞の変化くらいなので優しいですが(動詞の現在形は性別に応じて変化はしませんから)、これが名詞や形容詞の活用が入ってくると、恐らく一気に難易度が上がると思います(僕もまだ、動詞の現在形の活用くらいしか理解できていません)。

一言で言うと、ポーランド語は文法が煩雑なんです。ここを丹念に理解していけば、絶対にポーランド語に対するアレルギーは払拭できると思うんですけどね。

で、長々と書きましたが、逆にいうとこの2つだけが本当の問題だと思います。正書法(と発音)を覚えることと、文法を理解すること。この二点が他のメジャーなヨーロッパ言語よりも難しくて煩雑なので、ポーランド語は難しいと言われるのだと思っています。

なぜ僕はそれほどポーランド語に抵抗を持っていないのか

実は僕、大学でロシア語を勉強していたんですよね。もちろん専攻とかではなく、いわゆる教養としての「第2外国語」での履修で、1年しか勉強していなかったんですけど、その時にロシア語の格変化も一通り勉強しましたし(今ではあまり覚えていないんですが)、単語も勉強していました。ロシア語とポーランド語は、文字さえ違えど、スラブ諸言語としては遠い親戚に当たるので、文法(動詞の活用、格変化)で似ている部分も多いですし、単語も音が似ている、っていうのが、ほどほどにあります。あの時に自分なりにロシア語を勉強していて、スラブ諸言語に対する素地ができていたからこそ、ポーランド語に抵抗なく入っていけたとは思っています(というか、あの時にロシア語を勉強していなかったら絶対に「ポーランド語ってロシア語と似ているなあ!」なんて思わなかったですし、今ポーランドにやってきてもいません)。

ポーランド語学習の要諦

じゃあ、これからポーランド語の勉強をする必要がある方はどうすればいいのかというと、これは「外国語学習法」という本の中で、著者の千野栄一さんがこうおっしゃっています。

外国語学習において重要なのは、たった二つ。単語と文法。

それに、習得に必要なのは、時間とお金の両方をかけること。どちらかだけでは絶対にものにならない

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この本は僕が生まれる前に書かれた本なのですが、今現在でも通用する内容が書かれています。単語と文法というのは本当にそうで、単語が分からなければ自分の伝えたいことも言えないし、文法が分からなければ、正しい意思疎通を行うことは難しい。その上で、時間とお金をかけること。僕の場合、今は週に2回レッスン(1回2時間)に通って、宿題を喫茶店でやる、という方法を取っています。これでも全然十分だとは思っていませんが、最低でもこれくらいはする必要があると思います。

で、僕はロシア語を勉強していたのである種のアドバンテージはあるのかもしれませんが、むしろ、ゼロから学ぶほうがマスターしやすいとも思います。ポーランド語って、英語とは相当かけ離れた言語ですし、単語も違えば文法も、発音も違う。そういう意味では、英語での先入観に引きずられない、っていうのは、学習する上での強みだと思います。

まとめ:彼を知り己を知れば百戦殆からず

いかがでしたでしょうか。「ポーランド語は難しい」と言われるものの、「どこがどういう風に難しいの?」と疑問に持たれている方も多いと思うので、今回は自分なりにその難しさをほぐしてみました。何でもそうですけど、「どこが難しいのか」というのが分かれば、半分くらいディスアドバンテージは払拭したのと同じです。もし今後、留学やワーホリでポーランドにきて、ポーランド語の勉強に果敢にも取り組んでみよう、という人は、そんなに難しく考えずに、丹念に進めていかれるといいと思います。英語とは全然違う世界が広がっているので、新しい気づきが沢山得られるかもしれませんよ。

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